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2021-10-12

【NFL】レイダースのグルーデンHCが突然の辞任 過去にメールで女性蔑視や反同性愛的表現

第3週まで開幕3連勝、笑顔を見せていたグルーデンHCだったが・・・photo by Getty Images

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  米プロフットボール・NFLのラスベガス・レイダース、ジョン・グルーデンヘッドコーチ(HC)が辞任した。現地10月11日夜(日本時間12日午前)、NFLの公式サイトや、スポーツ専門局ESPNが速報した。
 
 全米屈指の人気チームの、スーパーボウル優勝経験もあるスター指揮官の突然の辞任は、全米で大きな反響を呼んでいる。

グルーデンHCは、辞任声明を発表し、その中で次の通り述べた。

"I love the Raiders and do not want to be a distraction,Thank you to all the players, coaches, staff, and fans of Raider Nation. I'm sorry, I never meant to hurt anyone."

「私はレイダーズを愛しており、邪魔者にはなりたくありません。選手、コーチ、スタッフ、そしてレイダー・ネーションのファンの皆さん、ありがとうございました。申し訳ありませんでした。誰かを傷つけるつもりは決してありませんでした」


 ESPNは、レイダースのマーク・デービスオーナーが、11日午後、グルーデンとチーム施設内で会談を持ち、HC辞任という結論になったと伝えている。

 今月に入って、米有力紙のニューヨークタイムズが、グルーデンHCが、過去複数年間に渡って出した多くの電子メールの中で、女性蔑視や反同性愛的な表現を用いていたと報道していた。

 ニューヨークタイムズの報道によると、グルーデンは2018年までの7年間に、当時ワシントン・フットボール・チームの社長だったブルース・アレン氏らにメールを送った。

 グルーデンはアレン氏らにあてたメールの中で、2014年、ラムズにドラフト指名されたDEマイケル・サム選手を指して、ロジャー・グッデルNFLコミッショナーが、当時のラムズのジェフ・フィッシャーHCにサム選手をドラフトするよう圧力をかけたとして批判した。サム選手はドラフト前に自身がゲイであることを告白したが、グルーデンはサム選手を、差別的な言葉で表現していたという。

 他にも多くのメールで、脳震とうを減らそうとしてきた、グッデルコミッショナーやリーグの動きを、女性蔑視や、同性愛嫌悪的な言葉を用いて批判。また、NFL選手会(労働組合)のデモーリス・スミス代表を人種差別的な言葉で表現していた。

 女性審判員登用への批判や、試合前の国歌演奏中に抗議をした選手を解雇すべきだと述べ、一部のNFLのオーナーやコーチ、取材するジャーナリストに対しても差別的で攻撃的な言葉を使っていたという。

 グルーデンは、アレン氏や他の男性と、ワシントンのチアリーダー2人を含む、上半身裸の女性の写真を含むメールを交換していたという。フットボール以外でも、2012年の大統領選挙中のバラク・オバマ大統領や、ジョー・バイデン副大統領(いずれも当時)を、女性蔑視の言葉を使って批判していた。

 この問題は、NFLがワシントン・フットボールチームの職場環境を調査する中で発覚。NFLは別事案として、この件を調査し、メールの内容をレイダース球団に示していた。


 グルーデンHCの後任は、アシスタントHCのリッチ・ビサッチャが就任した。

   ◇

 グルーデンは、1963年生まれの58歳。NFLを代表する名物指導者の1人で、今季でHC通算15シーズン目。バッカニアーズのHCだった2002年シーズンには、チームをスーパーボウル初優勝に導いた。39歳での優勝は、当時の最年少優勝HCの記録となった。

 2008年でいったんHCの座から退き、ESPNなどで、アナリストとして活躍。専門はQBを中心とするオフェンスで、若手QBをスタジオに招いて、様々な分析をする「グルーデンのQBキャンプ」は名物番組となっていた。

 2018年シーズンから、古巣のレイダースHCに復帰。リーグ史上最大級の10年1億ドル(113億円)という待遇だった、この契約にはノートレード条項も含まれていたが、レイダースが、かってドラフト指名権などの見返りとしてバッカニアーズにトレードしたことを踏まえたものだった。

 今季は開幕3連勝と好調だったが、その後連敗していた。

 HCとしての通算成績はレギュラーシーズン117勝112敗、ポストシーズンは5勝4敗。

【小座野容斉】

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