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2021-07-16

【ボクシング】新人王・平野、オールKO途切れる。サウスポー諏訪と引き分ける

右強打の平野(左)、ペースメークした諏訪(左)はドロー

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 16日、東京・後楽園ホールで行われたフェザー級6回戦は、昨年度全日本フェザー級新人王で日本20位の平野和憲(31歳=KG大和)が、移籍後初勝利を目指すノーランクのサウスポー、諏訪佑(23歳=横浜光)と三者三様(59対55、56対58、57対57)の引き分け。デビュー以来5連続KO勝利はならなかった。

文_本間 暁 写真_馬場高志

“オーバー30”ながらグリーンボーイの登竜門を制した平野は、元立教大ボクシング部主将。伸びやかな右ストレートは長くて深く、元OPBFバンタム級王者・栗原慶太(一力)を彷彿させるもの。これが彼の最大の武器だ。

 開始から、アップライトに構えてこの一撃を自信満々に狙う平野だが、身長で下回り、さらに身を屈めて出入りを繰り返すサウスポーの手数に手を焼き始める。

サイドを取って、タイミングと出所で幻惑した諏訪の左
サイドを取って、タイミングと出所で幻惑した諏訪の左

 諏訪は思いきりよく、いきなりの左スイングを叩きつける。かと思えば、平野の左サイドに位置取って、さらに右足に重心を移動して“タメ”をつくり、ワンクッション置くかたちでタイミングを遅らせて左フックを放つ。これがバチンバチンと新人王の顔面を何度も捉える。6勝(1KO)5敗1分という戦績の諏訪は、ダメージを与えるブローこそ打てないが、力強さは再三アピールできた。

 平野はワンツー、逆に右から左フックと返してさらに右と、右ストレートを基調とした攻撃を繰り返し、諏訪の動きを瞬間瞬間で止めることはできたが、動き回る諏訪を捕まえきることはできない。両グローブを小刻みに動かして、上体もよく動かす諏訪は、その動きでリズムに乗った。強い右を打つことが前提で作られている平野のフォームは、上体どころか体全体にリズムを欠く。これは対照的だった。

スムーズなフォームから放つ平野の右。この武器を生かすバリエーションがほしい
スムーズなフォームから放つ平野の右。この武器を生かすバリエーションがほしい

 立ち上がりから、オーバーペース気味に進めた諏訪は、それでも力を振り絞って平野をロープに押し込んで、何度も左右を叩きつけた。平野も時折右を決めて、諏訪の動きを寸断したが、決定的なダメージを与えることができなかった。

 2回に左ボディブローでペースを変えかけた平野だが、諏訪のサイド取りに以降は同じブローをまったく打てず。5回にツーステップから右を放ち、変化を加えて諏訪を戸惑わせたが、それも続かなかった。

 全体の流れは諏訪がつかんでいたが、ジャッジは平野の右一撃の効果も評価したのだろう。
 連続KO負けという悪い流れを断った諏訪は、ランク獲りこそならなかったが、この試合で自身の戦い方のベースをつかんだはずだ。
 平野はこの段階で、かき回す相手にどう対処すべきかという課題を見つけられた。それを大きな収穫としたい。
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