明日19日、東京・後楽園ホールで開催されるOPBF東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ12回戦の前日計量が18日、東京都内で行われた。王者の中嶋一輝(28歳=大橋)はリミットより100gアンダーの53.4kg、挑戦者の栗原慶太(28歳=一力)はリミットの53.5kgでクリアし、オンラインで報道陣の取材に応じた。文_杉園昌之 写真提供_大橋ボクシングジム
初防衛戦に臨む無敗王者の中嶋は、静かな口調ながら自信たっぷりに宣言した。
「絶対にKOしたい。いつもどおり冷静に戦い、初防衛を成功させる」
KO率73%を誇る左構えのハードパンチャーは倒して勝つことへのこだわりを隠さない。今年5月の王座決定戦で千葉開(横浜光)をKOできなかったことをいまでも悔やんでいた。判定勝利では満足できないのだ。
「もっと冷静に戦わないといけないと思いました」
前回の反省を生かし、練習をみっちり積んできた。今年1月に栗原に判定勝ちを収めた元WBC世界バンタム級暫定王者の井上拓真(大橋)らともスパーリングを重ね、課題のショートパンチに磨きをかけてきた。手応えも十分ある。
「どのような展開でも倒したい。できることならば1ラウンドがいいです。狙っていくのではなく、流れのなかで倒せればと」
過去11戦同様、特別に相手を意識することはなかった。自らに矢印を向けて、プロ12戦目のリングに上がる。
中嶋(左)はKO宣言を、栗原は技術勝負に勝ちたいと言った 一方、再起戦となる元同王者の栗原は、リラックスした様子で決戦に向けて、思いをはせた。
「まさか、こんなに早くチャンスをもらえるとは思わなかったです。僕はすごく運がある。中嶋選手は国内で一番やりたいと思っていたので」
今年1月、井上拓真に9回負傷判定で敗れ、王座から陥落。持ち前の強打をいなされ、技巧派に手玉に取られた。屈辱の敗北から9ヵ月。基礎の技術から見直し、徹底して実戦練習を積んだ。サウスポー対策も抜かりない。約4ヵ月をかけて準備してきた。
「前回から成長したところを見せたい。何が何でも勝つ。自分の培ってきたものを披露する。後半くらいでKOするのが理想です」
豪腕同士の対決。否が応でも周囲はKO決着に期待を寄せるが、変貌した姿を見せることを誓う28歳は勝ち方に固執するつもりはない。
「必ず倒そうというわけではないです。技術を見せたい。相手にやりたいことをやらせず、勝つ。自分の成長を実感したいんです」
落ち着いた口ぶりには、確かな自信がにじんでいた。激戦が予想されるセミファイナルの見どころは、派手な打ち合いではないのかもしれない。
中嶋:11戦10勝(8KO)1分
栗原: 21戦15勝(13KO)6敗