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2021-10-14

【ボクシング】佐川遼、リベンジ&再起でタイトル戦線に復帰

佐川(左)がフィニッシュの右を打ち込む

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前日本フェザー級チャンピオンで現5位の佐川遼(27歳=三迫)は14日、東京・後楽園ホールで小坂烈(23歳=SUN-RISE)と58.0キロ契約8回戦を行い、8回1分23秒TKO勝ち。2月、丸田陽七太(森岡)に7回TKOで敗れ、王座を失って以来の再起戦を飾った。

8ヵ月ぶりに再起を果たし、安堵の笑顔を浮かべる佐川
8ヵ月ぶりに再起を果たし、安堵の表情を浮かべる佐川

 自ら完敗と認めた8ヵ月前の丸田戦。傷心を乗り越え再起を決意した佐川に、三迫貴志会長が敢えてぶつけたのは、プロ2戦目で2回TKO負けを喫した相手の小坂だ。リスクは覚悟の上。「あそこで負けてボクシングを見つめ直し、強くなってくれた」という佐川に、再び這い上がってもらうためのマッチメークだったが、佐川はその「親心」に応えた。

 4年前に小坂から受けたパンチの残像は、はっきりと脳裏に刻まれていた。初回、その右アッパーを受けてヒヤリとさせられたが、「あれでスイッチが入った」と佐川。打ち合いに付き合わず、左を突いて自分のペースを守ることに集中した。

 ジャブ、フックと変化をつけて繰り出す左のリードブローに、小刻みなステップも織り交ぜて小坂を翻弄。的確に当て続け、ダメージを植えつけた末に最終回、右アッパーから右ストレートの追撃で小坂のヒザが折れたところでレフェリーが試合を止めた。

 「再起戦とリベンジのかかった試合。大きな一歩になった」と胸をなでおろした佐川は、タイトル戦線への復帰を宣言。三迫会長は今後、フェザー級、スーパーフェザー級の両構えでチャンスを探っていくとした。

 中川がカーニバル出場権を獲得

中川(右)は長谷川との激しい攻防に競り勝ち最強挑戦者に
中川(右)は長谷川との激しい攻防に競り勝ち最強挑戦者に

 セミファイナルで行われたスーパーフェザー級の最強挑戦者決定戦は、日本同級1位の中川兼玄(26歳=三迫)が、2位の長谷川慎之介(29歳=ワールドスポーツ)に8回2ー1の判定勝ち。2021年チャンピオンカーニバルの出場権を獲得した。

 ともに長い下積みを経て、やっとつかみかけたタイトル挑戦のチャンスを懸け、執念の攻防を繰り広げた。立ち上がりは12連勝中のサウスポー長谷川が左ストレート、右フックを決めて先攻したが、中川も次第に得意の右ストレートで反撃。5回にはボディを効かせてから右を打ち込みダウンを奪ったが、ここで倒しきれず失速してしまう。6、7回には長谷川の大逆襲で棒立ちになる場面もあった。判定はジャッジ一人が76対75で長谷川としたが、残る二人は77対74、76対75で中川を支持した。

ホープ対決は中井に軍配

中井(奥)は保坂に3-0の判定勝ち
中井(奥)は保坂に3-0の判定勝ち

 元高校王者の保坂剛(25歳=三迫)は、同じアマチュア出身の中井龍(23歳=角海老宝石)とスーパーフェザー級8回戦を行ったが、0-3の判定負け。プロ6戦目で初黒星を喫した。

 7月にもアマ出身の無敗ランカー宇津木秀(ワタナベ)と対戦し、善戦で評価を高めた中井が、この日も巧みなボクシングを展開。同じサウスポーの保坂と右ジャブを差し合い、的中率で優位に立つと、右へ右へと回り込んで保坂の強打を封じた。中盤からは保坂のプレスも強まったが、中井は接近戦でもショートの左アッパー、左ストレートを決めて譲らず。スコアは3者とも77対75だった。

「輪島3世」磯谷がKOデビュー

磯谷(右)は思い切りよく右を決めてKOで初陣を飾る
磯谷(右)は思い切りよく攻めてKOで初陣を飾る

 「炎の男」こと元世界スーパーウェルター級チャンピオン輪島功一さんの孫、磯谷大心(20歳=輪島功一スポーツ)が68.5キロ契約4回戦でデビュー戦を行い、同じくデビュー戦の羽賀彬光(35歳=DANGAN越谷)に初回1分23秒TKO勝ちした。

 ともに182センチの長身。磯谷は開始とともに左ジャブで強気に攻め込むと、羽賀の反撃にもひるまず、左フックから右クロスを返して早くもダウンを奪う。再開後、再び右ストレートを決めたところでストップが入った。

 53年前に同じ後楽園ホールで祖父が演じたのと同じ初回KOデビューを飾った磯谷。「倒せてよかった。皆さんに安心して見てもらえるよう、パンチをもらわずに勝てるようになりたい」と振り返った。ダウンを奪った後も冷静に左を上下に突くなど、非凡なところを見せた。

文/藤木邦昭 写真/小河原友信

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