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2022-04-23

【ボクシング】V1成功の谷口将隆が一夜明け会見「いろんなことを考えて成長できた」

波乱を乗り越え、谷口はがっちりとベルトを守った

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WBO世界ミニマム級チャンピオンの谷口将隆(28歳=ワタナベ)が、22日の初防衛成功から一夜明けて都内のジムで会見。挑戦者・石澤開(25歳=M.T )の計量失敗で騒動になった一戦を振り返った。

 11回TKO勝ちで鮮やかに決着をつけた後、敗者を思いやる発言で、一連の騒動に自ら終止符を打った谷口。一夜明けても「結果は出たので、昨日のことは僕たちの中では終わり。2人とも無事にリングを降りられてよかった」と語った。渡辺均会長も「本当に心配したが、昨日の谷口の言葉がすべてです」と感動を隠さなかった。

 3ラウンド目以外はポイントもすべて押さえる完勝に、伯耆淳トレーナーも「ほぼ理想どおり」と評価。同時に「試合後、興奮している中で、なかなかあんなことは言えない。すごいと思う」と、やはり谷口が石澤に贈った温かい言葉に胸を打たれた様子だ。

 サングラス越しにも分かる右まぶたの腫れは「初回、始まってすぐに頭が当たった」と谷口は説明。「下がったら追われる」と強打の石澤にあえて近づき、ヒザを深く折った低い姿勢からショートの左ストレートを好打。石澤の前戦を分析して接近戦が得策と判断したのが奏功し、「想定は抜け出さず、練習した範囲内だった」と振り返った。

 決して力は入れなくても、緩急つけた的確なパンチを浴びせ続けることで石澤は消耗。「倒すことを考える余裕はなかった」と言いつつも「ボディが効いている感触はあった」。結果的に王座奪取のウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)戦と同じラウンドでストップを呼び込んだ。名人芸と呼びたくなるプロセスだった。

「僕の中では、防衛してこそチャンピオン。挑戦して獲ったときよりも自信になった。昨日から今日、いろんなことを考えて成長できたと思う」

 今は少し休みたいという谷口に、渡辺会長は年内にもう一度防衛戦を組みたい意向。将来的にはライトフライ級に上げさせる考えも示した。減量について谷口は「水抜きも前日計量も失敗するリスクはあると思うが、ボクシングは体重を落とすことが大前提の競技。リスクうんぬんよりも、やり方が大事だと思った」と私見を述べた。その言葉は、石澤の失敗が決して他人事ではないという、プロボクサー稼業の怖さを説いていた。

文・写真/藤木邦昭

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