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2021-12-27

【高校駅伝】男子は世羅高が2時間01分21秒で連覇

連覇を果たし優勝回数を「11」に伸ばした世羅高(写真/田中慎一郎)

男子第72回全国高校駅伝競技大会は26日、京都市たけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)を発着点に7区間42.195kmのコースで行われ、世羅高(広島)が1区から首位を守り切り、2年連続、史上最多となる11回目の優勝を2時間01分21秒で果たした。中盤までトップ争いを演じた洛南高(京都)は終盤区間で引き離されたものの、2時間01分59秒の高校最高記録で2位。前回2位の仙台育英高(宮城)は3位で終えた。

世羅が執念の連覇

名門の底力を見せつけるような2連覇だった。脚でけん引し、精神的な支柱となっていた塩出翔太(3年)が故障でまさかの欠場。大会直前に13分台ランナーを失う影響の大きさは想像に難くないだろう。不測の事態に陥ったなか、オーダーリストに書き込まれた選手たちは、キャプテンの分まで走ることを心に誓った。

エース区間の1区を務めた森下翔太(3年)から気迫の走りを見せた。レース前には切磋琢磨してきた塩出と固い約束を交わしていたのだ。「区間賞を取る」と。持ちタイムは関係なかった。数字だけを見れば、ライバルたちに見劣りしたかもしれない。それでも、絶対の自信を持っていた。すべての力を絞り出すようなラストスパートを見せ、1位でタスキをつないだ。

1区の気持ちがにじむ走りは、チームを流れに乗せた。2区は中村海斗(2年)がしぶとく粘る。区間12位と苦しんだが、2位の洛南に迫られながら必死に耐えた。思わぬ誤算は3区。レースプランではコスマス・ムワンギ(3年)の区間で大きな貯金をつくるつもりだったが、洛南高の佐藤圭汰(3年)が予想以上に食らいついてきた。区間賞と力走しても、2位とは15秒差。

新宅昭二監督は中盤以降、苦しい展開を強いられることも覚悟した。しかし、ここから選手たちが期待以上の働きを見せた。4区の吉川響(3年)は抜きつ抜かれつの競り合いでも負けなかった。

「並ばれてからが勝負だと思っていました」

走りたくても走れなかった主将の塩出は、小学校時代からの盟友。「塩出の分まで絶対にやってやる」と自ら言い聞かせていた。都大路での8.0875kmは実力以上のパワーが出たという。

チームは勝負どころを乗り切ると、5区の小島悠生(2年)、6区の花岡慶次(3年)が少しずつタイム差を広げた。7区の村上響(2年)は24秒のリードを生かし、落ち着いて走り抜いた。最後は王者らしく悠然とトラックを一人で走り、気持ちよく優勝のゴールテープを切った。

 予期せぬ事態を乗り越えてつかんだ連覇は格別である。

「1区からみんなが責任を持って走ってくれた。感動している」

新宅監督の言葉には実感がこもっていた。

文/杉園昌之 写真/田中慎一郎

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