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2021-09-26

【相撲編集部が選ぶ秋場所千秋楽の一番】新横綱・照ノ富士、綱の責任果たすV5

妙義龍が敗れて5回目の優勝が決まった照ノ富士だったが、気を抜くことなく正代を寄り切り有終の美を飾る

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照ノ富士(寄り切り)正代

優勝の行方が2敗の照ノ富士と3敗の妙義龍に絞られた千秋楽。妙義龍が勝って照ノ富士が敗れれば決定戦となるが、妙義龍が敗れた瞬間に照ノ富士の優勝が決まる。

「これより三役」に登場した妙義龍は勝ち越しを懸ける関脇明生と対戦。両者、頭から激しく当たり、妙義龍が一歩攻め込む。明生は右に回り込みながら、のぞいた右から肩透かし。妙義龍はバッタリと両手をついて、照ノ富士の5回目の優勝が決まった。敗れた妙義龍だが、両大関を倒し、千秋楽まで優勝争いをもつれさせ、今場所を盛り上げた功労者と言っていいだろう。

土俵下で優勝が決定した照ノ富士は特に表情を変えることなく、結びの土俵に上がった。優勝が決まり、気が抜けないかと心配していたが、気が抜けていたのは正代のほうだった。

立ち合い、当たってすぐに左の廻しを取った照ノ富士。左を差した正代が右から抱えて前に圧力をかけたが、照ノ富士は余裕を持って残し逆襲。正代が下がりながら右を巻き替えてモロ差しとなったが、腰が伸びてしまい、最後は力を抜いて寄り切られた。

新横綱でひとり横綱となった照ノ富士には、初日から相当なプレッシャーがかかっていただろうが、「それを感じてもしようがないので、その日の一番に全力を出して、一生懸命やっているところを見せられればいいと思っていた。できることをやったと思います」と照ノ富士。

優勝回数は5回となり、師匠の伊勢ケ濱親方(元横綱旭富士)の4回を上回った。「師匠を超えたとかはまったくない。師匠は超えられない存在なので」と語る。特に照ノ富士の場合は、師匠が伊勢ケ濱親方ではなかったら、今の土俵にはいなかったかもしれないので、その気持ちは強いだろう。

伝達式の口上で述べた「不動心」。今場所はそれを貫けた。「相撲に絶対はないし、土俵では何が起こるかわからないので、最悪のことを考えて準備しています」と言う。しっかり準備しておけば、心が動じることはない。「これからもそういう気持ちで、全力を出して精いっぱいやっていきたい」と笑顔を見せることはなかった。

今場所の三賞は殊勲賞に10勝した大栄翔。照ノ富士に初黒星をつけた一番が光った。技能賞に千秋楽まで優勝戦線に残った妙義龍と2人だけだった。照ノ富士を破った明生は、14日目に立ち合い変化で勝った相撲の印象が悪く、条件付きでも候補に上がらなかったのではないか。

文=山口亜土

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