富士河口湖リトルシニア(山梨)は今夏、中部・北信越地区代表決定戦を制し、初めてのジャイアンツカップ出場を果たした。その名のとおり、練習を行っている鐘突堂グラウンドは眼前に富士山の絶景が広がる好立地だ。チームを指揮しているのは小池優平監督。2015年からコーチを務め、昨年4月に監督に就任。そして1年で久々となる全国大会出場へと導いた。
野球熱が高い地域ではあるが、選手たちは皆、小学生時代は軟式野球チームに所属しており硬式野球は未経験。また、東京や大阪などのチーム数も部員数も多く、競争が当たり前の環境と比較すれば、のんびりとした性格の選手が多い。
そのような選手たちの自主性を育て、自立させることが、小池監督の指導の根幹にある。そのため練習に臨む姿勢にも厳しい言葉を掛ける。
「多感な時期なので、学校で何かあったのか落ち込んで来る選手もいます。でも、気持ちの入っていないプレーはケガにもつながりますし、周囲にも迷惑ですから、『グラウンドでは野球の関係しかないのだから、覚悟を決めて切り替えてこい』と言っています」
また、技術練習にも自主性を促す仕組みを取り入れている。その一つがケースバッティングでの「リクエスト」。打者が投手にどの変化球を投げてほしいかを事前に伝えてバッティングを行う。
特に中学から硬式野球を始めた選手にとっては、どんな球が来るか分かっていても変化球へのアプローチに戸惑うことが多い。そんな選手にとってより実戦に近い状況で、試行錯誤しながら自分のスタイルを確立させていくことがこの練習の目的だ。野手にとっても球種や打者のタイプによる守備位置の微調整を確認する場となる。
「人それぞれ身体も得手不得手も異なりますから、自分だけのアプローチがあるはず。この練習は、失敗してもいいのでとにかくやってみるのが大事なポイントです。自分なりに考え、挑戦していく中で、技術の引き出しを増やしていってほしいと願っています」
次のカテゴリで活躍できる選手に育ってほしいという思いを抱く小池監督。
挑戦と失敗の中での気づきが、選手を成長させていくのだろう。
尾道リトルシニアの練習風景はベースボール・クリニック10月号別冊付録「中学硬式野球クリニック」をご覧ください。
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