米プロフットボール・NFLは現地10月18日(日本時間19日)に、テネシー州ナッシュビルで第6週のマンデーナイトゲーム、テネシー・タイタンズ対バッファロー・ビルズの一戦があり、タイタンズがビルズを逆転で破り4勝2敗とした。ビルズも4勝2敗となった。(写真はすべて Getty Images )
テネシー・タイタンズ○34-31●バッファロー・ビルズ(2021年10月18日、日産スタジアム)【得点経過】
ビルズ 第1Q 残り6:07 Kタイラー・バス 24ヤードFG
13回74ヤード, 6:19 [3 0]
ビルズ 第2Q 残り11:36 Kバス 28ヤードFG10回38, 4:27)
[6 0]
タイタンズ 第2Q 残り11:20 RBヘンリー76ヤードTDラン(キック成功)
1回76ヤード, 0:16 [6-7]
ビルズ 第2Q 残り7:54 WRステフォン・ディグス14ヤードTDパス←QBジョシュ・アレン(キック成功)
7回72ヤード, 3:26 [13-7]
タイタンズ 第2Q 残り5:04 Kランディ・ブロック43ヤードFG
7回54ヤード, 2:50) [13-10]
タイタンズ 第2Q 残り4:23 QBライアン・タネヒル4ヤードTDラン(キック成功)
2回11ヤード, 0:31 [13-17]
ビルズ 第2Q 残り0:40 WRコール・ビーズリー 29ヤードTDパス←QBアレン(キック成功)
10回75ヤード, 3:43 [20-17]
ビルズ 第3Q 残り10:49 Kバス 52ヤードFG
9回48ヤード, 4:11 [23-17]
タイタンズ 第3Q 残り4:23 RBヘンリー3ヤードTDラン(キック成功)
12回67ヤード, 6:26 [23-24]
ビルズ 第3Q 残り0:27 TEトミー・スィーニー1ヤードTDパス←QBアレン (QBアレン2点CVパス→TEドーソン・ノックス)
9回75ヤード, 3:56 [31-24]
タイタンズ 第4Q 残り9:45 Kブロック38ヤードFG
9回45ヤード, 5:42 [31-27]
タイタンズ 第4Q 残り3:05 RBヘンリー13ヤードTDラン(キック成功)
8回70ヤード, 4:56 [31-34]
太く、大きく、強く、そして速い 「KING=王様」の異名を持つRB、タイタンズのデリック・ヘンリー。191センチ、112キロの「王の偉大な力」がさく裂し、AFCトップランカーのビルズを打ち破った。ビルズのQBジョシュ・アレンもパス353ヤード3TDと活躍したが、ヘンリーにはかなわなかった。
オフェンスだけでなく、チームの大黒柱、そんな表現がぴったりするのが、ヘンリーだ。太く、大きく、強く、そして速い。ディフェンス選手のタックルを跳ね飛ばし、スティフアームでなぎ倒す。アメフトを初めて見る人でも、ヘンリーの走りには引き込まれるに違いない。
第1Q、自陣24ヤードからの1stダウン、タイタンズは最初のプレーでヘンリーにボールを託した。ヘンリーは、自軍OLがゾーンブロックでビルズDLを「掃き寄せた」エリアを加速して通過、直ぐにトップスピードに乗った。もう誰も捕まえることができなかった。76ヤードのタッチダウン(TD)。ホームの日産スタジアムの雰囲気は一変した。
2本目のTDは第3Q。ヘンリーは左のアウトサイドゾーンを力強く突進、エンドゾーンに走り込んだ。
3本目は第4Q。OLが作った狭いホールをすり抜けると、加速してエンドゾーンに飛び込んだ。これが決勝のTDとなった。
ヘンリーは20キャリーで143ヤードで、今季3回目の1試合3TDだった。3本は、すべて逆転TDだった。ここぞという場面で、必ず決めてくれるRBは、本当に頼りになる存在だ。
セレブレーションをしないかっこよさ 現代のNFLで、軽視されがちなポジションがRBだ。今春のドラフトでヘンリーのアラバマ大学の後輩、ナジ-・ハリスが1巡24位でスティーラーズに指名されたときに、米の多くのメディアが批判した。ハリスが力不足だというのではなく、RB指名に1巡を使うのがもったいないという考えに基づく批判だった。
ヘンリー自身も、2016年のドラフト2巡45位だった。前年にアラバマ大で2219ヤードを走り、カレッジフットボール最高の栄誉であるハイズマントロフィーを受賞しながら、屈辱の指名順位だった。「アラバマ大の強力なOLだから走れた」「RBとしては大きすぎ、加速力がない」「パス捕球能力に疑問符が付く」というのが評価が下がった主な理由だった。
低評価への反論を、ヘンリーは記者会見ではなく、フィールドで見せ続けた。2018年に初めて1000ヤードラッシャーとなり、翌2019年は1500ヤード超え。昨シーズンは2027ヤードを走って、史上8人目の2000ヤードRBとなった。今季は6試合で783ヤード。今季から17試合制となったこともあり、前人未到の2年連続2000ヤードラッシャーの可能性すらある。
ヘンリーはオールドスタイルだ。今のNFLのオフェンススターと違って、TDを決めても、ほとんどセレブレーションをしない。「俺は、プレーが一番かっこいいのだ」と自負しているように見える。
タイタンズは、ヒューストン・オイラーズだった時代から、強力なパワーRBを生んできた。アール・キャンベル、エディー・ジョージ。その系譜を継いでいるのがヘンリーだ。ヘンリーは、この日、1試合2本以上のラッシングTDが17試合目となり、偉大な先輩で、殿堂入りの名RBでもあるキャンベルと並んだ。
オールドスタイルゆえの負傷への不安は付きまとう。タイタンズのマイク・ブレイベルHCも、チームメートも、そしてファンもヘンリーがヘルシーに走り続けることを願っている。ヘンリーが元気であれば、結果はついてくるとわかっているから。