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2022-01-26

【ボクシング】古橋岳也と久我勇作の再戦はドロー。日本スーパーバンタム級タイトル戦

中間距離で打ち合う古橋(左)と久我。ともに決定打は打ち込めなかった

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日本スーパーバンタム級タイトルマッチ、チャンピオンの古橋岳也(川崎新田)対前チャンピオンで1位挑戦者の久我勇作(ワタナベ)の10回戦は、25日、東京・後楽園ホールで行われ、激しいペース争いの末、引き分けに終わった。両者は1年と3日前、立場を違えて対戦し、そのときは古橋が劣勢を一気に挽回する9ラウンドTKO勝ちでタイトルを奪っていた。古橋は2度目の防衛に成功した。

勝負の後半戦、互いに主導権を奪いきれず

 因縁の再戦は5ラウンド終了後の途中採点発表から、ポイント獲得競争に興味は絞られる。細かく体を動かしながら旺盛に前に出る古橋と、急所近くにヒットを重ねながらも往時の躍動感に乏しい久我の前半戦、ジャッジ3者のスコアはいずれも久我のリード。ただし、2者が48対47の僅少差。タイトル争奪を振り分けるのは、その後の主導権争いがすべてになる。

 迎えた6ラウンド、古橋が大きなチャンスを作る。左フックのボディブローが決まり、久我の動きがガクンと落ちたのだ。チャンピオンの集中打に久我は防戦一方に陥る。これでポイントはイーブン。流れは古橋へと完全に傾くと思われた。事実、7ラウンドは明白に優勢に戦っている。

 ところが、8ラウンド以降は再び微妙な展開になる。ひと回り体が大きい久我は距離をとり、右ストレート、左フックを打ち込む。9ラウンドは立ち上がりから攻勢をかけ、手数で上回る。最終回も、こと効果的なパンチという意味では久我が上回ったかもしれない。古橋も連打速攻で見せ場は作るものの間欠的で、ジャッジを惑わせるまでがやっと。決定的な優勢点はつながらなかった。
ジャッジの心証を互いにつかめず、激戦はドローに終わる
ジャッジの心証を互いにつかめず、激戦はドローに終わる

 スコアは96対94で久我の勝ちが1人。残る2人が95対95としていた。

「ボディも効かされた、負けたと思いました」と語った久我は、2度目のタイトル返り咲きならず。今後について多くは語らなかった。一方、

「前回も今回もボコボコに打たれたので負けたか、と」とこちらも敗北宣言から会見を始めた古橋だが、結果として王座は守っただけに表情は明るかった。今回の結果を見て陣営は多少の軌道修正を加えるとしながらも、アジア・エリアの上位タイトルを目指すことになるのだろう。

 古橋は38戦28勝(16KO)8敗2分。久我は27戦20勝(13KO)5敗2分。
重里(右)のシャープなパンチに、32ヵ月ぶり登場の黒田はついていけず
重里(右)のシャープなパンチに、32ヵ月ぶり登場の黒田はついていけず
向山(右)が独特の間合いから放つパンチに清田はあっさりと崩れた
向山(右)が独特の間合いから放つパンチに清田はあっさりと崩れた

世界挑戦2度の黒田雅之が完敗

 前座のスーパーフライ級8回戦には2年8ヵ月半ぶりのカムバックになる元フライ級世界ランカー、黒田雅之(川崎新田)が出場したが、プロ4戦目(4勝2KO)の重里侃太朗(仲里)に0-3のスコアで判定負けを喫している。サウスポーの重里の左ストレートを中心にした攻めに黒田はついていけず、持ち味を発揮できないままだった。2度目の世界挑戦に敗れた後、ケガ、コロナ感染と厳しい試練が続いた黒田も35歳、この敗戦はあまりに痛い。

 また、ライト級8回戦では、日本ライト級6位にランクされる清田亨(大橋)が、A級昇格第1戦となるサウスポー、向山太尊(ハッピーボックス)に2ラウンド1分12秒でTKO負けを喫する波乱となった。清田は2ラウンド、向山の左をまともに浴びてダウン。向山は立ち直る猶予を与えずに追撃。左ストレートで清田のアゴが2度ほど力なく跳ねあがったところでレフェリーストップがかかった。

文◎宮崎正博 写真◎馬場高志

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