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2021-03-25

「帰化して日本代表になり、日本の力になりたいと思ってやってきた」 東京五輪ソフトボール女子日本代表候補の清原奈侑

初選出の清原。「力を最大限に発揮してチームに貢献したい」と意気込む

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3月23日、今夏の東京五輪に挑むソフトボール女子日本代表候補選手の発表会見が行われた。これまで五輪にも、世界選手権にも出場経験のない清原奈侑捕手の名が読み上げられ、本人も驚きを隠せなかった。

「私自身、選ばれるのは厳しいかなと思っていたので、15人に入れたことは驚きとうれしい気持ちでいっぱいです。本当に心からうれしくて、“うれし涙”って本当にあるんだなと思うくらい、心の底からうれしかったです。代表チームの一員になれたことがとてもうれしく、誇りに思います。私の力を最大限に発揮してチームに貢献できるようにしたいです」

 ソフトボール競技の五輪での選手枠は15人と少ないため、捕手は2人になるとの予想が大半を占めていた。そんな中で3人も選出され、清原がメンバー入りしたのはサプライズだった。

 3月3日から19日まで沖縄で行われた19人の最終候補選手による強化合宿でも、選ばれるという希望は抱けなかったという。

「合宿は最終選考の場でもあったので、自分にプレッシャーをかけてプレーしていました。でも、それが打撃でも守備でも結果につながらなかった。“これで良かった”という手応えのようなものはなかったです」

 そんな清原を選出した宇津木麗華ヘッドコーチは、その理由とともに彼女への期待を語った。

「国際ゲーム、特にアメリカは戦い方が独特。それを跳ね返す力が必要。清原には斬新なアイディア、ほかの選手にはない発想力があり、そこに期待したい。一昨年メキシコと練習試合をしたとき、後藤投手と組んで完璧な配球をしてくれた。そこが一番大きな決め手になった」

 宇津木ヘッドコーチはさらに、清原が日本に帰化して戦う姿に、自身の現役時代の姿を重ねているようだ。宇津木ヘッドコーチ自身は中国から帰化して日本代表としてシドニー五輪に出場し、銀メダル獲得に大きく貢献している。

「彼女のソフトボールに対する思いが自分と合うところがある。帰化したと聞いたときも、彼女のオリンピックに対する思いに感動した。彼女はソフトボールに人生を懸けている。強い思いを持つ彼女を選ぶことが、チームの力になると思う」

 清原が最初に国籍を意識したのは京都西山高校時代。U19日本代表の選考会があったが、日本国籍ではないから参加できないと告げられ「このままじゃ代表になれない」という思いが強くなったという。

 そして園田学園女子大学2年のとき、日本の大学代表と当時の国籍である韓国代表両方から声が掛かった。「韓国から帰化して日本で代表になり、必ず日本の力になりたいという思いがありました。監督からはそこを言っていただいたのかなと思います」

 直前合宿での手応えはなかったというが、今冬は自分の課題に取り組み、レベルアップを図ってきた。

「一昨年のUSAカップでのこと。本塁でのタッチプレーで海外の選手の強い当たりを受け、ミットからボールをこぼしてセーフにしてしまいました。ホームは1点が入るか入らないかの大事なポジション。確実にキャッチしてアウトにできるように取り組んできました。また、海外は足を絡めたプレーが多いので、スチールを確実にアウトにできる技術を磨いてきました」

 3人の捕手が選ばれた中で、自身の特徴はほかの2人にないものだという。

 「ほかの2人のキャッチャー、我妻(悠香)選手、峰(幸代)選手はどちらかと言えばクールだけど、私はアグレッシブにチームの流れ、リズムを変えられるタイプ。一番は監督の戦術をしっかり表現することですが、ピッチャーを声やジェスチャーで引っ張っていけるという部分を自分の中で大切に持ってやっていきたいです」

 五輪に対するイメージは「楽しい、ワクワク」しかない。

「オリンピックにはよく魔物が住んでいると言われますが、自分にとっては一生に一度のオリンピックで楽しいイメージ、今はワクワクした気持ちが強いです」

  東京五輪のすべての競技の中で、ソフトボールがいの一番に福島で開幕する。

「オリンピックも、ソフトボールもすべてがそこから始まるので、いいスタートを切って、他の競技も勢いづけられるようにやっていきたいです」

  内定したことをこの会見まで家族にも伝えられずにいたという清原。どう伝えるのかと問われると「入ったでぇ」と緊張気味だった表情から笑顔がこぼれた。

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