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2021-12-02

【NFL】QBマック・ジョーンズ、1年目のトム・ブレイディを超える 第12週まとめ

大先輩QBブレイデイの先発1年目のパス記録を超えたペイトリオッツのQBマック・ジョーンズ=photo by Getty Images

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NFL第12週、日曜日のゲームでは、今季のNFCとAFCを占う重要な対決があり、パッカーズがラムズを、ペイトリオッツがタイタンズを破った。この両チームは今季のスーパーボウル出場有力候補の一角とみてよさそうだ。ラムズは11月の大型補強が実らずに3連敗。序盤が上手く行きすぎた面もあるが、QBスタフォードのパフォーマンスに不安定さが増しているのが気がかりだ。
 個人の記録では、ペイトリオッツのルーキーQBマック・ジョーンズが、先発1年目のトム・ブレイディのパス記録を超えたことに注目したい。ジョーンズは、入ったチームが様々な点でフィットしていたことは大きいが、今季の5人のドラフト1巡指名QBの中では、ただ一人違う次元に進んでいることは確かだ。(写真はすべて Getty Images )


ノーミスの男、ジョーンズ ペイトリオッツは6連勝
◇ペイトリオッツ36 vs タイタンズ13◆タイタンズのブリッツをチェックするペイトリオッツQBジョーンズ=photo by Getty Images
◇ペイトリオッツ36 vs タイタンズ13◆
ペイトリオッツが6連勝、AFC東地区首位の座を堅持した。ルーキーQBマック・ジョーンズが、キャリアハイとなる、パス310ヤード、2TDでINTなし。開幕からの6試合では5INTだったが、直近の6試合では2INTとミスをしなくなってきた。12試合でパス2850ヤード、先発昇格1年目のトム・ブレイディ(2843ヤード)を超えた。

ブレイディとジョーンズの先発1年目の主なパス成績は以下の通り

マック・ジョーンズ(2021) 12試合 268/381 70.3%  2850ヤード 16TD 8INT  8勝4敗
トム・ブレディ(2001)    15試合 264/413  63.9%  2843ヤード 18TD 12INT 11勝3敗

 ただし、この試合タイタンズが敗れた最大の原因は、自軍のボールセキュリティーの問題だ。QBライアン・タネヒルが1INT、さらにオフェンスが5回のファンブル、うち3回をロストした。
 この試合、タイタンズは「キング」デリック・ヘンリーが負傷欠場となって以降初めて、ランオフェンスが機能した。ドンタ・フォアマン、ドントレル・ヒリヤードという、カレッジフットボールでは名を馳せたがNFLでは伸び悩んでいた若手2人が、揃って自己最多となる100ヤード越えのランを見せた。チームランはトータル270ヤードだった。
 ところが、フォアマン、ヒリヤード、それにFBのカリ・ブラッシンゲームまでもがファンブルロストした。タネヒルのINTも含めて、すべてオフェンスがリズムよく攻め込んだ場面で起きた。ハードノーズで堅固なフットボールを身上とする、マイク・ブレイベルヘッドコーチ(HC)のチームとは思えなかった。
 そのブレイベルHCは、 アドバンテージを保てるはずの対ルーキーQBの戦績が1勝5敗だという。これも不思議なことだ。

スタフォードが3試合連続「ピック6」喫す
◇パッカーズ36 vs ラムズ28◆ ラムズWRベッカムへのパスをカットするパッカーズCBダグラス=photo by Getty Images
◇パッカーズ36 vs ラムズ28◆
ともに強力なオフェンスを有し、NFCの覇権を争うトップコンテンダーの争いは、パッカーズが凱歌を上げた。
 ラムズが第4Qに挙げた11点のため、得点上は接戦に見えるが、試合のかなりの部分は、パッカーズが10点以上をリードした時間帯が続いた。
 ラムズのマシュー・スタフォードは307ヤード3TD、パッカーズのアーロン・ロジャースは302ヤード3TDと、2人のQBのパスは、成果の部分は同じだ。しかし、ロジャースはターンオーバーゼロだったのに対し、スタフォードは1インターセプト、1ファンブルロスト。インターセプトはリターンTD(ピック6)された。
 スタフォードのピック6は3試合連続で、スーパーボウル開始以降のQBとしては11人目。スタフォードは開幕から8試合でパス22TD、4INTだったが、直近の3試合は5TD、5INTとなった。
 スタフォード1人が悪いわけではない。今のラムズはランオフェンスが弱い。RBダレル・ヘンダーソンは、スピードがあり、パスキャッチ能力も持つが、コンスタントに走り続けるワークホースではない。1人でランオフェンスを背負うほどの力はない。
 2ポゼッション差を追う展開ということもあり、ラムズのランは20プレーにとどまった。さらに、13回のオフェンスシリーズで、ファーストダウンを2回以上更新したのがわずか3回。3分以上連続したドライブが一度もなく、反対に1分以下でボールを再びパッカーズに渡したドライブが、5回もあった。
 その結果、タイムオブポゼッションは、ラムズ20分20秒、パッカーズ39分40秒となった。
 パッカーズは、ダバンテ・アダムスとランドール・コブの2人のエースWRが好調だったが、QBロジャースが2人に投げたのは、合計28回のコンプリートパスのうち12回だけ。長身のマーキーズ・バルデススキャントリングやRBのA.J.ディロンなどにも投げ分けた。ランでも、ディロンが20キャリー、アーロン・ジョーンズが10キャリー。2人のランはいずれも最長で8ヤードとビッグプレーは無かったが、オフェンスの基盤となり続けた。
 ラムズの11月は、OLBボン・ミラーのトレード獲得で始まった。さらにWRオデル・ベッカムジュニアを加入させた。フットボールはスター選手を加入させれば、戦力をそろえれば、チームが強くなるわけではない。皮肉にもラムズは3連敗によって、それを他チームに示した。 幸い、まだ7勝4敗、6試合が残っている。焦らずに立て直したい。
 9勝3敗のパッカーズは最高の形で、来週のバイウィークを迎える。NFLの歴史に残るパサーでありながら、スーパーボウル出場が過去16シーズンで1回というのは、ロジャース自身が一番気にしているだろう。「今季こそ」その言葉が胸にあるに違いない。

フォーネット4TD、コルツに逆転勝ち
◇バッカニアーズ38 vs コルツ31◆計4TDと大活躍したバッカニアーズRBフォーネット=photo by Getty Images 4/6  ◇バッカニアーズ38 vs コルツ31◆計4TDと大活躍したバッカニアーズRBフォーネット=photo by Getty Images
◇バッカニアーズ38 vs コルツ31◆
 このところ、AFC南地区からは優れたRBが生まれる。デリック・ヘンリー(タイタンズ)、ジョナサン・テイラー(コルツ)。しかし、この2人に先駆けてスターRBになるはずだったのが、元ジャガーズのレナード・フォーネットだった。フォーネットは、この日、その能力を遺憾なく発揮した。ランは17キャリーで100ヤード3TD。試合を決めたのは、第4Q、残り20秒での決勝TDランだった。ボールをハンドオフされると、加速しながら右サイドを突き、プルアウトしてきたRGアレックス・カッパの内側を猛スピードで走り抜けた。一瞬タックルされかけたが振りほどき、一気にエンドゾーンまで28ヤードを走り切った。
 フォーネットは、ランだけではなく、パスでも7キャッチ31ヤード1TDを記録した。この日は「GOAT」トム・ブレイディの調子が今一つだったため、7/8と落球しないフォーネットの存在価値はとても大きかった。
 コルツのオフェンスは好調だった。QBカーソン・ウェンツがバッカニアーズのパスディフェンスを切り裂き、前半でパス197ヤード、3TDを獲得し、10点をリードした。しかし、第3Qのドライブで2回続けてQBウェンツが起点となるターンオーバー(ファンブルロストとインターセプト)を喫し、その都度バッカニアーズがTDした。ウェンツは、試合最後のプレーでヘイルメアリーパスをINTされており、この試合は2INTとなった。
 先週、ランとパスキャッチの合計で205ヤード5TDの活躍を見せたRBテイラーは16回83ヤード。決して不振というわけではなかったが、ボックス(OLの左右Tの間のエリア)に7人以上のディフェンダーが集中しているときは、5回のラッシュで4ヤードとほぼ完封された。
 バッカニアーズのTEロブ・グロンコウスキーはパス7キャッチ123ヤード。プレーオフを含めて通算34回目の100ヤード越えとなった。1950年以降ではNFL最多タイ。またQBブレイディは、プレーオフを含めて対コルツ戦は無敗。連勝記録を9に伸ばした。

ブラウンズQBメイフィールドに疑問の声が
◇レイブンズ16 vs ブラウンズ10◆オフェンスの不振で、地元から「懐疑論」も出始めたブラウンズQBメイフィールド=photo by Getty Images 5/6  ◇レイブンズ16 vs ブラウンズ10◆オフェンスの不振で、地元から「懐疑論」も出始めたブラウンズQBメイフィールド=photo by Getty Images=photo by Getty Images
◇レイブンズ16 vs ブラウンズ10◆
元ブラウンズ対新ブラウンズの対戦は、「元」のレイブンズが競り勝った。レイブンズはラマージャクソンが4INTを喫する最悪の出来だったが、ディフェンスがブラウンズのオフェンスを抑え、NFL最高のKジャスティン・タッカーが52ヤード、49ヤードを含む3本のフィールドゴール(FG)を決めた。
ブラウンズは、オフェンスが過去3試合で1試合平均10得点と不調。QBベイカー・メイフィールドへの懐疑論も、地元メディアなどで出始めている。メイフィールドの契約はルーキー時の5年のままで、5年目のオプションを行使せずに放出すべきという意見の記事もある状況だ。


◇ジャイアンツ13 vs イーグルス7 ◆
イーグルスが自滅の痛い7敗目でプレーオフ戦線から大きく後退。QBジェイレン・ハーツが3INTを喫した。ジャイアンツは開幕から11ゲーム連続で1ターンオーバー以上を記録した。

◇ドルフィンズ33 vs パンサーズ10◆
ドルフィンズQBタゴバイロアがパス成功率87.1%というパフォーマンスで勝利に貢献。一方のパンサーズQBニュートンはランでキャリア73回目のTDを記録しながら、パスが不調で、途中降板となった。ニュートンのラン通算74TDは、RBも含めた1巡指名選手の中では2位。1位はRBアール・キャンベル(元オイラーズ)の74。
◇ドルフィンズ33 vs パンサーズ10◆パンサーズQBニュートンに語りかけるドルフィンズQBタゴバイロア=photo by Getty Images


パスとランが噛みあい49ers「貯金1」
◇49ers34 vs バイキングス26◆パワフルなランアフターキャッチでTDを決める49ERSのWRサミュエル=photo by Getty Images 6/6  ◇49ers34 vs バイキングス26◆パワフルなランアフターキャッチでTDを決める49ERSのWRサミュエル=photo by Getty Images=photo by Getty Images
◇49ers34 vs バイキングス26◆
49ersがパスとランが噛みあい、3連勝。4連敗の後の直近の5試合を4勝1敗で、「貯金1」とした。バイキングスは5勝6敗と黒星先行だが、敗れた6試合すべてが8点差以内となっている。

◇ベンガルズ41 vs スティーラーズ10◆
スティーラーズが昨シーズンから対ベンガルズ戦3連敗、1989年以来となる31点差の大敗だった。2INTのQBベン・ロスリスバーガーは、今季パス40回以上の6試合は1勝5敗となった。

◇ファルコンズ21 vs ジャガーズ14◆
復帰のファルコンズRBコーダレル・パターソンがランとパスキャッチで135ヤード2TDと活躍、勝利の原動力となった。ジャガーズは7点差以内の負けが3回目となった。

◇ブロンコス28 vs チャージャーズ13◆
チャージャーズが地区内ライバルのブロンコスに痛い黒星。RBオースティン・エケラーのランが不調で、QBジャスティン・ハーバートが2TDも2INTを喫した。ブロンコスは、QBテディ・ブリッジウォーターのTDランで先制すると、その後も主導権を取り続けた。

◇ジェッツ21 vs テキサンズ14◆
ジェッツのルーキー、ザック・ウィルソンが被サック4、テキサンズのタイロッド・テイラーが被サック5と、QBを守れない戦いとなった。ジェッツが1時11点のリードを奪われたが、後半ラン107ヤードで逆転勝ちした。

【小座野容斉】

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