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2021-12-28

【箱根駅伝の一番星】「最後まで攻め切る走りを」大エースの田澤廉が駒澤大学を連覇へ導く

主将の田澤は箱根連覇のみを見据える(写真提供/駒澤大学陸上競技部)

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陸マガの箱根駅伝2022カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」は出場20校の注目選手を紹介。今年度、駒澤大学の主将を務める田澤廉(3年)は出雲駅伝、全日本大学駅伝ともに他を圧倒する走りを披露。12月には10000mで日本歴代2位の記録でオレゴン世界選手権の標準記録を突破した。残すは連覇が懸かる箱根駅伝のみ。8度目の優勝へ照準を絞っている。

圧巻だった全日本大学駅伝

今大会、最も注目すべき選手といって間違いないだろう。

5月の日本選手権10000mで2位。昨年の8位に続いての好結果で、実力は実業団まで含めても日本のトップクラスにあることを改めて示した。その実績をひっさげての3度目の大学駅伝シーズンは、出雲駅伝こそ区間順位でイェゴン・ヴィンセント(東京国際大3年)の後塵を拝す区間2位だったものの、果敢な走りで3つ順位を上げた。そして圧巻だったのが全日本大学駅伝の7区17.6㎞。先頭と1分36秒差の4位で走りだすと、タスキを受けた直後からハイペースを維持し、13.5kmでトップに立った。

「自分の力ならば行けると思っていました。区間新記録を出すくらいのペースで行こうと考えていて、前半から突っ込めたと思います」

区間記録の更新こそならなかったが、この区間の日本人最高記録を出し、駒澤大の全日本連覇の道筋を作っている。

「走力の向上という意味ではスタミナがついた点が一番大きく、駅伝で後半にペースが落ちなくなった点に彼の成長が表れています。キャプテンとして“自分がやらなければ”という気持ちも大きいでしょう。ただ前半はもっと突っ込めると思いますし、まだまだ驚くレベルではないですね」

大八木弘明監督は成長を認めながらも、「まだまだこんなものではない」とさらなる期待をかける。

日本人トップは最低限

そして12月4日、田澤はまた大きな記録をつくった。日体大長距離競技会で27分23秒44の日本人学生歴代最高、かつ日本歴代2位のタイム。この冬に成し遂げたいと考えていた来年のオレゴン世界選手権標準記録の突破も果たした。レース後は「世界で戦う場を自力で勝ち取ることができた」と感慨深げな表情を見せていた田澤。ここでヴィンセントに競り勝ったことも自信となり、気分よく箱根に向かっていける。

「箱根では日本人トップは最低限の目標です。2区はきついですが、2区を行くとなれば最後まで攻め切る走りをします」

前回は2区区間7位。総合優勝を果たし、チームの仲間が歓喜に沸くなか、「うれしいですけど、自分が活躍していないので心底喜べないですね」と微妙な表情を浮かべていた。得意ではないという上りも1年間かけて取り組み、攻略の手応えをつかんでいる。今大会は主将として、そして世界で戦うステップとして。強気な走りで、駒澤大を再度の栄冠に導く。


12月には10000mでオレゴン世界選手権の標準記録を突破(写真提供/駒澤大学陸上競技部)

文/加藤康博 

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