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2021-07-04

【ボクシング】カシメロは結局、リゴンドーと対決

1年前、ミカーに勝った後のカシメロ。仮面に隠された視線はどこを向いているのか(Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME)

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 WBO世界バンタム級チャンピオンのジョンリエル・カシメロ(フィリピン)が8月14日、アメリカ・カリフォルニア州カーソンのディグニティ・ヘルススポーツパークでWBA世界同級レギュラーチャンピオン、ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)と対戦することが明らかになった。カシメロは一度はWBC王者ノニト・ドネア(フィリピン)と統一戦を行うことで話がまとまっていたが、ドネアがこれをキャンセルしていた。

 カシメロ対リゴンドー戦決定の報は、カシメロが所属するMPプロモーションのアメリカ代表、ショーン・ギボンズ氏が有力なネットサイト、Boxingscene.comに語ったもの。もともと8月14日、SHOWTIMEが放映するカードはカシメロ対リゴンドー戦が予定されており、元のさやに納まった形になる。

 井上尚弥(大橋)対マイケル・ダスマリナス(フィリピン)戦が決着した直後に発表されたドネアとカシメロの対戦は、10日と経たないうちに、「薬物検査に対するカシメロ側の不誠実な対応」を理由に、ドネアがキャンセルを表明していた。カシメロが禁止薬物検査を始めるために必要な書類を期限内に提出せず、これに激怒したドネア側の判断だった。カシメロの書類は26日に届き、検査を実施するVADA(ボランティア・アンチドーピング協会)はすぐにプログラムを開始したが。ドネアの声明を受け、27日に作業を停止している。

 ドネアが、この薬物検査に対する姿勢以上に問題としていたのは、夫人でマネージャーでもあるレイチェル氏に対する威嚇的、蔑視的なカシメロ側の言動だった。カシメロは対戦者側に過激で執拗なトラッシュトークを繰り返すことで知られるが、これが自分自身のみならず、夫人に向けられたことに我慢がならなかったという。同胞ふたりによる歴史的大試合と、フィリピンのファンがその決定に歓喜した大一番があっさりとつぶれた背景に、行き過ぎたトラッシュトーク、とくに女性に対する侮蔑的な発言が含まれていたとしたら、今後の大きな教訓とすべきである。

 ただ、ドネア戦はなくなったが、カシメロにとって、リゴンドーとの対戦するのは悲嘆するほどのことではないのかもしれない。五輪2連覇でワシル・ロマチェンコと双璧をなすアマチュアレジェンドは40歳にして、いまだにハイレベルだ。サウスポースタンスからの左ストレートは鋭く、ことに序盤戦の強さは全盛期と比べてもそん色ない。守りも鉄壁だ。豪打のカシメロとの顔合わせは、スリリングな戦いになるに違いない。

 そして、カシメロ戦の縛りから完全に開放されたドネアがどこを目指すのか。その行き先に、もし、井上がいるのなら、この男の動向からも決して目を離すことはできない。

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