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2021-01-17

【ボクシング】豊嶋亮太がダウンを奪って快勝、東洋太平洋王座を奪取

激しいプレスをかけ続け、豊嶋(左)はクロスファイトから抜け出していった

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 東洋太平洋ウェルター級タイトルマッチ、チャンピオンの長濱陸(29=角海老宝石)対ランキング12位の挑戦者、豊嶋亮太(25=帝拳)の12回戦は16日、東京・後楽園ホールで行われ、豊嶋がダウンを奪った末に、3-0の判定勝ちでタイトルを奪取した。長濱は初防衛に失敗した。

 ここ数戦で大幅な進歩を遂げ、ついにチャンピオンシップを握った長濱に、タイトル初挑戦の豊嶋が力強いプレスをかける。チャンピオンは左フックを軸に打ち終わりのカウンターを狙う。戦いはどのラウンドも接戦となった。

 拮抗した戦場から先に抜け出したのは豊嶋だった。6ラウンド、左フック、右アッパーとボディブローを効果的に決めて長濱を鈍らせると、頭部への左フックでぐらつかせた。そして続く7ラウンド、再びレフトフックからチャンスをつかんだ豊嶋が、右ストレートを叩きつける。長濱はよろよろと後退した後、ロープ際に尻もちをついた。

 タイトルへの執念を見せる長濱もしぶとく食い下がった。9ラウンドには右ストレートを連発して反撃を開始。今度は豊嶋の勢いがしぼみ始める。ここまで8回戦までしか戦ったことのないチャレンジャーにとっては、厳しい終盤戦となったが、最終回に奮起する。重いボディショットで長濱を追いつめ、左フックのカウンターでぐらつかせると、そのまま勢いよく試合終了のゴングを聞いた。

左右連打から一転、右ストレートを打ち込んで豊嶋がダウンを奪う


 新チャンピオンは一昨年9月の試合で拳を負傷。パンデミックの余波も加わって1年4ヵ月ものブランクを作りながら、復帰第1戦でタイトルをつかみ取った。「努力したとは言いたくない。するのが当たり前ですから」という勤勉な勝者は戦えぬ日々、ボクシングを考え続けたという。「今日の相手も理論派ですから」とずっと組み立ててきた作戦とジムワークで積み上げ続けた成果と強調した。

「今日はプレスをかけて戦いましたが、これからは何でもできるオールラウンダーとなって、世界を目指してもいいと言われるようになります」

 一方、囲み会見に応じた長濱は「豊嶋選手が想定外に強かったですね。夢中でボクシングをやってきました。今後のことは冷静になってから考えます」と言い残して会場を後にした。

 また、この日は角海老宝石ジム期待のアマチュア出身者4人がデビューした。このうち、日本大学ボクシング部主将からプロに転じてきた飯村樹輝弥(フライ級)は山田大輔(輪島功一スポーツ)に初回2分24秒でTKO勝ちを飾っている。

 きれいな右ストレートで2度のダウンを奪った飯村は「小学5年生からボクシングを始めて、ずっと夢見てきた世界王座を、少しずつ現実に変えていきたいですね」と今後の抱負を語っている。

文◎宮崎正博 写真◎馬場高志

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