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2021-07-17

【ボクシング】日本ランカーが連続で敗れる。吉野ムサシと一道宏がランクゲット!

右と右の相打ちカウンターを吉野が制した

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17日、東京都・八王子市富士森体育館で行われた日本ランカー対ノーランカー2試合で下剋上。セミファイナルでは昨年度スーパーフライ級全日本新人王で日本同級15位の久保春平(24歳=宮田)が53.0kg契約8回戦で吉野ムサシ(27歳=八王子中屋)に2回1分50秒TKO負け。その前に行われたスーパーフェザー級6回戦は、2019年度同級全日本新人王で日本13位の谷口彪賀(たにぐち・ひょうが、22歳=八王子中屋)が一道宏(いちみち・ひろ、36歳=T&T)に4回1分10秒TKOでそれぞれ敗れている。

文_本間 暁 写真_小河原友信

鮮やかな右カウンター

 喜界島(鹿児島県)出身として、当時話題を呼んだ久保は、この日も身体能力の高さを窺わせる動きを見せていた。小刻みなステップからのイン&アウト、左フックからの右ストレート、右アッパーカット……。だが、吉野が築く微妙な距離に遠さを感じさせられている様相。決して単調な出入りではないものの、吉野がそのテンポを見切っているような状態だった。
 そうして吉野は9勝3KO(6敗)とは思えない、重そうな左フック、ワンツーを打ち込む。2回に入ると、圧を感じたのか久保は、さらにクイックな攻めで、嫌な空気を変えようと攻め込む。吉野はそこを待ち構えていた。はやる久保の右に合わせて右ストレート。これがドンピシャのカウンターとなると、久保はぐしゃりとキャンバスに崩れる。なんとか立ち上がろうとしたものの、レフェリーがストップを宣告した。
 敗戦が多い吉野だが、年齢もまだまだ若い。これを大きな自信として飛躍する可能性がある。敗れた久保は10戦7勝(5KO)2敗1分。鮮烈に倒されたものの、その能力の高さは依然として魅力的だ。

メインイベント同様の劇的逆転KO

ストップの瞬間、天を仰いだ一道

ストップの瞬間、天を仰いだ一道

 メインイベントの佐々木尽(八王子中屋)対湯場海樹(ワタナベ)同様、劇的な逆転KO勝負となったのが一道対谷口。初回、まるでマスボクシングのように静かに立ち上がった両者だが、サウスポーの谷口が右フックから左で1度、さらに左で2度目とダウンを奪い、初回中盤は一気に過熱した。
 しかし、サウスポーの攻撃に対して明らかに反応が悪い一道を、谷口は泳がせてしまう。結果から見れば、ここが分かれ道。行き過ぎた湯場と、慎重すぎた谷口の心持ちは正反対で、これがボクシングの難しいところである。
 ふたたび両者の動きが激しくなったのは3回。一道の右を外した谷口が、左フックを巻き込むと、一道は3度目のダウン。ここで勝負に出た谷口は、一道をロープに詰めて連打する。だが、すっかり体のほぐれていた強打の36歳はここを耐えしのぐと、右アッパーを谷口のボディに突きたてる。すると一転して谷口に明白なダメージが表れた。
 意識をボディに集中させた一道は、今度は顔面へ右をヒット。すると谷口がキャンバスに倒れ込んだのだ。
 形勢逆転──。コロナ対策のため、歓声を出せない場内の空気ははっきりと一変した。続く4回、一道が谷口をロープに押し込んで一気に勝負に出る。渾身の左右を突き刺し続ける。すると、防戦一方の谷口を、レフェリーが救った。
 1990年代、バンタム級、スーパーバンタム級の世界2階級制覇をしたジュニア・ジョーンズ(アメリカ)を思わせる体のフォルムとフォーム、体の固さを持つ一道は、6戦5勝(4KO)1分。谷口は9戦4勝(1KO)3敗2分。

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