新型コロナウイルスの感染拡大のため、沿道での観戦自粛が呼びかけられた2020-21年の大学駅伝シーズン。そんななか、SNSで駅伝ファンをざわつかせたのは「ハッシュドタグ」という文言だった。
「ハッシュタグ」ではなく、「ハッシュドタグ」。実はこの言葉、誤植ではない。発信者は明治大学駅伝部の山本佑樹監督だ。
今季はチームの公式アカウントや監督、選手の個人のアカウントなどSNSで応援コメントの募集や選手個人のハッシュタグを考案するなど「新しい盛り上げ方」が話題になった。そうした流れのなか、山本監督は応援していただく方はもちろん、より多くの方にチームを知ってもらうため、積極的にSNSを活用して情報発信を行った。
山本監督にその狙いをあらためて聞いた。
ツッコミ待ちだった「ハッシュドタグ」——選手の投稿にも積極的にコメントをされています。SNSで情報の発信をし始めたきっかけと目的は何ですか。
山本 当初、競走部としてはSNSが禁止されていました。ですが、SNSで自分自身のことを発信することも大事なのではないか、ということで、私が監督に就任したときにSNSを解禁しました。私もいろんな方の使い方を参考にしながら、私自身というよりは競走部を知ってもらうきっかけになればと思い、SNSを始めました。
——箱根駅伝前には、メッセージを募集するなど、積極的にSNSを活用していました。
山本 今回は、沿道での応援自粛が呼びかけられており、直接選手に声援が届かない状況でした。そのなかで選手の励みになればと、思い付きで「メッセージを募集します」という投稿をしたんです。そしたら予想以上の反響があったため、急遽、選手個人のハッシュタグをつくることにしました。「#〇〇〇ニトドケ」と選手の苗字を付けたタグをつくったことで、選手自身が自分に対するメッセージを探しやすくなりました。実際に、レース前後に選手たちが検索をしてコメントを読んでいました。多くのメッセージをいただき、選手の励み、モチベーションにもなりました。
——「選手個人のハッシュタグを決めます」という投稿のなかにあった「ハッシュドタグ」も話題になっていました。
山本 これは、完全にツッコミ待ちだったのですが……。実は、元プロレスラーの長州力さんの言葉をお借りしたものなんです。長州さんのことがすごく好きで、SNSの投稿やテレビ番組も良く見ています。それに誰かが気が付いてくれればよかったんですけど、どうやら素で私が間違えていると思われてしまったようで(笑)。ボケが強すぎましたかね。
——どちらかというと選手と近いところで楽しまれているような印象を受けます。
山本 元々、学生とワイワイするのが好きな方です。あまり硬くなりすぎずにうまくSNSを活用すれば、選手も良い意味でリラックスしてくれるかなと思っています。今回の箱根の結果を受けて、SNSの活用についてもさまざまな意見をいただきました。ですが、そういう意見をいただくことも含めて、明治大学の競走部を見てもらえたり、応援していただけたりするきっかけになるのではないかと思っています。今後も、自分らしく発信を続けていきたいと思います。
※今記事は「大学駅伝決算号2020-21」(陸上競技マガジン3月号増刊)掲載記事に加筆、訂正を加えたものです。
陸上競技マガジン 3月号
大学駅伝2020-2021決算号(陸上競技マガジン3月号増刊)