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2021-06-07

【ボクシング】谷口圧勝。初挑戦・仲島を5回TKOで初防衛

ロープを背負わせて左ストレートを狙い打つ谷口

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 7日、東京・後楽園ホールで開催された日本ミニマム級タイトルマッチ10回戦は、チャンピオンの谷口将隆(27歳=ワタナベ)が同級1位の仲島辰郎(26歳=平仲ボクシングスクール)を5回1分35秒TKOで下し、初防衛を果たした。

 王者の谷口がスピードと技術の差を見せつけ、挑戦者の仲島をまったく寄せつけなかった。初回から鋭い右ジャブで流れをつかみ、執拗にプレスをかけていく。攻撃は多彩だった。細かいフェイントを入れながら、右アッパーを浴びせたかと思えば、左ボディに左ストレートも的確にヒット。じわじわとコーナーに追い詰めると、正確なワンツーを打ち込んだ。

 キャリアの差は歴然。世界戦を含め、地域タイトルマッチなども経験している谷口は相手の気持ちの動きが、手に取るように分かったという。仲島は初回に偶然のバッティングで右目の上をカットし、2回にはヒッティングで再び血を流していた。そして3回にもレフェリーに一度止められて、ドクターチェック。谷口には相手の焦りが透けて見えていたのだ。

右のジャブボディをヒットする谷口
右のジャブボディをヒットする谷口

「右だけを警戒していました」。終始、ペースを渡さず仲島を圧倒。5回には狙いすました左ストレートを相手の右目付近にクリーンヒットさせる。すると、レフェリーは仲島の傷口から滴る血を見て、これ以上の続行を不可能と判断し、試合をストップした。

 充実の内容で日本王座の初防衛に成功した谷口は、試合後に世界をはっきり見据えていた。「チャンスがあれば、今度こそは絶対に逃さないようにしたい」

 世界挑戦に失敗してから2年4ヵ月。心身ともに成長し、日本を飛び出す準備が整いつつあるようだ。現在はWBOミニマム級1位。陣営は指名入札の可能性を探りながら、具体的に世界戦の実現に向けて、力を注いでいくことを示唆した。谷口の戦績は17戦14勝(9KO)3敗。

 日本王座に初めて挑んだ仲島の戦績は、14戦11勝(7KO)2敗。攻撃が単調になり、谷口の動きに翻弄された。

女子王座戦は千本&谷山が新王者
黒木(右)の左より早く、左を合わせる千本

黒木(右)の左より早く、左を合わせる千本

 セミファイナルでは東洋太平洋女子ミニマム級王座決定戦8回戦が行われ、ホープの同級8位・千本瑞規(27歳=ワタナベ)が、元WBC女子世界同級王者の1位・黒木優子(30歳=YuKOフィットネス)を2-0の判定で下し、プロ3戦目で日本同級に続いて2本目のベルトを手に入れた。

 アマチュア経験豊富な千本は前半途中から軽やかにステップを踏むプロ26戦のベテランを鋭いワンツーで捉え、ポイントを重ねた。じわじわとプレスをかけ、7回には強烈な右ボディをヒットさせるなど、最後まで強気に攻め続けた。リングを降りてからもと堂々した顔つきで、言葉に自信をみなぎらせた。

「私は世界しか見ていないので、ここは通過点。どんどん強い選手と戦って、多くの人にもっと私を知ってもらいたいです」

 約2年2ヵ月ぶりのリングとなった黒木は思うようにパンチを当てられず、ペースをつかめなかった。

 千本の戦績は3戦3勝(1KO)。黒木の戦績は27戦18勝(8KO)7敗2分。

ガードの間から左をヒットさせる谷山
ガードの間から左をヒットさせる谷山

 第1試合の日本女子バンタム級王座決定戦は同級1位の谷山佳菜子(34歳=ワタナベ)が、OPBF東洋太平洋女子バンタム級王者の同級3位平安山裕子(34歳=平仲ボクシングスクール)を4回1分負傷判定3-0で下し、3度目の挑戦で初めてタイトルを手にした。

 谷山は中距離レンジから放つ左ジャブで試合を巧みにコントロールし、的確にポイントを手繰り寄せた。試合内容には納得していなかったが、右肩にベルトを掛けると、微笑みながら写真撮影に応じた。キックボクシングからボクシングに転向して、まだ約2年半。34歳ながら「もっと強い"ボクサー"になりたい」とさらなる成長を誓った。谷山の戦績は6戦4勝(1KO)1敗1分。敗れた平安山裕子は23戦8勝(2KO)11敗4分。

控室で喜ぶ王者トリオと渡辺均会長 写真提供_ワタナベジム
控室で喜ぶ王者トリオと渡辺均会長 写真提供_ワタナベジム

文_杉園昌之 写真_馬場高志

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