アメリカンフットボールのXリーグ「X1エリア」は、9月11日、東西の会場で第2節の4試合を行った。ディアーズフットボールクラブとブルザイズ東京の一戦は、ディアーズがブルザイズに完封勝ちした。
ディアーズフットボールクラブ○38-0●ブルザイズ東京(2021年9月11日、富士通スタジアム川崎) ディアーズが力の差を見せて、完勝した。
第1クオーター(Q)1分、QB大和田昌太郎からRB宮幸崇にパスが決まって先制のタッチダウン(TD)。次のオフェンスでも大和田からWR小川悠樹にTDパスが決まった。直後のブルザイズのオフェンスでディアーズLB中野航平がインターセプトリターンTD。8分にはK青木大介のフィールドゴールで3点を追加し第1クオーターで24-0とした。
その後、ディアーズオフェンスが得点できない時間帯が続いたが、第3Q6分にRB八代周、第4Q3分にもRB千代修平と、今季加入の新戦力がランTDを挙げた。
ディアーズはディフェンスが好調で、ブルザイズQB南竹司を4サック。さらに4ターンオーバー(3インターセプト1ファンブルリカバー)でブルザイズの攻撃を断ち切り、得点を許さなかった。
【ディアーズ vs ブルザイズ】第3Q、ディアーズDB中山がパスインターセプト=撮影:小座野容斉
新戦力を続々投入 高野HC「実戦の場が足りない」 試合の大半で、ノーハドルオフェンスを駆使したディアーズ。第1Q中盤までは順調に得点を重ねたが、それ以降、攻めあぐねた。第2クオーター終盤、タイムアウト3回を全てブルザイズのオフェンスの時に使って時間を残し、得点を奪おうとした場面でも、球離れの遅い傾向があるQB大和田がサックされ、3&アウトに終わるなど、もたつきは否めなかった。
【ディアーズ vs ブルザイズ】第2クオーター11分、ブラインドサイドからサックされるディアーズQB大和田=撮影:小座野容斉 ディアーズの高野元秀ヘッドコーチは「今シーズンのオフェンスはとにかくテンポを重視していく」という。その中で、序盤はプレーが決まったが、それ以降は結果として決まらなかっただけと、それほど意には介さない。
24点差としてからは、これまで試合経験のなかった新戦力をどんどん投入したのも、オフェンスが決まらなくなった理由の一つだった。その1人がQBの伊藤宏一郎だ。
東京大学ウォリアーズのエースQBとして、関東大学1部TOP8昇格の原動力となった伊藤は、森清之HC、加藤翔平コーチという元ディアーズの2人から薫陶を受けた。昨年はプレーしていなかったので、公式戦は2019年秋以来2年ぶりだ。
なかなかパスが決まらない中で「もっと走りたい」という伊藤の意を受けて、プレーコールの中でランを増やしたのが図に当たった。第3Qにインターセプトから得たオフェンスで、伊藤の5ヤードと18ヤードのQBキープでレッドゾーンに侵入し、RB八代のTDに結びつけた。
【ディアーズ vs ブルザイズ】第3Q、ディアーズQB伊藤が自らボールをキープし18ヤードゲイン=撮影:小座野容斉
これで2勝となったディアーズだが、アサヒビール・シルバースター、アサヒ飲料チャレンジャーズという強敵との対戦はこれからだ。「今の完成度では、話にならない。全く通用しない」と語る高野HC。最も不足しているのは実戦経験だという。
この試合で、早い段階から新戦力を投入したのもそれが理由だ。シルバースターとの対戦(第4節)まで4週間。第3節のBULLS戦をどう戦うかがディアーズの今季のカギを握ることになる。
【ディアーズ vs ブルザイズ】第3Q、ディアーズRB八代が4thダウンギャンブルでファーストダウンを奪う。新戦力の八代はエリアリーグ高千穂大の出身=撮影:小座野容斉