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2021-11-12

【ボクシング】重岡優大が4戦目でWBOアジアパシフィック王座獲得。元OPBF王者・小浦翼を接戦で制す

重岡(左)と小浦のボディアッパーが交錯!

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 12日、東京・後楽園ホールで行われたWBOアジアパシフィック・ミニマム級王座決定戦12回戦は、3位の重岡優大(24歳=ワタナベ)が、元OPBF東洋太平洋王者で2位の小浦翼(27歳=E&Jカシアス)を115対113、115対113、114対114の2-0判定で下し、新王者となった。

文_本間 暁 写真_馬場高志

「正直言って、どっちが勝ってもおかしくない試合だった」とベルトをヒザに置いた重岡は、弟で前王者の銀次朗と顔を見合わせた。

 たしかに大接戦だった。フットワークと回転力のある小浦だが、こちらが動くことを極力抑え、遠い距離からの右ストレートをボディに送ってペースを握りかければ、サウスポーの重岡は、小浦を迎え打って、入り際に右フックを合わせ、小浦の右ストレートを外しては左オーバーハンドを狙った。その左を先に打たせて、今度は小浦が右を狙う。ともに芯をずらしていてジャストミートを奪えない試合。どちらがペース、リズムを奪っているかわからないラウンドが延々と続いた。

小浦の右ストレートが重岡のボディを捉える
小浦の右ストレートが重岡のボディを捉える

「コロナ禍で試合ができない間に、ひと回りもふた回りも成長した」と自負する小浦は、動き回らずに中間距離、もしくは接近戦を果敢に挑んでいく。中間距離が得意な重岡は、これに戸惑う素振りを見せたものの、クリンチ際の戦いはともにショートボディを叩き、これもまた互角に見えた。

「小浦選手はクリンチ際が上手かった。キャリアを感じた」という重岡。だが、ほんのわずかの空間を作り出し、右ショートアッパーをトリプルで見せるなど、“大器”の片鱗はチラホラ。しかし、「中盤くらいで倒せると思って試合に臨んだが、途中からこれは無理だと考えると、どうしようか考え、迷う時間が増えた」のだという。開新高校時代に全国大会4冠。拓殖大在籍時の2018年全日本選手権ライトフライ級優勝など、輝かしいアマチュアキャリアがあるものの、プロではまだ4戦目。長丁場を戦うのも初めてのことで、プロキャリアで優に勝り、「その意地を見せつけたい」と語っていた小浦は、もっともっと重岡を苦しめたかった。「あれは本当に鬱陶しかった」(重岡)という右ボディストレートや、追い足を欠く新鋭を、かつてのように縦横無尽に動き回って翻弄したかった。

重岡の左が小浦の顔面にヒット
重岡の左が小浦の顔面にヒット

 小浦は左ボディブローも随所に決めて、重岡の動きを奪ったように見えた。だが、その都度もみ合いとなり、離れては重岡が迫力あるブローを振るう。終盤にもっと重岡の動きが落ちてくることを予想していたのかもしれないが、引き出しの多い小浦は、それらを存分に生かして、その動きを奪う手立てが必要だったと思う。

弟・銀次朗とともに、ホッとした表情を浮かべた 写真_本間 暁
弟・銀次朗とともに、ホッとした表情を浮かべた 写真_本間 暁

「スッキリと倒して、『次は世界』と言いたかったけれど、これでは……。もっと経験を積んで、みんなが『世界』と言ってくれるようになるまで頑張りたい」と重岡。苦しいせめぎ合いをしのいで、わずか4戦目で12ラウンドを戦ったのは、紛れもなく良い経験。随所に甘さも見えたが、この試合をしっかりと振り返れば、グンと伸びるはずだ。

 重岡は4戦4勝(2KO)。小浦は17戦15勝(10KO)2敗。

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