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2021-05-30

【ボクシング】劇的! ドネアの左フック炸裂。1年半ぶり王座復活。

4ラウンド、ドネアはウバーリを痛烈に沈め、38歳の復活を果たした(Esther Lin/SHOWTIME)

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 5月29日(日本時間30日)、アメリカ・カリフォルニア州カーソンで、WBC世界バンタム級1位のノニト・ドネア(フィリピン)が同級チャンピオンのノルディーヌ・ウバーリ(フランス)から3度のダウンを奪い、4回1分52秒KO勝ち。世界タイトル返り咲きを果たした。世界5階級制覇の偉業を成してきたドネアが目指すのは、バンタム級の『4団体統一王者』。意味するのは当然、WBA・IBF同級王者、井上尚弥(大橋)との再戦、リベンジである。

 “フィリピノ・フラッシュ(閃光)”は健在。38歳の年齢、18ヵ月のブランク、不安要素を吹き飛ばす圧巻のKO劇だった。

 立ち上がりはサウスポーの王者ウバーリがテンポよく手を出し、リズムを作ったかに見えたが、ドネアはカウンターのタイミングをうかがっていた。2回になると一歩深く踏み込んで、そのぶん被弾もみられるものの、右ストレートに続き、左フックの精度を増していく。そして3回終盤、コンパクトな左カウンターでウバーリをノックダウン。再開後、足元がふらつくチャンピオンを的確なコンビネーションで追い込んで、左アッパーでダウンを追加する。ラウンド終了のゴングとほぼ同時。前のめりに倒れる痛烈なダウンだったが、レフェリーは続行を許し、試合は4回へ。ダメージを抱えながら反撃を試みるフランス人を巧みに叩いて追い込み、最後は左アッパーでジ・エンド。その場に崩れ落ちたウバーリを見て、レフェリーは数えかけたカウントを途中で止めた(カリフォルニア州ルールで、KOと記録される)。
この豪快な左フック。ドネアの真骨頂はやはりこのパンチだ(Getty Images)
この豪快な左フック。ドネアの真骨頂はやはりこのパンチだ(Getty Images)

「相手が何をやりたいか、わかったから、そこへカウンターを狙った。私にとって年齢は問題じゃない。長いブランクはむしろ恩恵で、しっかり体を癒し、立て直すことができた」と、10年ぶりに手にしたWBCバンタム級のベルトを肩にドネアは語った。

 2019年11月にさいたまスーパーアリーナで、当時WBA・IBF同級王者の井上尚弥(大橋)に競り負け、保持していたWBAスーパー王座を吸収された後、その復活ロードは平坦ではなかった。体重超過を繰り返すルイス・ネリ(メキシコ)に代わり、WBC王者ウバーリへの指名挑戦権を得たものの、コロナ禍に翻弄された。ウバーリの感染、自身も陽性反応が出て2度の延期。今回、ようやく開催にこぎつけたが、有利の予想が立てられていたのは、同じく埼玉で当時WBC暫定王者の井上拓真(大橋)に勝って以来の実戦となるウバーリのほうだった。
ブランクのハンディもはねのけて王座返り咲き。井上との再戦に期待を込めた(Getty Images)
ブランクのハンディもはねのけて王座返り咲き。井上との再戦に期待を込めた(Getty Images)

 それでもドネアは、「誰がなんと言おうと、私の時間は続いている」と静かに自信を語り、そしてリングの上でそれを証明してみせた。「イノウエとの戦いで、私はまだこのレベルで戦えるのだと確認できた。そしてあの戦いで、勝つには相手にトドメを刺さなければならないことを学んだ。それが今日、私が実行したこと。長いキャリアで唯一成し得ていない、階級唯一のチャンピオンを目指します」。そう誓うドネアは47戦41勝(27KO)6敗。ウバーリは18戦17勝(12KO)1敗。

文◎宮田有理子 Text by Yuriko Miyata

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