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2021-04-20

【ボクシング】5月のDANGANイベント。タイトル戦出場のワタナベジム5選手が必勝宣言

5月のDANGAN興行のタイトルマッチにはワタナベジムから5人が出場する(写真=ワタナベジム提供)

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 DANGANが5月22・23日と連日で、墨田区総合体育館で開催するイベントには7つのタイトルマッチが行われるが、このうち、ワタナベジムからタイトル戦に出場する5選手が、20日、オンラインで記者会見を開き。それぞれが勝利を誓った。

重岡銀次朗は5度の12ラウンドぶっ通しスパーで17カ月ぶり実戦に備える

 22日(土)の午後、23日(日)の午前と夕刻にそれぞれスタートするイベントのトリをつとめるのは重岡銀次朗だ。アマチュアで実質不敗の記録を引っ提げてプロ入り。わずか4戦でWBOアジアパシフィック・ミニマム級タイトルを手にした21歳のサウスポーは、1年5カ月のリング登場になる。

「ブランクの間、何度もモチベーションが落ちかけました。そのたびに世界チャンピオンになっている自分の姿を想像し、それに太りたくないという思いで(気持ちを)つないできました」。

 2019年の大晦日、初防衛戦では世界の軽量級でも最も危険な一発屋レイ・ロレト(フィリピン)の豪打に危ない場面がありながらも、最後はきれいに仕留めてみせた。この勢いに乗って、間隔を置かずに戦いたかっただけに、腕はうずうずしている。8日からの沖縄・宮古島での走り込みキャンプを打ち上げてから、本格的なジムワークをスタートした。
重岡銀次朗(右)は豪打のロレトにTKO勝ちしてから1年5カ月ぶりの戦いになる
重岡銀次朗(右)は豪打のロレトにTKO勝ちしてから1年5カ月ぶりの戦いになる

「12ラウンドのスパーリングを今日からやって、全部で5回予定しています。多い? それがふつうじゃないんですか?」

 何かの因縁か、挑戦を受けるのは宮古島出身の川満俊輝(三迫)。やはりアマチュア出身でフライ級で戦った前戦ではわずか48秒で痛烈TKO勝ちして勢いにも乗っている。だが、重岡は自信満々だ。

「(自分は)ポーンとパンチをもらうことがあって、それをきっかけに巻き込まれたくないですね。要するにくだらないパンチをもらわないということです。(川満は)タフでスタミナがあるが、イメージとしては早く終わらせるつもりです」

 DANGANのように速く、重いパンチで迫る重岡にとっては、この不敗対決も、すでに目前に見えている世界の頂点へのステップのひとつでしかない。
チャンピオンとして初の防衛戦となる谷口(左)は「世界ランク1位の実力を見せたい」と張り切る
チャンピオンとして初の防衛戦となる谷口(左)は「世界ランク1位の実力を見せたい」と張り切る

「世界ランキング1位の実力を見せる」と谷口将隆

 日本ミニマム級チャンピオンの谷口将隆は22日午後、トップコンテンダー、仲島辰郎(平仲ボクシングスクール)の挑戦を受ける。

「(仲島は)スタミナがあって前に出てくる印象があります。相手のペースに乗らないで戦いたい。それができれば問題はないでしょう」

 2018年にWBOアジアパシフィックの王座を手にしたが、世界挑戦のために返上。チャンピオンとしてチャレンジャーを迎えるのは今度が初体験になる。しかし、谷口の視線はもっと先にと照準が合わされる。同僚のWBAスーパー世界ライトフライ級チャンピオン、京口紘人が3月、アメリカ・テキサス州ダラスで行った防衛戦にはアシスタントとして同行したが、このとき『世界』の肩書の大きさを実感した。

「日本では世界チャンピオンと言っても、それほど注目されているとは感じませんが、向こうでは違いました。多くの人の関心を集めるし、出待ちまであるんです。自分もいつかは、という気持ちになりました」

 となると、日本チャンピオン・レベルの試合は見せられない。「世界ランキングも1位(WBO)に上がりました。ランキング相応の力を見せつけたいですね」。
予定外のタイ長期修行で体と心を鍛えた湯場はその成果を見せると誓う
予定外のタイ長期修行で体と心を鍛えた湯場はその成果を見せると誓う

スリル満点の日本ユース戦に臨む湯場海樹

 23日午前11時にファーストゴングが鳴るイベントに組まれた日本ユース・スーパーライト級タイトルマッチは、この連日興行のなかでももっともスリリングなカードとなった。日本王座5階級制覇の父を持つサラブレット、湯場海樹が、この王座を持つ佐々木尽(八王子中屋)に挑む。湯場がセンスあふれるサウスポーなら、19歳の王者は迫力満点のハードパンチが魅力。ここまで10戦全勝9KO。3試合連続で初回KOで仕留めた戦いを含んで4連続KOも記録している。

「ボクシング・マガジンの取材に佐々木と戦いたいと言ったら、そのまま試合が決まりました。厳しい試合になるのはわかっています。今回は何が何でも、どんな形でも勝ちたい」

 骨太の技術、そして精神力を予定外の長期海外武者修行で培ったという。滞在したのはタイだった。

「昨年3月、2週間の予定で行ったんですが、その間に新型コロナの影響で現地はロックダウン。出国できないまま半年間も、過ごすことになりました」

 その間、ジムに寝泊まりしたり、親しくなった知人の家に転がり込んだり。「どこでも生きていける自信がつきました」。ボクシングには関係ないかもしれないが、と言いながらも、逆境に耐える心は養われた。その湯場が強敵を相手にどんな戦いを見せるのか。

「(佐々木は)注目の選手ですし、人気もあります。それをそっくり奪い取りたい」
湯場の対戦相手は10戦全勝9KOの佐々木。若手同士の対戦としては屈指の好カードだ
湯場の対戦相手は10戦全勝9KOの佐々木。若手同士の対戦としては屈指の好カードだ

元世界女王と対戦する千本瑞規。3度目の挑戦にかける谷山佳菜子

 アマチュア出身で2戦目で日本女子ミニマム級チャンピオンになった千本瑞規は23日、およそ2年ぶりとなる3戦目の戦いで空位の東洋太平洋女子同級王座決定戦に出場する。対戦者の黒木優子(YuKOフィットネス)はプロ13年、26戦のキャリアを持つ。2014年から17年にかけてWBC世界ミニマム級王座に君臨し、5度の防衛も果たしている。

「(黒木は)10回戦を何度も戦っていて、その戦い方をよく知っていると思います。でも、技術では負けません」

 ブランクの間、試合を2度も流し、ジムの大先輩、内山高志氏が経営するジムで指導もしてきた。「いろいろと考えないタイプだったけど、戦えなくなって、ずっと自問自答を繰り返していました」。自分の内側を見つめたことが、プラスになっているという。力強い言葉に決意がみなぎる。

「今は世界チャンピオンしか見えていません。世代交代? 自分が勝てばそのまま世代交代です」

 22日の日本女子バンタム級王座決定戦に出場する谷山佳菜子は3度目のタイトルアタックとなる。ここまで2度の東洋太平洋戦は引き分けときわどい負傷判定負けで王座獲得を逸した。対戦する平安山裕子(平仲ボクシングスクール)は5戦目に初勝利という苦しいキャリアから這い上がって24戦をこなしているベテランだ。

「(平安山は)接近戦が強いという印象があります。自分の距離を守るつもりですが、もし、相手が得意とする展開になっても負けません」

 これ1年、ジムで練習さえできない期間もあったが、フィジカルトレーナーにつき、体の根本から鍛えてきた。やや控えめな勝利宣言にも、自信がきらめいて見えた。

写真◎BBM

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