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2020-12-24

【箱根駅伝の一番星】秘めたる闘志を解き放つ東海大・名取燎太。再生工場から最後の箱根路へ

駅伝力の高さは誰もが認めるところ。最後の箱根路は花の2区で出場か(写真/桜井ひとし)



言葉よりも背中でけん引

  勝負の3年目は関東インカレのハーフマラソンで5位に入賞するなど、春から結果を残し、全日本のアンカーで学生駅伝デビュー。東海大を16年ぶりの優勝に導いた功績が評価され、ルカ・ムセンビ(東京国際大)に次ぐ区間2位ながらMVPに選ばれた。

 その後、12月にアキレス腱を痛め、不安を抱えた状態で箱根に臨んだが、4区で区間2位と好走した。ただ、区間新をマークした吉田祐也(青学大、現・GMOアスリーツ)には1分07秒差をつけられ、悔しさを味わった。

 今大会は花の2区か、前回と同じ4区を望んでいる。

「2区を走ってみたい気持ちはありますし、4区でリベンジしたい思いもあります。2区ならば1時間6分台が1つの目標。4区なら、吉田さんを超えるタイムで区間賞を取りたい」

 前回2区を務めた主将の塩澤稀夕(4年)は、「ベストオーダーを組むなら、名取が2区だと思っていますし、走ってほしい」と信頼を寄せる。

 名取と伊賀白鳳高(三重)出身の塩澤、九州学院高(熊本)出身の西田壮志は、2016年の高校駅伝1区で1~3位を占め、そろって東海大に進学。刺激し合いながら競技力を向上させ、今ではチームの三本柱に。4年生として、それぞれの個性を生かした役割があるが、「名取は言葉に出すよりも、背中でけん引している」(西田)という。

 穏やかな物腰にも、芯の強さを感じさせる名取。内に秘めた闘志を解き放ち、チームを2年ぶりの頂点へと導く。


 なとり・りょうた◎1998年7月21日、長野県生まれ。169cm・56kg、O型。富士見中→佐久長聖高(長野)。自己ベストは5000m13分52秒61(2016年)、28分10秒51(20年)、ハーフ1時間02分44秒(19年)。高3時の高校駅伝で1区区間賞を獲得。大学3年時の全日本で三大駅伝デビューを飾り、8区区間2位の快走で優勝に貢献した。同年度の箱根では4区2位、今年度の全日本は8区区間3位と大黒柱にふさわしい実績を残してきた。

陸上競技マガジン 1月号

箱根駅伝2021完全ガイド(陸上競技マガジン1月号増刊)

文/石井安里

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