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2021-05-19

【ボクシング】倫理委員会の答申受け「井岡選手は潔白」とJBC謝罪

昨年末に行われた井岡(左)対田中戦 写真_菊田義久

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 昨年大みそかに行われたWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチで、チャンピオン井岡一翔(32歳=Ambition)に禁止薬物使用の疑いが報じられた問題で、JBC(日本ボクシングコミッション)は19日にオンラインで記者会見。第三者によって構成された倫理委員会により前日18日に提出された答申書に基づき、「井岡選手は潔白」と結論。今後は井岡サイド、挑戦者・田中恒成(25歳=畑中)サイド双方に、「誠意をもって謝罪していきたい」とした。

 当日試合前の会場で、両選手から採取された尿は、A検体とB検体に分けられ、A検体についてJBCアンチ・ドーピング規定に基づく検査を行った結果、井岡の尿から「THC(大麻成分)」が検出。その後行われたB検体の検査ではTHCは検出されなかったものの、禁止物質である「エフェドリン」、「フェネチルアミン」、「チラミン」の3成分が検出された。

 しかし、これを受けて召集された倫理委員会の調査で、「採取された検体は通常、冷凍保存されるべきものが、当日の医務室で数時間常温の状態を経て、JBC職員の自宅で冷蔵保存され、コミッションドクター勤務の都内病院に1月5日に持ち込まれた。過去の論文等において、『検体の腐敗により、成分が検出された事例』が発表されてもいる。このことから、偽陽性の可能性がある」と判明。さらに同委員会は、再検査に必要なB検体を警察に渡してしまい、結果、全量消費されてしまい、再検査不可能となってしまったことなど、「検体の管理体制について、JBCに重大な瑕疵(かし)がある」と結論づけた。

 この答申を受け、JBCの永田有平理事長は、「われわれの管理体制のずさんさが招いたもの。井岡選手の名誉を著しく傷つけたことを深くお詫び申し上げたい」と謝罪。近日中に、井岡、田中両選手、陣営に直接謝罪に赴くという。

 また、これまでJBCアンチ・ドーピング規定に基づいて行われてきた簡易検査等、「アンチ・ドーピング・ルールの体を成していない」と一刀両断されたシステムなどについて、「いちから再考したい」とし、19日に開かれた理事会で「ドーピング委員会の設置を要望し承認」(永田理事長)。また、この件が世間に広まり、大きく揺るがせるきっかけとなった週刊誌2誌報道について、内部からの情報漏洩を問題視し、「ガバナンス委員会を立ち上げること」も発表した。

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