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2021-12-07

【ボクシング】「相手が嫌がることを徹底的に」。14日、王者メンデスに挑む谷口将隆が練習公開

なんでもできる万能型のボクサーだ

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 14日、東京・両国国技館でWBO世界ミニマム級王者ウィルフレド・メンデス(25歳=プエルトリコ)に挑む同級1位の谷口将隆(27歳=ワタナベ)が7日、オンラインで練習を公開した。

写真提供_ワタナベボクシングジム

 後輩・川畑嗣穂(かわばた・しすい)を相手にしたスパーリングは4日に打ち上げ。王者メンデス(16勝6KO1敗)は、自身と同じサウスポーで、「当初サウスポー相手は右と勝手が違ったので戸惑いがあった」が、約120ラウンドのスパーを重ねて解消した。

 新型コロナウイルスの新種『オミクロン株』の国内感染者も確認されたことを受け、政府は先ごろ外国人の入国を禁じたが、メンデス陣営はその前日にすでに来日。1週間後の試合に向けて、すべての準備が着々と整えられている。「こんな状況にあるにもかかわらず、たくさんの方がこの試合実現に向けて努力してくれた。その感謝は、勝って表すしかありません」

 2016年に、京口紘人とともに“関西リーグのトップ選手”としてプロデビュー。翌年、日本、東洋太平洋といずれも王座決定戦に臨む機会が訪れたが、いずれも惜敗。2019年2月には、当時のWBO王者ビック・サルダール(フィリピン)に挑んだが0-3の完敗を喫した。
 ワンチャンスをしっかりとものにし、世界2階級を制覇していった京口との差を過剰に意識し、焦りを必要以上に募らせた時期もあった。

伯耆トレーナーの持つミットに、多角的で強弱をつけたブローを突き刺していった
伯耆トレーナーの持つミットに、多角的で強弱をつけたブローを突き刺していった

「最初に日本、東洋をやったころは、勢いというよりも行き当たりばったりだった。サルダールに負けて以降、考えて(ボクシングを)できるようになった」

 復帰戦となった日本王座挑戦者決定戦では、若き強打者・石澤開(M.T)の一撃を食って大ピンチに陥ったものの、サルダール戦にあった精神的脆さを克服した姿を披露して勝利。昨年12月には、2度目の挑戦でしっかりと日本王座をものにしてみせた。

 元々、巧みなステップワークに乗って、攻めることも守ることもできるオールラウンダー。バランスのよいアウトボクサーのメンデスに対し、「後手に回るとポイントをどんどん取られてしまうので、挑戦者という意識を強く持っていきたい」という。だが、“攻める一辺倒”で気持ちが空回りしてうまくいかなかったのが最初の世界挑戦。同じ過ちは2度と犯さない、というのが谷口の強い決意。「相手がイヤやなーと思うことを徹底してやりたい。したいことをさせない」

オンライン会見より。「余裕はないけど、いい意味での落ち着き、心のゆとりですね」。人としても成長した姿をメンデスにぶつける!
オンライン会見より。「余裕はないけど、いい意味での落ち着き、心のゆとりですね」。人としても成長した姿をメンデスにぶつける! 

 自身の失敗に正面から向き合い、平常心で自分自身をありのままに出すメンタルを手に入れたように感じる。「残り1週間、俯瞰して見つめ、最後の最後まで、まだやれることを見つけていきたい」──この言葉や口調に、彼の人としてのスケールアップを感じる。

 シャドーボクシング、伯耆淳トレーナーとのミット打ち、サンドバッグ打ちは軽めのものだったが、リズムに乗ると飛び出す得意のサイドへのステップがチラチラと飛び出した。

 17戦14勝(9KO)3敗──。敗北、屈辱を知り、這い上がってきた男の強さを、チャンピオンに味わわせる。そういう覚悟を持った落ち着きが、ひしひしと感じられた。

文_本間 暁

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