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2017-09-29

コツコツが勝つコツ♫ 元ヤクルト宇佐美康広のロクハチ野球工房日記[5]

バットの選び方と扱い方

 私は小・中・高校生に対しても木製バットで練習することをオススメしています。金属バットですと、どこに当たっても何となく飛んでいってしまいますが、木製はしっかりとバットの芯でとらえなければ遠くへ飛ばない。夏の甲子園での大阪桐蔭の打撃を見ても、芯からちょっと外れそうな難しいコースでも腕をうまくたたんで芯でとらえフェンス直撃の強烈な打球を放っていて、普段から木製で芯に当てて強い打球を飛ばす感覚を養っているのだろうな、と感じました。

 ボールを芯でとらえるためには、芯の位置を知らないといけません。バットの芯はバットの先端から約15㌢程度グリップ寄りの位置にあり、そこを中心として長軸方向に10㌢、単軸方向に1.5㌢の範囲です。バットの芯が1点しかないと思っているかもしれませんが、実はある程度の範囲があるのです。こう考えるだけでも意識的な余裕が生まれるのではないでしょうか。

 次にバットのバランスですが、ヘッド寄りにあるトップバランス、平均的な位置にあるミドルバランス、グリップ寄りにあるオールラウンドバランスの3種類があります。トップバランスは先端に重心があり、遠心力を使って打球をより遠くへ飛ばせる反面、ヘッドを振り抜くには高い技術が必要となります。それに比べ、ミドルバランスやオールラウンドバランスはヘッドを振り抜きやすく、バットコントロールがしやすいため、ミート重視のアベレージヒッターに適しています。さらに重さや長さもバットによって違いますが、まずは実際に振ってみて「これが振り抜きやすい」という感覚を得られるかどうか。また高校生くらいであれば、自分の打者としてのタイプも踏まえて選ぶといいでしょう。

 ちなみに、指導者が「短く持て」と指示するケースは多いですが、短く持つことでバットの重心を手に近づけることによりヘッドを振り抜きやすくし、操作性を高めるための指示です。

 次にグリップについてですが、バットの握り方の基本としてよく言われるのは、両手の第二関節同士を合わせながらグリップに当て、指でギュッと握ることです(フィンガーグリップ)。こうすると、振り出しからインパクトまでのタイミングでバットと指の間にちょっとした遊びが生まれ、重さをしっかり利用してヘッドを走らせることができます。ただし、この感覚も人それぞれで、手のひらでガッチリ握ったほうが後ろの手で押し込みやすいから良い、という人もいます(パームグリップ)。もちろん、手首が固まったスイングになりやすいので注意は必要ですが、これも2とおりを試してみてもらいたいです。

 スイングの原理にも少し触れると、芯の移動距離が長いほど、ヘッドをより加速させることができるので強い力が伝わりますが、遠回りすると鋭さがなくなって操作性も低くなります。したがってグリップが体の近くを通り、なおかつヘッドが体の遠くを回るのが良いスイング。右打者であれば、右ヒジがヘソのあたりにグッと入ってくると、必然的にグリップが体の近くを通るので良いですね。このイメージをつくるためには長尺バットを振るのがオススメです。長いバットはグリップが体の近くを通りながら、上半身と下半身を絶妙なタイミングで連動させなければうまく振れません。ただし、長尺バットは重いものが多いのですが、正しいスイングを身につけたいのであれば長さ90㌢、重さ650~850㌘程度の物でトレーニングすることをお勧めします。

90㌢の長尺バット。右から650㌘、750㌘、850㌘と軽めに仕上げているため、トレーニング用としてオススメ

 最後にマスコットバットなど、重いバットへの認識。重いバットを振るだけではスイングスピードは速くならず、むしろ振り続けているとそのスピードに慣れて鈍くなったり、またスイングの形を崩してしまうかもしれません。重いバットは力をつけるために振るのであり、マスコットバットと併用して必ず軽いバットも振り、速いスイングの感覚を体に覚えさせることや正しいスイング軌道を身につけるようにしてほしいと思います。

ロクハチ野球工房

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