米プロフットボールNFLは第5週を終えた。カーディナルスが唯一全勝をキープ。ジャガーズとライオンズの2チームが全敗となっている。注目のドラフト指名ルーキーは、1巡指名の5人を含む6人のQBが先発し、2人が勝利した。またTEカイル・ピッツ(ファルコンズ)、WRジャマー・チェイス(ベンガルズ)、ケダリアス・トニー(ジャイアンツ)、RBナジ-・ハリス(スティーラーズ)ら1巡指名のオフェンススター候補生が、大活躍を見せた。一方、リーグ最年長QBトム・ブレイディは44歳にして初となる個人パス記録を作った。
既報したサンデーナイトゲームを除く、現地日曜日(10月10日)に全米各地と英ロンドンで開催された13試合の結果を伝える。(写真はすべて Getty Images )
◇ファルコンズ27 ジェッツ20◆
英国・ロンドン開催は2年ぶり29試合目となった。序盤からファルコンズがQBマット・ライアンの2本のTDパスで着々と加点し、1時は17点差に。後半ジェッツが追い込んで3点差に迫ったが、第4Q、ファルコンズがRBマイク・デービスのランTDで加点し逃げ切った。
ファルコンズは、ライアンがパス342ヤード2TD。今春ドラフト全体4位のTEカイル・ピッツは、10月6日に21歳になったばかりだが、NFL5試合目にして初の100ヤード超え、9回119ヤード1TDレシーブと実力を発揮した。RB/WR/リターナーの三刀流コーダレル・パターソンは、ラン54ヤード、パスキャッチ60ヤード、キックオフリターン29ヤードを記録した。
ジェッツQBザック・ウィルソンは、この試合でも2サックされた。ジェッツのQBは40試合連続サックされている。ファルコンズは2勝3敗、ジェッツは1勝4敗。
◇ベアーズ20 レイダース9◆
第2Qに挙げた2本のTDによるリードを守り切って、ベアーズがレイダースを破った。ベアーズは9回のオフェンスシリーズで3&アウトが4回と、決して好調ではなかったが、2回以上ファーストダウンを重ねたドライブはすべて得点に結びつけた。
ルーキーQBジャスティン・フィールズは、パス111ヤードながらミスのない堅実なクオーターバッキング。エースRBデビッド・モンゴメリーが負傷で欠場する中、控えRBのカリル・ハーバートがラン75ヤードと活躍し、きっちりと穴を埋めた。
レイダースは、先制FGとなった第1Qの89ヤードのドライブ以外は、オフェンスが第3Qまでほぼ完全に抑え込まれたのが、最後まで響いた。
ベアーズ、レイダース共に3勝2敗となった。
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レイダースは、試合の翌日に、ジョン・グルーデンHCの辞任を発表した。過去のメールの中で、不適切な表現を繰り返してきたことが原因。この試合の、レイダースオフェンスの不振が、グルーデンHCの問題とリンクしていたかどうかはわからない。
◇バッカニアーズ45 ドルフィンズ17◆
フロリダ半島対決は、バッカニアーズが圧勝した。3点のビハインドで迎えた第2QにQBトム・ブレイディからWRアントニオ・ブラウンに2本のTDパスなどで17得点で逆転。第3Qに1TD差に詰め寄られたが、第4QにブレイディからWRマイク・エバンスに2TDパスなどで24得点した。
44歳2カ月のブレイディは、ポストシーズンも含めたNFL351試合目で初めて、パスで1試合400ヤード超(411ヤード)、5TDを記録した。
バッカニアーズは4勝1敗、ドルフィンズは1勝4敗。
◇ペイトリオッツ25 テキサンズ22◆
ペイトリオッツはマック・ジョーンズ、テキサンズはデービス・ミルズと、ルーキーQB同士の対決。先週のビルズ戦で、パス87ヤード4INTで辛酸をなめたテキサンズのミルズが、この日は別人のようなパスを見せ、第3Qまでに3TDパスを決め一時は13点をリードした。しかし、ペイトリオッツはKニック・フォークのFGで追い上げると、QBジョーンのTDパスで同点に。
ペイトリオッツは、第4Qに7分を使って84ヤードをドライブし、残り15秒で、フォークがこの試合4本目のFGを決めて、競り勝った。テキサンズは敗れたが、QBミルズがパス21/29、312ヤード、3TDでパサーズレーティング141.7を記録したのは今後に向けた希望となった。
ペイトリオッツは2勝3敗、テキサンズは1勝4敗。
◇チャージャーズ47 ブラウンズ42◆
両チーム合わせて1024ヤード、ファーストダウン52回、リードするチームが8回入れ替わるシュートアウトゲームをチャージャーズが制した。第4Q残り2分2秒からのチャージャーズのオフェンスで、QBジャスティン・ハーバートのパスでレッドソーンに侵入すると、RBオースティン・エケラーのTDランで逆転した。この際、次のオフェンスに少しでも多くの時間を残したいブラウンズが、エケラーを抱きかかえて無理矢理TDさせたようにも見えた。
ハーバートは、パス398ヤード4TD、ラン28ヤード1TD。スーパーボウルが始まって以降の時代では、初先発から20試合で最も多くのパスを投げたQBとなった。
チャージャーズは4勝1敗、ブラウンズは3勝2敗となった。
◇カウボーイズ44 ジャイアンツ20 ◆
カウボーイズは第1Qにドライブを重ねながら、インターセプトとファンブルロストで2回のターンオーバー。嫌な雰囲気が漂ったが第2Q以降は立ち直り、得点を重ねた。QBダック・プレスコットは、パス302ヤード3TD。ここまで5試合中4試合で3TDパス以上と好調を維持している。エジキール・エリオット、トニー・ポラードのダブルRBは2人でラン35回、185ヤード。トータルオフェンスは515ヤードを記録した。
ジャイアンツはQBダニエル・ジョーンズが脳震とうの疑いで、RBサクオン・バークリーが足を痛めて、いずれも途中退場。ひとり気を吐いたのが、今春1巡指名WRのケダリアス・トニーで、189ヤードをレシーブした。しかし試合途中で暴力行為で退場になった。
カウボーイズは4勝1敗、ジャイアンツは1勝4敗。
◇カーディナルス17 49ers10◆
ここまで4試合ですべて30点以上を奪ってきたカーディナルスが、49ersディフェンスに苦しんだ。49ersはカーディナルスのランを徹底してマークして、ロングゲインをほぼ許さなかった。カーディナルスは3点リードで迎えた第4Qに、QBカイラー・マレイが、WRデアンドレ・ホプキンスに30ヤードのパスを通して、ゴール前に迫り、さらにホプキンスにTDパスをヒットして、逃げ切った。
49ersはドラフト1巡3位指名のルーキーQBトレイ・ランスを先発させた。ランスはラン89ヤード、パス192ヤードと健闘したが、TEジョージ・キトルが欠場したこともあり、3rdダウンコンバージョンは3/11。4thダウンでも5回ギャンブルし、4回の失敗に終わった。特に第2Qのゴール前1ヤードでTDを取れなかったのが最後になって響いた。
カーディナルスは唯一の5戦全勝、49ersは2勝3敗となった。
◇パッカーズ25 ベンガルズ22◆
パッカーズの名手メイソン・クロスビー、ベンガルズのルーキー、エバン・マクファーソン。2人のKが試合終盤で連鎖したかのようにFG失敗を繰り返し、勝負はもつれた。
クロスビーは第4Qに2連続FG失敗。ベンガルズもマクファーソンが57ヤードFGトライを決め切れず、オーバータイムに。クロスビーは、OTでも1回目の39ヤードを失敗したが、ベンガルズのマクファーソンも49ヤードを失敗。それまで3連続失敗のクロスビーが49ヤードのFGを決めて、パッカーズが勝利した。
パッカーズはQBアーロン・ロジャースのパスが344ヤードでオフェンストータル466ヤード、ベンガルズも、QBジョー・バロウはパス281ヤードでオフェンスは367ヤード。ルーキーWRジャマー・チェイスはパスレシーブ159ヤード1TDの活躍を見せた。しかし、3rdダウンコンバージョンがパッカーズ4/11、ベンガルズ5/14だったのがこの結果につながった。
パッカーズは4勝1敗、ベンガルズは3勝2敗となった。
◇バイキングス19 ライオンズ17◆
バイキングスが後半2ミニッツウォーニング明けの最初のプレーで、自陣ゴール前で痛恨のファンブルロスト。このチャンスに、ライオンズRBディアンドレ・スイフトがTDランを決め17-16と逆転した。
キックオフリターン後、自陣18ヤードからバイキングスのオフェンスは、残り33秒、タイムアウト2回。QBカークカズンズが冷静に3本のパスを成功させ、残り6秒でKグレッグ・ジョセフにすべてを託した。ジョセフは54ヤードのFGを決めて、バイキングスの「サヨナラ勝ち」。バイキングスの2勝はすべてジョセフのFGによるものとなった。
開幕5連敗のライオンズは、試合後にダン・キャンベルHCが涙を流しながら会見した。QBジャレッド・ゴフはラムズ時代から通じて、先発した試合が8連敗中。
バイキングスは2勝3敗、ライオンズは5敗。
◇スティーラーズ27 ブロンコス19◆
前週のレイブンズ戦で激しいヒットを受けたブロンコスのQBテディ・ブリッジウォーターが脳震とうプロトコールをクリアして、先発出場した。試合はQBベン・ロスリスバーガーの50ヤードTDパスで先制したスティーラーズがその後も効果的に加点した。
ブロンコスは第4Qにブリッジウォーターが2TDパスで反撃。さらに試合最終盤でゴールまで3ヤードと迫ったが、最後はエンドゾーン内でINTを喫した。スティーラーズはドラフト1巡指名RBのナジ-・ハリスがNFLで初のラン100ヤード超え(122ヤード)。スティーラーズは2018年以降、ラン100ヤード以上を記録したゲームでは18勝0敗1引き分けという。
スティーラーズ2勝3敗、ブロンコスは3勝2敗。
◇タイタンズ37 ジャガーズ19◆
ジャガーズが泥沼の開幕5連敗。昨シーズンの第2戦からっ公式戦20連敗となった。ルーキーQBローレンスはパス273ヤードと健闘も、オフェンスに決め手がない。第4Qには、ローレンスのランで一度はTDと判定されながら、オフィシャルレビューで取り消し。直後のゴール前1ヤードギャンブルに失敗した。レッドゾーン侵入5回ですべて得点し、4回がTDだったタイタンズと決定力の差は明らかだった。
タイタンズの「王様」RBデリック・ヘンリーは、ラン29回130ヤードで3TD。5試合で640ヤードと、「シーズン2000ヤードペース」で走っている。
タイタンズは3勝2敗、ジャガーズは0勝5敗。
◇セインツ33 ワシントン22◆
セインツはQBジェイミース・ウィンストンが、オープニングドライブでINTされ、2回後のオフェンスでは自陣でファンブル。その都度得点を奪われた。流れを変えたのはRBのアルビン・カマラ。第2Qに23ヤードのTDランで同点とすると、その後は、立ち直ったウィンストンのTDパスでスコアを重ねた。
ウィンストンはパス271ヤード4TD、カマラはラン71ヤード、パスレシーブ51ヤードで1本ずつTDを挙げた。
ワシントンのQBハイニケはTDなしの2INT、特に第4Qの自陣ゴール前で喫したINTが、勝敗を大きく分けた。
セインツは3勝2敗、ワシントンは2勝3敗。
◇イーグルス21 パンサーズ18◆
イーグルスが逆転勝ち。QBジェイレンハーツが、第3、4Qにランで2本のTDを挙げた。パンサーズは、前半イーグルスのオフェンスをトータル88ヤードに抑え込み、第2Qにはハーツをエンドゾーンでファンブルさせてセーフティーを奪うなど、完全に勝ちパターンだったが、後半にINT、パントブロックとミスが続いた。
QBサム・ダーノルドはパス177ヤード、1TD3INT。ジェッツから移籍後、立ち直りの兆しを見せていたが、ここからが正念場となる。
イーグルスは2勝3敗、パンサーズは3勝2敗。