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2021-12-12

【ボクシング】鮮烈KOで井上尚弥との再戦にゴー! ドネアが左ボディ一撃で沈める

ドネアは右中心の攻めに重点を置いたが、試合を決めたのは一瞬のすきをついた左ボディブローだった

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WBC世界バンタム級チャンピオン、ノニト・ドネア(39歳=フィリピン)対同暫定チャンピオン、レイマート・ガバリョ(25歳=フィリピン)のタイトルマッチ12回戦は11日(日本時間12日)にアメリカ・カリフォルニア州カーソンで行われ、ドネアが4回2分59秒、左フックのボディブロー一撃でKO勝ち。4月、ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)から奪った王座の初防衛に成功した。ドネアは井上尚弥(大橋)との再戦をこの戦いで猛烈にアピールした。

 これが20年にも及ぶキャリアの力というものだ。14歳も年下で、勇敢なガバリョの若々しいアタックを、ドネアはじっくりとやり過ごしながら、少しずつ対戦者の力を吸い取っているようにも見えた。それから、じっくりとプレッシャーをかけていく。かつてのスピードはもうない。が、攻防の重みはある。確実に流れを手繰る寄せる。懸命に抗うガバリョにスキができる。ドネアは見逃さなかった。左フックをレバーにグサリ。痛みに耐えきれず、ガバリョはヒザを折った。レフェリーのレイ・コロナのカウントが9を数えたとき、ガバリョは立ち上がりかけたが、再び右ヒザをつき、そのままカウントアウトされた。

 一度はピークを越えたも言われたドネアだが、2年前の井上との激闘(判定負け)で完全に目を覚ましたのかもしれない。ただし、できることは限られる。妻レイチェルをチーフセコンドにリングに立ったこの夜も同じ。ゆっくりと対戦者の周辺を囲い込み、さらに追い込んで、自分のパターンにはめ込んでいったのだ。

 ここまで24戦全勝20KOのガバリョが果敢に攻めた。ジャブを飛ばし、ワンツーも飛ばしてくる。ドネアが右を飛ばしてくると左フックのカウンターで合わせて、ドネア・ファンをぎくりとさせるシーンもあった。2ラウンドまで、やや押され気味、あるいは様子見重視だったドネアだが、3ラウンドからは、攻防のポイントを見きわめ、得意の左フックでなく、右パンチを中心にした攻めを組み立てた。それは、血気に逸るガバリョが作るスキを呼ぼ寄せる手段でもあった。勝負を決める決定打は、そして、4ラウンド終了間際に打ち込まれる。ドネアの攻めをガバリョが右ストレートで追い返そうとした直後、左をレバーに突き刺した。
敗者のガバリョに駆け寄り慰めるドネア。この気遣いがあるからファン、選手から尊敬を集められる
敗者のガバリョに駆け寄り慰めるドネア。この気遣いがあるからファン、選手から尊敬を集められる

 試合後のインタビューで、のっけから「目標は統一戦です」と口にしたドネアは、望みが井上尚弥戦であることを明らかにした。その注目の一戦がもう間近に待っているのは間違いない。

「さすがのキャリアで落ち着いた試合運びで安定感を感じた。フィニッシュのボディにもさすがという言葉しか出てこなかった。これでドネア2が実現に近づいたので、14日はしっかりとクリアしてドネア2を実現させたいです」(原文まま)。14日、アラン・ディパエン(タイ)との対戦を控える井上は、試合後にこのコメントをリリースしている。

 ドネアは48戦42勝(28KO)6敗。

文◎宮崎正博 写真◎ゲッティ イメージズ

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