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2021-06-05

【ボクシング】強打爆発! 赤穂亮が“警察官”杉田を3回KO

赤穂の強烈な右が、タフな杉田を襲う

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 5日、東京・後楽園ホールで行われた56.0kg契約10回戦は、WBO世界スーパーバンタム級11位の赤穂亮(34歳=横浜光)が、警官ボクサーの杉田ダイスケ(32歳=ワタナベ)を3回1分49秒KOで仕留めた。

 敬愛し、親交のあるノニト・ドネア(38歳=フィリピン)ばりの左フックが、赤穂の代名詞。だが、この日は右のブローが火を噴いた。初回に右ダブルで杉田をロープに吹き飛ばしてカウントを聞かせ、3回にふたたびテンカウントを数え上げさせたのも、右で効かせてからの追撃の右だった。

 初回開始ゴングが鳴るやいなや、ファーストヒットを奪ったのは杉田だった。ガッチリとガードを固めながらにじり寄り、突き上げるような左ジャブ。これでのけ反った赤穂は、その後も左をもらい、リズムが悪くなる。得意の左フックや左アッパーカットをフルスイングするが、力みからキレを欠いて空を切る。そこに、杉田が右を合わせる。左フックと右クロスの交錯は実にスリリング。タイミング的には、杉田に分があるように見えた。

 リズムが悪いなりにダウンを奪った赤穂はさすがだが、この流れはどうにもよろしくない。そんなムードを振り払ったのは、ジャブ、フットワーク、そしてボディブローを見せてからの右強打だった。

「初回が終わってコーナーで谷口(浩嗣)トレーナーに、『同時に打つのでなく、しっかりと外して打とう』と言われたので。昔の僕なら、あの展開だったらカッとなってしまった。冷静に立て直すことができた」(赤穂)

多彩な左で崩し、右につなげた
多彩な左で崩し、右につなげた

 低く入って頭を持ってくる。クリンチ際に後頭部を叩く。赤穂を苛立たせようと、かねてから対戦相手は執拗にラフファイトを仕掛けてくる。かつてはそれで我を失ったことも再三だったが、リングで落ち着きを取り戻せるようになった赤穂は、攻撃的アウトボクシングにシフトして、肩書きやキャリアどおりの差、そしてやはり、あまりに魅力的な詰めの鋭さを見せつけることになった。

右をまともに食らった杉田は、立ち上がったものの10カウントが数え上げられた
右をまともに食らった杉田は、立ち上がったものの10カウントが数え上げられた

「杉田選手はアマキャリアが100戦以上あって、そういう選手と戦えたのはよかった。でも、もう格下の日本人とは戦いたくない。次は年末くらいだろうけど、格上の外国人選手と戦いたい」(赤穂)
 ターゲットはWBOアジアパシフィック王者ジュンリエル・ラモナル(フィリピン)と、かつてKO負けを食らっている元WBOバンタム級王者プンルアン・ソーシンユー(タイ)だ。
「こういうコロナの状況で、海外から選手を呼ぶのは難しいでしょうが、男として、自分をぶっ倒した選手をぶっ倒したいと思うのは当然のことです」

 温かい家庭を得て、人間的にもまたひと回り大きくなったと感じるが、最大の武器である闘争本能は、まだまだ燃えさかっている。

ランカー対決は岩田、利川が制す

速いストレートを見せておき、いきなりのアッパー。岩田はこれでダウンを奪った

速いストレートを見せておき、いきなりのアッパー。岩田はこれでダウンを奪った

 セミファイナルでは日本ライトフライ級ランカー対決(8回戦)が行われ、4位の岩田翔吉(25歳=帝拳)が速いリズムを刻みながらスタート。初回に右アッパーで3位の大内淳雅(35歳=姫路木下)からダウンを奪うと、その後もストレート系を見せておいて右アッパーを放り込み、主導権を握り続けて3-0判定勝利(78対73、79対72、78対73)。だが、現WBC王者・寺地拳四朗(BMB)をかつて苦しめた大内は、得意の右カウンターを再三浴びせて、一歩も退かず、岩田に警戒心を解かさせなかった。

ゴリゴリと武骨な攻めを見せた利川(右)
ゴリゴリと武骨な攻めを見せた利川(右)

 こちらもランカー対決となったライト級8回戦は、日本1位の利川聖隆(25歳=横浜光)が、同級15位の斉藤正樹(36歳=厚木ワタナベ)を右ボディアッパーで効かせて攻めまくる。しかし斉藤も呼応して左右ボディフックで反撃。最後まで打ち合いを続けたが、手数と有効打で利川に軍配。77対75、78対74、77対75の3-0判定となった。

文_本間 暁 写真_山口高明

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