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2021-06-22

【ソフトボール】「ソフトボールの魅力を伝えられるよう、全力を尽くします」 東京五輪日本代表の内藤実穂(2)

子どものころからのあこがれの舞台だという五輪へ挑む内藤実穂(撮影/牛島寿人)

五輪でのソフトボール競技は2008年の北京大会を最後に正式種目から除外されていたが、2020年東京五輪で追加種目としての採用が決まり、強化を進めてきた。ソフトボール・マガジンWEBでは、3大会ぶりとなる東京五輪で金メダル獲得を目指す15名の選手たちを、順々に紹介していく。

内藤実穂(ビックカメラ高崎/内野手)
子どものころに夢見た場所へ(2)

小学1年生のときにソフトボールと出合い、 高校は親元を離れて九州の強豪校へ。卒業後に進んだ実業団での日々は毎日が勉強の連続だった。 オリンピック選手になるという夢をかなえるために、そのときそのときで最大限の努力をしてきた。そして今、ついにその夢をかなえるときがきた(取材は3月29日、全文はソフトボール・マガジン6月号掲載)。

守備からリズムをつくる

――2017年3月の鴨川合宿が代表初招集でした。あれから4年が経って、どんなところに成長を感じますか。
内藤 最初は周りについていくのに必死でしたし毎日が不安でした。でも、 いろいろなことを経験させていただく中で、少しずつではあるけど自分に自信を持てるようになりました。気持ちの面では成長できているなと思います。
── 18年の世界選手権は内藤選手にとってどんな大会になりましたか。
内藤 レギュラーではなかったのですが、控えだったからこそいろいろなこ とを客観的に見て学べた大会になりました。試合を見ながら、どのタイミングで自分の出番がくるのかを考えたり、ベンチの中で監督がどんなことを考え ているのか、思いを巡らせたり。
──宇津木麗華ヘッドコーチの考えと いうのは、戦術や戦略について?
内藤 ルネサスで2年、ビックカメラで2年、宇津木監督の下でやらせてい ただいたので、監督が何を考えているのか、何を伝えようとしているのか、誰よりも早くくみ取ることができたらと思っています。監督の戦略に沿ったプレーができるということを期待していただいていると思うので、その思いにしっかり応えていきたいです。
──代表候補選手の発表会見で、宇津木HCは18年の世界選手権決勝で決めたスクイズを評価されていましたね。
内藤 もともとバントやエンドランが得意だったわけではなく、サインプレーの徹底を意識して取り組んできた結果、そういう評価をもらえるようになったんだと思います。高校時代はバントも下手でしたし、小技のサインを出されることがなかった。でも、ルネサスに入ってサインプレーを徹底している先輩方を見てきて、バントやエンドランの大切さが分かりました。2年目で投手から野手に転向してからは、バントは必ず決められるように徹底して練習しましたね。
――守備についてはいかがですか。
内藤 高校までピッチャーということもあって、守備には苦手意識があったんです。たくさん失敗をしてきたから こそ、今は思い切ってプレーできているのかもしれません。それもここ2〜3年ですかね。三科真澄元コーチに指導し ていただいて、守備に対しての意識が変わりました。基礎から守備の楽しさを教えていただいたんです。
──守備で自信を持てるようになった ことが、打撃にも好影響を?
内藤 あると思います。ビックカメラは守備でリズムをつくるチームなので、やっぱり守備でいいプレーができたと きはバッティングの結果もいい。あと守備は相手バッターの動きを見て予測・判断をするので、バッターのことをすごく研究するんです。それが自分 のバッティングにつながっているとい うのもあると思います。
──宇津木HCは以前、一塁が投手経験者だと、的確な声を掛けてあげられるからいいのだとおっしゃっていまし た。そのあたりは意識されていますか。
内藤 はい。ウチではファースト、サードは、それぞれピッチャー、キャッチャーの経験がある人が守ることが多いんです。さすがに上野(由岐子)さんにアドバイス をすることはありませんけど、勝股(美咲)や濱村(ゆかり)といった年下のピッチャーには声を掛けますね。ピッチャーはキャッチャーミットを目掛けて投げていますから、正面しか見えていないことが多い。私は横から見ることができるので、見えたこと、思ったことを伝えるようにしています。
──守備では内野連携も大事です。
内藤 選手同士でピッチャーの特徴を理解しながら、どういう打球が来るの かを予測して声掛けもできていますし、お互いの守備範囲も理解できています。試合では、ノーミスで守備からリズムをつくっていきたいです。
──北京五輪は13年前ですから、今の子どもたちは五輪でソフトボールを見るのが初めてです。
内藤 ソフトボールという競技をもっと盛んにしていくために、オリンピッ クの存在は大事です。私も小さいころ に影響を受けて今の自分があるので、今度は私自身が影響を与えられるような選手になれるように頑張ります。こ うして東京でオリンピックが復活して、ファンの皆さんも金メダルを期待してくださっていると思うので、その思いを力に変えていきたい。ソフトボールは福島からスタートするので、まずは 福島の皆さんに勇気や感動を与えられ るような試合ができたらいいなと思っています。ソフトボールの魅力を伝えられるよう、全力を尽くします。

【内藤実穂PROFILE】
ないとう・みのり/1994年4月26日、大阪府生まれ。162cm65kg。右投右打。内野手。佐賀女子高-ルネサス・ビ ックカメラ高崎(2013年~)。ルネサス1年目の13年に世界 ジュニア選手権に出場し、金メダルを獲得。17年3月に初めてTOP代表に選出され、18年に世界選手権で銀メダル獲得。ビ ックカメラでは昨季より主将を務める。今季リーグ成績(5節終了時点):11試 合、43打席、9安打、2本塁打、8打点、0盗塁、打撃率.333

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