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2021-02-04

【第93回センバツ出場校の指導法】中京大中京高校Part2 競争意識とロングティー

2020年秋の東海大会準々決勝で本塁打を放つなど、長打力のある細江泰斗

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 中京大中京の打撃練習は、5カ所バッティング、2カ所バッティング、そしてシートバッティングに分かれるのだが、すべての打撃練習において、並行してティースタンドを使った練習が取り入れられる。バックネット裏付近、グラウンドサイド、外野にもいくつかと、場合によっては約20カ所でティースタンドを使った練習を行う。

 実際の投球を打ち、素振りをして、ティースタンドを使ってスイングを強化する。そのローテーションが打撃をつくるサイクルだ。そして、時にはティースタンドを用いたロングティーで打力アップを図っている。Part1に引き続き、高橋源一郎監督の話をお届けする。


  ロングティーでは明確に飛距離が分かります。普通のティーバッティングであれば、約2㍍先のネットに向かって打つわけですから、打球の強さは分かりますが飛距離までは分からない。横一線で行うロングティーにすれば、60㍍の選手、80㍍の選手、フェンスオーバーの選手と、飛距離が明確に出ます。

 

打撃練習はフリー打撃(5カ所、2カ所、シート)、素振り、ティー打撃に分かれて行われ、このサイクルで技術を高めていく

「実戦で得た課題と向き合い、ティースタンドを使って克服していく。そのサイクルを築いて練習に励むことが個々の技術力向上につながっていく」(高橋監督)

 ネットに向かって打つ練習とは違い、ロングティーでは隣の選手の飛距離が気になるものです。そこでは競争意識が生まれます。そういう観点から力を抜けない練習とも言えますので、自分の形で思い切り振るティースタンドを用いたロングティーは飛距離アップ、打力強化のために重要な練習だと思っています。そして、どういうスイングをすれば飛距離が伸びるのか、その試行錯誤こそ重要なことでしょう。


2020年秋の東海大会決勝で5回に代打本塁打、8回には同点打を放ち、逆転勝利への流れを作った加藤優翔

 ロングティーは冬場の強化メニューで1週間に3~4回は入れます。シーズンに入れば、バックネットに向かって打つものに移行していきますが、冬場は特に力を入れています。

 そんなロングティーも含めて、高校時代にそれぞれが意識を高め、競争意識もありながら個々の能力を上げる練習に励むことは大事。高校の時期だからこそ一気に成長が見られる能力もあります。体力ベースを上げること、技術を上げることは大切。そして一番大事になってくるのは、考え方の部分です。考え方がしっかりとしてくれば実力はつくし、体づくりへの意識も高く持てるようになるものです。学校生活も落ち着き、安定してきます。


中京大中京高野球部の部室に張られているスローガン

 つまりは、心技体のところでバランスが取れているかどうかが大事だということです。「心」と「技」、そして「体」の部分をバランス良く上げていく、それぞれがバランス良く着実に成長していくことが最も大切だと思います。長い野球人生を築いていくという意味では、どの世界に進むとしても心技体のバランスの構築は大事だと思います。

Part1はこちらから



【ベースボールクリニック2020年8月号掲載】

取材・文◎佐々木亨 写真◎宮原和也、BBM

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