12日(日本時間13日)、イギリス・ロンドンのウェンブリー・アリーナで行われたWBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンのアンソニー・ジョシュア(イギリス)が、挑戦者クブラト・プーレフ(ブルガリア)を9ラウンド2分58秒でKOに下し、アンディ・ルイス(アメリカ)から取り返したタイトルの初防衛に成功した。この快勝でタイソン・フューリーとの対決に拍車がかかった光るアッパーカット。4度のダウンを奪う 新型コロナウイルスによるパンデミック発生後、イギリスでは初めての観客を入れての興行となった。キャパシティ1万2500人のスタジアムに、売り出されたチケットはたった1000枚だけだ。もちろん、即座にソールドアウトしたわけだが、広大なスタジムに点在するファンの熱量たるやものすごい。声援、大合唱が一時として鳴りやまない。ファンのボルテージが最初のピークに到達したのは3ラウンドだった。
アウトボクシングに徹していたジョシュアが右カウンターからチャンスをつかみ、右アッパーを2発。チャンピオンの追撃を避けるように、背中を見せてコーナーに逃げ込んだプーレフにカウントが数えられた。再開後にも再び右アッパーでジョシュアがダウンを追加した。
だが、ジョシュアは慎重だった。4ラウンド開始直後、挑戦者とともにレフェリーから「入れ込みすぎるな」と注意されると、長い間合いを取った。208センチのリーチをフルに活かしたジャブ、ときおりの右ストレート。スピードで劣るプーレフは得意の乱戦に持ち込めない。
そして迎えた9ラウンド。いよいよ決着がつく。決め手はやはりアッパーカットだった。突き上げられた右拳を2発食ったプーレフは、この試合3度目のダウン。立ち上がったが体はグラグラ。再開後のファーストパンチ、ジョシュアの右ストレートで、大の字に倒れこむ。プーレフも今度は立ち上がれなかった。
試合後の話題は、ジョシュア対WBCチャンピオン、タイソン・フューリー(イギリス)の王座統一戦に集中。すでに両陣営は条件面で合意しており、あとは開催に向けて契約を詰めるだけとも言われている。プロモーターのエディ・ハーンは「イギリス史上最大の戦いになる」とやる気満々だった。
不敗対決を制してオコリーがクルーザー級王座をつかむクルーザー級WBO王者にオコリー 前座として行われたWBO世界クルーザー級王座決定戦12回戦は、ローレンス・オコリー(イギリス)がニコ・ヤジェフスキ(ポーランド)を2ラウンド1分45秒TKOで破り、新チャンピオンとなった。
不敗対決だったが、リオ五輪イギリス代表からプロ入りしたオコリーの圧倒的な戦力だけが輝いた。196センチの長身から打ち込む矢のような右ストレートが最初から火を噴く。初回、最初の一撃はボディに当たり、ポーランド人はあっさりとダウン。さらに同じパンチが顔面へ。ヒザをがくがくと振るわせなも何とか耐えたヤジェフスキだが、もう一発喰らうと、耐えきれず両ひざをつく。そして、2ラウンドも右ストレート。倒れたポーランド人は立ったが、レフェリーはカントアウトする直前に試合終了を宣言した。
写真◎ゲッティ イメージズ