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2021-09-11

【ボクシング】永野祐樹が別府優樹を4度倒してTKO。日本王座挑戦権をつかむ

日本王座挑戦権をかけた一戦は、永野が別府をTKOに破る

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 日本ウェルター級最強挑戦者決定戦8回戦は11日、東京・後楽園ホールで行われ、日本同級1位の永野祐樹(帝拳)が同2位、別府優樹(久留米櫛間&別府優樹)から4度のダウンを奪い、5回51秒でTKO勝ちを収めた。勝った永野は来年のチャンピオンカーニバルでの日本同級王者、小原佳太(三迫)への挑戦権を手に入れた。なお、この試合は予定されていた日本ライトフライ級王座決定戦が出場選手のコロナ感染のために延期となり、メインイベントに繰り上がっていた。

 32歳の永野が前日本チャンピオン、30歳の別府も前のWBOアジアパシフィック・チャンピオンである。すでに実績を有するベテラン同士は、いずれも背水の陣でリングに上っていた。永野は「負けたら(キャリア)は終わり」と覚悟を決めての現役生活。3年前の一戦で勝っている別府には、勝つことはもちろん、快勝する必要もあった。一方の別府はWBOアジアパシフィックの王座から陥落してからの再起戦を厳しい条件の中で迎えていた。地元の九州ではスパーリングのパートナーがおらず、東京へと武者修行に出ても、このご時世、強めのマスボクシングまでしかできなかったという。決意の戦いに燃える永野に対抗するには、まずは思い切って打ち合って、戦いの実感を本番のリングで取り戻すしかなった。

 別府はだから、最初から積極的だった。低い構えから、ひとまわり体の大きいサウスポー、永野の内懐を狙って打って出る。永野のジャブ、右フックもしつこかったが、立ち上がりは別府の攻勢が目立った。2ラウンドも、最初は別府のペースに見えていたが、ラウンド半ば過ぎからは永野の攻めに鋭さが加わってきて、逆に追い込まれていった。

 流れが決定的になったのは3ラウンド。永野の左がテンプルの最上部をかすめ、前WBOアジアパシフィック王者はダウンする。4ラウンドも永野の右ボディで動きを失った別府がワンツーをフォローされ、ワンテンポ遅れて倒れこむ。

 迎えた5ラウンドはさらに一方的に。長い左をボディに打ち込まれて別府はまたしてもダウン。立ち上がって強引な反撃に出たところを、左ストレートのカウンターで捉えられ、4度目のダウンとなったところで、レフェリーがストップをコールした。

「ことの詳細はおぼえていません」とKOまでの過程を問われて答えた永野は、緩んだ口調の中に新しい炎も垣間見せる。「小原選手は自分からタイトルを奪った選手です。これに勝てればひとつ成長できたかな、と思えるはずです」

 永野は22戦19勝(15KO)3敗。別府は25戦21勝(20KO)3敗1分。

 この日のもう1つのカードでは、浪速のロッキーと呼ばれた1980年代の大人気ボクサーで、現在は俳優としても活躍する赤井英和氏の息子、赤井英五郎(帝拳)のデビュー戦。ミドル級4回戦に登場した赤井だが、岡本弥徳(八王子中屋)の速攻に対処できず、一方的に打ちまくられて1回2分24秒、レフェリーストップによるTKO負けで初陣を飾れなかった。
岡本弥徳(右)に右の強打を打ち込まれる赤井英五郎
岡本弥徳(右)に右の強打を打ち込まれる赤井英五郎

文◎宮崎正博 写真◎小河原友信

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