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2021-01-22

【ボクシング】古橋岳也が逆転で新チャンピオン! 強打の王者・久我を9回にストップ

古橋の右がヒットすると、久我がリング内をよろめいた

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 第41回チャンピオンカーニバル、日本スーパーバンタム級タイトルマッチ10回戦が22日、東京・後楽園ホールで行われ、挑戦者1位の古橋岳也(ふるはし・がくや、33歳=川崎新田)が、王者・久我勇作(30歳=ワタナベ)を9回24秒、レフェリーストップによるTKOに下し、新チャンピオンとなった。


古橋の左ジャブ。しかし、回が進むごとにともにジャブなしの打ち合いへ

 強打を誇る久我が、自信満々にタメて打つ。その間隙を突いて、飛び込んで連打を集める古橋。互いにボディを叩き合い、序盤から激しい乱打戦を繰り広げた。

 久我は後出しのカウンターや相打ちを再三にわたって狙う。多少もらっても強打を当てる。その姿勢がありありで、体全体の動きも乏しかった。
 たしかに一撃の威力は歴然で、古橋が負ったダメージは徐々に積み重なっていったはずだ。が、古橋は決して怯まない。打たれたら逆に猛然と攻め込んでいく。すべてのパンチを“強”で打つ久我に、自身のパンチへの疑心暗鬼の念が芽生えても不思議ではなく、古橋の粘りにも辟易とさせられたはずだ。


久我は強打で迫るが、かつてのような躍動感を欠いた

 5回終了後に発表されたスコアは48対47、49対46が二者と、いずれも久我を支持。これを聞いた久我は、若干、肩の力を抜き、ややスムーズな動きを取り戻す。7回には王者の右が炸裂して、古橋をグラつかせる。これで余裕を取り戻した感の久我は、ふたたび動きを止める。8回終了間際、そこを古橋が捕らえ、右をクリーンヒット。明らかに効いた久我を、古橋は続く9回に猛襲し、ふたたび右をヒット。ガクっとヒザを折り、リング内を彷徨う久我をレフェリーが救った。

 タフファイト慣れしている元全日本新人王の古橋は、3度目の日本王座挑戦で悲願のベルト獲得。ロープをつかんでいなければフラつくほどのダメージと疲労が、試合の激しさを物語る。
 一昨年の大晦日に続き、連続KO負けとなった久我も、ダメージが懸念される。打たれても強打を当てるスタイルは、やはりリスクが大きい。元来、タメ打ち傾向があったが、この日はそれがさらに顕著で、体全体の動きが重く、ブローにキレも感じられなかった。倒したい気持ちが強く、その表れなのか、それともコンディションの問題なのか。新王者ともども、ダメージが心配される激闘だった。
 古橋の戦績は36戦27勝(15KO)9敗。V2に失敗した久我は25戦19勝(13KO)5敗1分。


疲労とダメージで、古橋はロープを掴まなければフラついてしまった

○古橋大輔選手のコメント
「久我選手のパンチはめっちゃ強かった。拳が大きい感じがした。グローブに何か詰めているのかなあというくらい。足にくるパンチはなかったけど、鼓膜は破れるし、何度も心が折れかけた。でも、前に出ることは続けた。勇気を持って前に出た。セコンドからも前に出ろと指示されたので。距離を詰めれば、パンチの威力を軽減できますから。最後はどうやって倒したかあまり覚えてないです。9ラウンドですか? 24秒? こんな展開になるとは思っていなかったです」

取材協力_杉園昌之

写真_小河原友信

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