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2021-03-14

【ボクシング】京口紘人、アメリカ初戦でTKO勝ち 相手負傷に「自分のパンチで倒したかった」

アメリカ・デビューをTKOで飾った京口

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3月13日(日本時間14日)、アメリカ・テキサス州ダラスのアメリカンエアラインセンターで行われたWBA世界ライトフライ級タイトルマッチで、同スーパー王者の京口紘人(ワタナベ=48.8キロ)が10位の挑戦者アクセル・アラゴン・ベガ(メキシコ=48.6キロ)を5回1分32秒TKOに下し、3度目の防衛に成功した。(観衆3763人=主催発表) 

 2階級制覇のチャンピオン、京口がTKO勝利でのアメリカデビューを果たした。挑戦者ベガが右フックで頭部を叩いた瞬間に拳を痛め、無防備となったところをレフェリーが救ったもので、幕切れとしては唐突だったが、アメリカでベルトを守った意義は大きい。

 京口にとってはさらに特別な意味のある戦いだったかもしれない。実戦のリングに上がるのは2019年10月の久田哲也(ハラダ)戦以来17カ月ぶりだった。昨年11月のスケジュールが自身の新型コロナ感染で頓挫。さらに1月には父・寛さんのがんが発覚。辛いはずの父やファンから励ましを受け、「今回は自分の戦いというよりは、ファンのために、力をくれた家族身内のための戦い」と試合前から語っていた。

 3月5日から現地に入り、バブル空間の中で陣営の献身的サポートを受けて万全を整えた京口は、初めてとなる本場アメリカのリングで立ち上がりから落ち着いていた。今回初めてチーフセコンドを務めた小林尚睦トレーナーと立てた作戦のとおり、ジャブを軸にボクシングを組み立てる。身長147センチのチャレンジャーは2回になると圧力を強め、右アッパー、右クロス、左ボディで敢然と押し込んできた。「自分のことを研究されていると思った。修正が必要だと思った」という京口は距離を立て直し、4回にはベガの左ボディに右アッパーを狙った。そして迎え撃つパンチがうまく機能し出したとみえた5回、相手の負傷によって試合は終わりを迎えた。

「相手が痛めたのはわかりました。自分のパンチで倒したかったですけれどね。(アメリカデビューの出来として)ぎりぎり、合格点」と控え室で安堵の表情をみせた京口は、これで15戦15勝(10KO)。日本選手の初プロモートだった英大手マッチルームプロモーションのエディ・ハーンは「彼はリングを降りるなり、ごめんなさい、と言ったけれど、そんな必要はない。彼には階級のタイトルを統一していくという仕事がある」と今後の京口への期待を語っている。

 一方、奮闘したベガは右の中手骨付近を痛めた様子。4回までのスコアはジャッジ2者が38対38、1者は39対37で挑戦者有利とつけており、負傷による途中敗退に悔しさをにじませた。2度目の世界挑戦に失敗したベガは19戦14勝(8KO)3敗1分。

現地レポート/宮田有理子

Photo/Ed Mulholland/Matchroom, Melina Pizano/Matchroom

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