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2021-04-07

【ボクシング】国内最強・小原vs.歴戦の雄・坂井。日本ウェルタ-級戦、明日ゴング!

小原(左)、坂井ともにリミットアンダーで計量クリア

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 日本ウェルター級タイトルマッチ10回戦は、明日8日、東京・後楽園ホールでゴングが打ち鳴らされる。チャンピオンでIBF5位にランクされる小原佳太(34歳=三迫)、挑戦者4位・坂井祥紀(30歳=横浜光)ともに300gアンダーで計量をクリア。オンラインによる会見で、両者とも落ち着いた表情をのぞかせた。

「ウェルター級のランキングを見て、緊張感を抱く選手はひとりふたり。坂井選手はそのうちのひとりなので緊張してます」。言葉だけ捉えれば、弱々しげだが、こういう言葉を公に語るということは、自信の裏返しとみる。
「(坂井は)海外で戦ってきただけあって、いい選手だと思います」と、対面しての落ち着きも含め、小原は高評価するが、自身も海外でのビッグマッチ、国内でのキャリアも豊富にある。ウェルター級国内最強という自負もちらりと滲む。
 昨年3月に、第一子・俊佳(しゅんか)ちゃんが誕生し、コロナ禍の中、本格的トレーニングに入るまで、5ヵ月ほどたっぷりと一緒に過ごした。が、試合ひと月前からは、家族の元を離れてマンスリーマンションで過ごす。「妻が毎日動画を送ってくれてるけど、娘は僕のことを忘れてると思います(笑)」。
 ただ、「ボクシングは自分が好きでやってることなので、家族とは切り離して考えてます。勝って(家族に)会わなきゃいけないと、未来のことを考えると体が固まってしまうので」と、明日の一戦に全集中の構えだ。

 メキシコに単身渡り、当地でプロデビュー。10年で36戦戦ってきた猛者は、「スケジュールがしっかり決まっている」日本の試合に、表情を緩める。
 海外では突然試合が決まることもままある。会場や開始時間も、実際にその場に行ってみなければ、本当にそのとおりなのかもわからない。国内で戦ってきた選手たちとは、はっきりと異なる“別の敵との戦い”。坂井はそういう環境で、10年も戦い抜いてきたのだ。
 一見、ほんわかとしたムードの坂井だが、「相手によって対策を立てられるほど器用じゃない。でも、(小原が)どんなかたちで来ても対応したい」という言葉には、はっきりとした芯を感じる。リングに上がってからの嗅覚に、よほど自信がある証拠だ。
「小原選手は日本のウェルター級でいちばん強いと思うので、試合できるのが嬉しい。なんでもできる選手で、特にロング(レンジ)が得意で、ストレートが強い」と印象を語る。だから中に入って──というのは一面的で、「当日のリングで中に入るのがいいか、遠い距離がやりやすいのか。出たとこ勝負です」。まさに泰然自若だ。

 ホテルでの隔離状態も「いい部屋を取ってもらって快適です」(小原)、「海外では普通にホテルの部屋で過ごしていたので」(坂井)と、ストレスになることはない様子。

 個々の技術力の高さとハードパンチで派手さも披露する小原、玄人好みのいぶし銀の光を放つ技の持ち主・坂井。ゴングは明日の夜7時すぎに打ち鳴らされる。

文_本間 暁 写真提供/三迫ボクシングジム

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