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2021-03-28

【相撲編集部が選ぶ春場所千秋楽の一番】照ノ富士、3回目の優勝を果たし大関返り咲き

単独トップで千秋楽を迎えた照ノ富士が貴景勝を押し出し、大関昇進を決定づけるとともに3度目の優勝を決めた

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照ノ富士(押し出し)貴景勝

新型コロナ禍の中、無事に千秋楽を迎えることができた。大混戦となった幕内の優勝争いは3敗で照ノ富士が単独トップも、結び前の一番で4敗の貴景勝と当たる。貴景勝が勝てば決定戦。残る4敗の髙安と碧山が対戦するため、決定戦になればその勝者を含めた巴戦となる。

まず、生き残りを懸けた髙安と碧山の一番は、勝者に敢闘賞が贈られる。髙安が押していったものの、叩きに大きく泳いでバッタリ。碧山が決定戦進出の権利と敢闘賞を獲得した。

髙安が10日目を終えて後続に2差をつけたときには、初優勝は間違いないだろうと思ったのだが、最後の3日間は平幕に3連敗。硬くなって足が出なかった。優勝へのプレッシャーは想像以上のものがあるのだろう。

そして、結び前の大一番。照ノ富士が幕内に復帰してからは1勝1敗も、優勝決定戦では貴景勝が勝っている。貴景勝としては一気に押し切りたいところ。動きが止まれば照ノ富士だ。

立ち合い、先に手をついて待つ貴景勝。立ち上がると一気に押し込んだ。照ノ富士は左おっつけで相手の右腕の動きを封じると右を差し込んだ。貴景勝は右差しを嫌って手繰りにいくも、これが呼び込む形となり、照ノ富士が一気に前進して押し出した。

12勝3敗で3回目の優勝を決めた照ノ富士。審判部は照ノ富士の大関昇進をはかる理事会を要請し、これが受理されたため大関昇進が確実となった。

「今はホッとしてます。周りの応援がなかったら、元の地位に戻ることはできなかった。一日一日、必死に前向きに報われる日が来ると信じてやってきました」と感無量の表情。

今場所の目標は大関復帰で、優勝は特に考えていなかったそうだが、「トップに並んだときに、もう1回優勝できるんじゃないかと思いました」と語る。10日目を終えて、髙安に2差をつけられたときは直接対決も終わっているので、場所前からの目標だった二ケタ勝利に切り替えた。それがまさかの逆転優勝。

3日後の水曜日、番付編成会議で正式に大関復帰が決まり、2度目となる伝達の使者を迎える。前回は「さらに上を目指して精進いたします」と口上を述べたが、今回はどんな言葉を口にするのだろうか。

地獄を見て謙虚になった照ノ富士は、「一日一日、集中していい姿を見せたい」と、もう一つ上の地位を目指して、来場所以降に臨む。

文=山口亜土

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