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2022-02-07

【陸上】中大へ進む溜池一太が地元クロカンで堂々V、始発で洛南高に通ったエースの次なる目標は打倒・佐藤圭汰

全日本びわ湖クロカンU20男子優勝の溜池一太(洛南高3年→中大)

中大で箱根の主力に、トラックで世界に

2021-22シーズン、高校男子の中長距離を席巻したチームといえば、洛南高(京都)が挙がるだろう。なかでも1500m、3000m、5000mで高校最高記録を樹立した佐藤圭汰(3年、駒大に進学)は傑出した存在だった。佐藤ほどのインパクトは放てなかったが、もう一人、忘れては困るエースがいた。溜池一太(3年、中大に進学)だ。

トラック5000mでは13分55秒97の記録を持ち、昨年12月の全国高校駅伝の1区10kmでは、7kmからの勝負どころで一気にギアを上げて、レースを動かした果敢な走りが焼き付いている。大きなストライドでスピードに乗っていたが、瞬間的な脚のケイレンでスパートをセーブしたため、区間賞争いには加われなかったとはいえ、29分05秒で区間5位とチームを勢いづけた。

その溜池が2月6日に行われた全日本びわ湖クロカンのU20男子5kmを15分02秒で独走優勝。「調子は良くなかった」というものの、2kmすぎに「ゆとりがあったので」と抜け出し、悠々とフィニッシュした。


レースをけん引し、2位と27秒差で圧勝した溜池(左)

滋賀県の野洲北中出身で、京都市内の洛南高には春夏秋冬、始発電車で通学した。練習でもレースでも世界を意識する佐藤に刺激を受け、自身もエースと称されるにふさわしい実力と信頼感を得た3年間だった。

春からは中大へ進む。正月の箱根駅伝1区で区間新をマークした吉居大和(2年)ら先輩たちに胸を借り、また溜池と同学年の吉居の弟・駿恭(仙台育英高3年・宮城)ともチームメイトになる。箱根など学生駅伝で中大の主力に成長することが期待されるが、それは当然として、個人では「世界選手権などの5000m、10000m出場を目指してやっていきたい」と成長軌道を思い描いている。

高校生活もカウントダウンに入った。卒業前にやっておきたいことがある。「高校で日本一を取れていないので」と、2月26日開催の日本選手権クロカンU20男子8kmでタイトルを目指す。その達成には、盟友・佐藤との勝負を制しなければならない。

洛南高で出会った佐藤という大きな存在。間近にいたからこそ、溜池も成長できたし、「勝ちたい」という気持ちは誰よりも強いかもしれない。それぞれの大学へ進んでも、盟友であり、ライバルであるストーリーは続く。

ためいけ・いった◎野洲北中(滋賀)→洛南高(京都)。全国高校駅伝は洛南高2年時に7区4位、3年時に1区5位。高3時にインターハイ1500m出場。春から中大に進む。自己ベストは1500m3分48秒85(2020年)、5000m13分55秒97(21年)。

文/中尾義理 写真/早浪章弘

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