生実況を聴きながら離れた場所にいる人々と同時にランニングを楽しめるアプリ「ライブラン」で1月22日(土)に新しい企画がスタートした。「フレフレ!2022」は、ホストである瀬古利彦さんが縁のあるゲストを招いておしゃべり&生実況、参加者(ライブランナー)はそれを聞きながらランニングやウォーキングをするというもの。記念すべき第1回に招かれたのが、バルセロナ、アトランタの2つのオリンピックでメダルを獲得した有森裕子さん。約180人の参加者は瀬古さんと有森さんの声援を受けながら、それぞれのゴールを目指した。これは1つのマラソン大会「コロナ禍でマラソン大会が中止や延期になり、みんなで集まって走る機会が失われました。しかし、このアプリでは参加者が同時に走れます。初めて知った時にはこんなシステムがあったのだなあと思ってびっくりしました。みんなで1つの目標に向かって走る、1つのマラソン大会みたいなものです。昨年は『GOGO! 2021』という企画を行いました。今年はバージョンアップして、『フレフレ!2022』です」
瀬古利彦さんは、 企画の意図をこう説明する。『GOGO! 2021』は進行役のM Cがいたが、『フレフレ!2022』では、瀬古さん本人が進行役を務める。「徹子の部屋ではなくて、トシヒコの部屋」です」と笑う。
有森さんは、『GOGO! 2021』にもゲストとして参加した時にこのアプリに感銘を受けて、自身が理事長を務めるスペシャルオリンピックス日本で、コラボ企画を展開した。
「正直いうと、最初は『イベントはリアルじゃなきゃ』って思っていたんです。でも、リアルイベントではできないことがこのアプリではできます。障がいのある人は、マラソン大会にその障がいのカテゴリーがないとか、遠くの会場まで行けないとか、リアルなイベントに参加できないということがあります。しかし、ライブランでは自分の住んでいるところで参加できます。自宅からでもスタートできるのでとても便利。共生社会に必要なツールだと思います」
ほかにもリアルイベントではできないが、このアプリでできることがあると瀬古さんと有森さんは声を揃える。それは、参加者全員に声をかけられること、ランナーに寄り添うことだ。
「マラソン大会で声をかけられる人は限られています。しかし、このアプリでは全員の名前を読み上げることができるし、タイムも伝えられます」(有森さん)
「今日はおしゃべりをしすぎて、あまり声かけができませんでしたけど(笑)、瀬古さんと一緒に走っているようだとよく言われます」(瀬古さん)
トークでは、さまざまな話題が飛び出した。雪国で走っているランナーがいることを知ると、元女子マラソン世界記録保持者のイングリッド・クリスチャンセンさんが、クロスカントリースキーに取り組んだこと、有森さんがスノーシューで走ったこと、雪の上を走ると腿上げになるなど、話は膨らんでいった。
コーヒーの話題では、深煎りが好みの有森さんが自身で焙煎していること、2人のおすすめのコーヒー(瀬古さんはセブンイレブン、有森さんはスターバックスのダブルソイラテ)が紹介された。箱根駅伝の結果に対して母校の結果に2人が落ち込んだり、推しのミュージシャンの話になったり、トークはテンポよく展開していった。
ランニングを盛り上げる使命感トークの間には、走っている人たちの走行距離やコメントが紹介された。40分はあっという間に終わり、男子のトップ3は10km以上、女子のトップ4は8km以上を走り切った。
「デジタルを活用することで実際に会わなくてもできることがあります。ランナー人口を減らさない、ランを応援する人を減らさない、そういう使命感を持っています。Qちゃん(高橋尚子さん)がツイッターで情報を発信しているように、ランニングを盛り上げていくという意識が高まっているのは当然の流れですよ」新型コロナによってリアルな交流が制限されているからできないのではない。新しい技術によって、人々がつながりを持てること、同じ目的で同じ時間を共有することによってランニングのコミュニティを維持、拡大できると有森さんは強調する。
瀬古さんは、この企画を通してランニングの輪をより大きくしていきたいと夢を語る。そのためには陸上界だけでなく、より多くの人を巻き込んでいきたいようだ。
「とにかく陸上競技のファンを増やしたい。でも、陸上競技の世界だけを見ていたらファンも増えません。『フレフレ!2022』では次回以降、いろいろなジャンルのゲストをお招きします。彼らが発信することで陸上競技やマラソン、ランニングのファンを増やしていきたい」
第2回は2月下旬に予定されている。スケジュールや豪華ゲストは、ライブランのホームページに掲載される。
ランを終えた後には、ライブランでは初めての試みとして参加したランナーとZoomでの会話を楽しんだ