大栄翔(突き落とし)明生残り4日となり、優勝争いも絞られてきた。2敗で正代、大栄翔の2人、3敗で朝乃山ただ1人となっている。12日目、2敗の2人は白星を伸ばしたが、朝乃山は天敵・照ノ富士にいつもと同じような相撲で敗れて脱落。12日目は負けていた相撲を拾った大栄翔を取り上げたい。
すでに勝ち越しを決めて好調の明生と対戦した大栄翔。立ち合いの当たり、角度は悪くなかったが、そのあと足が出ない。前日、勢いよく前に出て負けた相撲が頭にあったのだろう。土俵中央で叩き、すぐに突いて前に出たところをイナされて右上手を取られる。左も差されて土俵に詰まるが、左から突き落とし。明生が倒れるのと大栄翔が飛び出すのがほぼ同時に見えたが、木村容堂の軍配は大栄翔に上がった。
物言いがつき協議の結果、明生が早く落ちており、軍配どおり。大栄翔は右、左と俵の上に足を運び、必死に執念で粘った。「稽古場から土俵際で力を抜かず、あきらめない気持ちでやっているのが生きたと思う。残るしかないと思って、精いっぱい残りました。どっちが勝ったのかはわからなかったけど、勝ち名乗りを受けられてよかった。ギリギリだったけど、拾えたという意味では大きい」と大栄翔。
明生には過去の対戦で4戦4勝も、「相手も調子がいいので、これまでの成績は関係ないと思っていました」と気を引き締めていったが、「見ていきすぎてしまって、廻しを取られた」と反省。
初優勝が近づいてきて、夜も眠れないのでは? と思うが、「12時には寝て、7時に起きています。ぐっすり寝ていますよ。今、そういうことを考えても硬くなるだけですから」と言う。
13日目の対戦相手は竜電。その後は玉鷲、隠岐の海あたりか。正代が隆の勝、照ノ富士、朝乃山との対戦を残しているだけにかなり有利だ。「目標の10番は勝てたので、最後までしっかり強気で取りたい。一日一番、全部勝たないと優勝できないので」。やっぱり、かなり優勝を意識しているようだ。
文=山口亜土

大相撲初場所12日目 幕内取組結果
令和三年大相撲力士名鑑(「相撲」編集部/編)
相撲 1月号 初場所展望号(No.917)