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2021-01-29

【第93回センバツ出場校の指導法】長崎県立大崎高校Part1 投球フォームのチェックポイントA、B

2020年秋の九州大会に大崎高のエースとして3試合連続完投で優勝に導いた坂本安司

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主要公式戦で1週間500球の投球数制限が2020年に導入されてから、レベルのさまざまな投手たちに対し、どのように体系立てて技術指導を行っていけばよいのか、指導者にとって大きな課題となってきた。2020年秋季九州大会で優勝を果たした大崎高の清水央彦監督のメソッドを紹介する。


清水央彦<大崎高監督>

しみず・あきひこ/1971年2月23日生まれ。長崎県出身。佐世保商高でのポジションは内野手や投手。日本大卒業。佐世保商高、平戸高、清峰高でコーチ、部長を務め、清峰高時代には今村猛(広島)、古川秀一(元・オリックス)らを育成。その後、佐世保実高で監督に就き、2012年、13年夏に甲子園出場。18年からは大崎高で監督を務めている。20年秋季九州大会優勝。西海市職員。

 投手は野球で唯一、自分主導で動きだせるポジションだけに、自身のフォームを固めることがパフォーマンスを築くための重要な要素となる。そのフォームを確立する際に、指導者はどのようなポイントを見ていけばよいのだろうか。チェックポイントが明確であれば、あらゆるレベルの選手にも分かりやすい指導ができ、応用も可能になる。

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フォームの良し悪しは各部位の動きのタイミングが肝


 投球フォームは右投手の場合、「右腕」→「左腕」→「左脚」→「右脚」→「右腕」の順に教えていきます。まずはそれぞれのポイントについて右投手を例に述べていきます。


 投球フォームのチェックポイントA 

投球側腕(右投手の右手)
「トップ」
ボールを保持する手が後頭部の後ろを通る瞬間を「トップ」とし、フォーム全体をとらえる際の時間軸に定める。テイクバックでは投球側の手が体側を通って上がってくることを推奨。

●投球側腕(右投手の右手)

 右腕の動きは、テイクバックからリリースに向かう過程で右手が「トップ」を通っているかどうかを確認します。トップは後頭部の後ろです。ボールを持つ右手がここを通ることで右ヒジが十分な高さまで上がってきますし、胸の張りにもつながります。あくまで動作の自然な流れの中で一瞬トップを通るという認識を持つことが大切です。トップを固めてから投げようとすると、スムーズな腕の動きが損なわれます。この段階ではテイクバックが大きかったり、小さかったりするのはどちらでも構いません。

 右手がトップを通るための取り組みはキャッチボールなどを通じて入学時から行っていきますが、冬季に入る前くらいの段階で、どうしてもそれができず、トップで頭部と右手の距離が離れてしまう選手もいます。その場合、オーバースローは肩にかかる負担が大きくなるので、離れている距離に応じて腕を振る位置を下げ、スリークオーターやサイドスローを勧めるようにします。

 動作の良し悪しはタイミングが大きく影響します。この後、左腕、左脚、右脚の順に動きを身につけていきますが、それぞれの動きができていても全体的なタイミングが合わなければ良いボールは投げられません。私の場合、そのタイミングを判断する時間軸としているのが「トップ」です。この時間軸を定めることで、この後の左腕、左脚、右脚の動きとそのタイミングを全体的にとらえながら指導することが可能になります。



 投球フォームのチェックポイントB 
非投球側腕(右投手の左ヒジ)
「移動の方向と距離」
左ヒジが向かう方向に体が動いていくため、オーバーハンドはタテに使うことが重要。体の開きを抑えるためにカベをつくったときの左ヒジの位置を支点として、タテに落とすように使う。

 並進移動からステップにかけて左ヒジが向かう「方向」と「距離」を確認します。並進移動中には体が開かないように左腕でカベをつくりますが、このとき、左ヒジが向かう方向に体は回っていく傾向があります。

 オーバーハンドの場合、体軸に対して左ヒジを回すように使うと、それにつられて体が開くわけです。その動く距離が長いほど開きが大きくなります。そうではなく、カベをつくったときの左ヒジの位置を支点にしてタテに動かしながらリリースに向かうように使えれば、上からボールをたたいて投げられるようになります。

 これがサイドハンドの場合は、左ヒジを横に使うと体の回転がスムーズになるわけです。

Part2はこちらから
Part3はこちらから

【2020年2月号ベースボールクリニック掲載】

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