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2021-01-06

【NFL】18年ぶりプレーオフ、負け越しで地区優勝、3人のHCが解雇…波乱続出のレギュラーシーズン終わる

【ブラウンズvsスティーラーズ】18年ぶりのプレーオフ進出を決め喜ぶブラウンズの選手たち=photo by Getty Images

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米プロフットボールNFLは、現地1月3日に最終第17週の16試合を行い、今季のレギュラーシーズンを終了した。AFC、NFCそれぞれで地区優勝4チームと勝率上位3チームの7チーム、計14チームがプレーオフに進んだ。地区内全チームが既に負け越していたNFC東では、ワシントン・フットボールチームが地区優勝。またAFC北ではクリーブランド・ブラウンズが2002年以来18年ぶりのプレーオフ進出を決めた。

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が拡大した中で続けられたシーズンは異例の事態が続出したが、多くの試合が中止になったカレッジフットボールとは異なり、延期はあったが中止は無かった。

シーズン終了後にニューヨーク・ジェッツ、ジャクソンビル・ジャガーズ、ロサンゼルス・チャージャーズがヘッドコーチ(HC)を解任した。

地区優勝は次の通り。
AFC東:バッファロー・ビルズ(13勝3敗)▽北:ピッツバーグ・スティーラーズ(12勝4敗)▽南:テネシー・タイタンズ(11勝5敗)▽西:カンザスシティ・チーフス(14勝2敗)
NFC東:ワシントン・フットボールチーム(7勝9敗)▽北:グリーンベイ・パッカーズ(13勝3敗)▽南:ニューオーリンズ・セインツ(12勝4敗)▽西:シアトル・シーホークス(12勝4敗)


地区優勝以外のプレーオフ進出チームは次の通り。
AFC:ボルティモア・レイブンズ(北、11勝5敗)、クリーブランド・ブラウンズ(北、11勝5敗)、インディアナポリス・コルツ(南、11勝5敗)、
NFC:タンパベイ・バッカニアーズ(南、11勝5敗)、ロサンゼルス・ラムズ(西、10勝6敗)、シカゴ・ベアーズ(北、8勝8敗)

NFCでは、ワシントンは負け越しでの地区優勝となったが、現行の東西南北4地区制になってからは2011年のシーホークス(7勝9敗)、2014年のカロライナ・パンサーズ(7勝8敗1分)に次いで3チーム目。過去の2チームはプレーオフでも初戦を勝ち上がっている。AFCでは、マイアミ・ドルフィンズが10勝6敗だったが、プレーオフに進出できなかった。ニューイングランド・ペイトリオッツは7勝9敗で12年ぶりにプレーオフ進出ならず。負け越しはビル・ベリチックHC初年の2000年シーズン以来20年ぶりとなった。

ビルズ○56-28●ドルフィンズ
ビルズが、第2クオーターに、今季大活躍のQBジョシュ・アレンの3TDパスを含む4TDの猛攻でリードを広げた。ビルズは第4クオーターにも3TDを奪って完勝、チーフスに次ぐAFC2位の位置を確保した。プレーオフ進出のためには勝利が絶対条件だったドルフィンズだが、ルーキーQBトゥア・タゴバイロアが第3クオーターに3連続インターセプトの乱調で万事休した。
リーグを代表するQBに成長した24歳のアレンは、パス4544ヤード37TD(10INT)、ラン421ヤード8TDという成績を残し、MVPの有力候補にもなっている。

タイタンズ○41-38●テキサンズ
【タイタンズvsテキサンズ】250ヤードを走って、NFL史上8人目の2000ヤードラッシャーとなったタイタンズのRBヘンリー=photo by Getty Images【タイタンズvsテキサンズ】250ヤードを走って、NFL史上8人目の2000ヤードラッシャーとなったタイタンズのRBヘンリー=photo by Getty Images

タイタンズがシュートアウトゲームを制した。同点で迎えた第2クオーター、RBデリック・ヘンリーが52ヤードのTDラン。タイタンズは第3クオーターにもヘンリーがランでTDを奪った。前半3回のチャンスでいずれもFGに終わっていたテキサンズだが、後半、QBデショーン・ワトソンの3TDパスなどで、いったんは逆転する。その後も点の取り合いが続き、第4クオーター残り18秒でテキサンズがFGを決めて35-35の同点に。しかしタイムアウトが3回残っていたタイタンズは、QBライアン・タネヒルの52ヤードロングパスで攻め込むと、残り4秒からKサム・スローマンが劇的なサヨナラFG、地区優勝をもぎ取った。
「キング」の異名を持つRBヘンリーはこの試合で34キャリー250ヤードを走り、NFL史上8人目のシーズン2000ヤードラッシャー(2027ヤード17TD)となった。

ブラウンズ○24-22●スティーラーズ
【ブラウンズvsスティーラーズ】ブラウンズのQBチャブが先制のランTD=photo by Getty Images

【ブラウンズvsスティーラーズ】ブラウンズのQBチャブが先制のランTD=photo by Getty Images

前週で地区優勝を決めたスティーラーズはQBベン・ロスリスバーガー、OLBのTJワットら主力を休ませた。一方ブラウンズはプレーオフ進出のために必勝を期したが、新型コロナウィルス感染症に罹患した選手が多くこちらもベストメンバーが揃わず。それでも、RBニック・チャブの47ヤードTDランで先制すると、その後も優位に試合を進めた。第3クオーターまで3本のFGに留まっていたスティーラーズは、第4クオーターに、この日先発のQBメイソン・ルドルフが2TDパスを決めて追いすがったが、2ポイントコンバージョンを失敗。ブラウンズが2点差で逃げ切って、2002年以来のプレーオフ進出を決めた。両チームは1週間後のディビジョナルプレーオフでも対戦することとなった。

パッカーズ○35-16●ベアーズ
【パッカーズvsベアーズ】パッカーズのQBロジャースは今季48TDパスと活躍した=photo by Getty Images

【パッカーズvsベアーズ】パッカーズのQBロジャースは今季48TDパスと活躍した=photo by Getty Images

第1クオーターにRBデビッド・モンゴメリーのランTDでベアーズが先制したが、パッカーズは第2クオーターにQBアーロン・ロジャースの3TDパスで逆転。オフェンスの決め手を欠くベアーズは、この後のチャンスにTDが奪えず、FGどまり。対するパッカーズは第4クオーターにもRBアーロン・ジョーンズのTDラン、そしてロジャーズのこの日4本目のTDパスでリードを広げて逃げ切った。パッカーズは、13勝でNFCの首位に。ロジャースはシーズン48TDパス(5INT)で、QBレーティングは自身の持つNFL記録に迫る121.5となった。今季のMVP争いでも最有力とされている。

バッカニアーズ○44-27●ファルコンズ
トム・ブレイディとマット・ライアンというベテランパサーの対決は、「GOAT」ブレイデイに軍配が上がった。点の取り合いで、バッカニアーズの30-27で迎えた第4クオーター残り3分、ブレイディがWRクリス・ゴッドウィンにTDパスを決めて10点差に。さらにファルコンズのファンブルをリカバーすると、WRアントニオ・ブラウンにTDパスを決めた。43歳の「GOAT」ブレイディは12月の4試合で1233ヤード12TD(1INT)と尻上がりに調子を上げた。今季は3シーズンぶりにパス4500ヤードを上回り、TDパス40本はレギュラーシーズン16戦全勝だった2007年以来の数字となった。この日は、元スティーラーズのWRアントニオ・ブラウンを自在に駆使できたのも好材料。18回目のプレーオフに準備万端で臨むことになった。

ワシントン○20-14●イーグルス
ワシントン・フットボールチームのロン・リベラHCは負け越しながら就任1年目で地区優勝を果たした=photo by Getty Images
ワシントン・フットボールチームのロン・リベラHCは負け越しながら就任1年目で地区優勝を果たした=photo by Getty Images

ワシントンが逃げ切った。第1クオーターにQBアレックス・スミスのパスTDとFGでリードしたワシントンに対し、イーグルスは、第2クオーター、今季終盤から先発に昇格したルーキーQBジェイレン・ハーツの2TDランで逆転。しかし前半終了間際、ワシントンはQBスミスがTEローガン・トーマスにTDパスを決めて再逆転した。第4クオーターに入って、イーグルスは、この日パス不調だったとはいえ、ランでもビッグプレー能力を持つハーツを下げて、控えQBのネイト・サドフェルドを送り込む不可解な選手起用。過去2年はQBとしてのプレー機会が一度もなかったサドフェルドは、スナップをファンブルしてロストした。ワシントンはこのチャンスをFGにつなげ7点差とするとそのまま逃げ切った。
ワシントンのロン・リベラHCは負け越しとはいえ、就任1年目で地区優勝。チーム名の変更や、エースQBだったドゥエイン・ハスキンスの解雇に加え、自身もシーズン前にガンを患うなど、波乱続きの中でチームをまとめ上げた。

◇       ◇       ◇

ポストシーズンの初戦となるワイルドカードプレーオフの顔合わせは以下の通り。(後がホームチーム)

1月9日
13時05分 コルツ(AFC7位)vsビルズ(AFC2位)=日本時間10日3時05分
16時40分 ラムズ(NFC6位)vsシーホークス(NFC3位)=日本時間10日6時40分
20時15分 ワシントン(NFC4位)vsバッカニアーズ(NFC5位)=日本時間10日10時15分

1月10日
13時05分 レイブンズ(AFC5位)vsタイタンズ(AFC4位)=日本時間11日3時05分
16時40分 ベアーズ(NFC7位)vsセインツ(NFC2位)=日本時間11日6時40分
20時15分 ブラウンズ(AFC6位)vsスティーラーズ(AFC3位)=日本時間11日10時15分

今季から両カンファレンス共に1チームずつプレーオフ進出枠が増えたため、ファーストラウンドバイ(初戦免除)となるのは1チームだけで、AFCはチーフス、NFCはパッカーズがバイとなった。2回戦となるディビジョナルラウンド(1月16、17日)の組み合わせは、ワイルドカードの勝ち上がりによって変わる。

◇       ◇       ◇

レギュラーシーズン終了後3人のHCが更迭された。
開幕13連敗のジェッツ(2勝14敗)は2年目のアダム・ゲイスを解任した。この2年間で9勝23敗だった。
そのジェッツを下回って、今季リーグワーストの1勝15敗に終わったジャガースは、5年目のダグ・マローンを解雇した。5年間の通算成績は23勝44敗だが、今季も含めた過去3シーズンはいずれも二桁敗戦だった。
ロサンゼルス・チャージャーズのアンソニー・リンも解任された。リンは4シーズン目で、通算成績は33勝31敗。ルーキーQBジャスティン・ハーバートが、NFLの新人パスTD記録を塗り替え、チームは4連勝でシーズンを終えるなど明るい材料もあったが、序盤から連敗続きで早々にプレーオフ争いから脱落したのが響いた。

今季はシーズン中に、3チーム(ファルコンズ、テキサンズ、ライオンズ)がHCを解任しており、暫定コーチが来季も引き継ぐのでなければ、6チームで新しいHCが誕生することになる。

【小座野容斉】

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