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2022-05-15

【ボクシング】力石政法が初王座 兄・矢吹正道と兄弟世界王者めざす

力石(右)の右ジャブが渡邉(左)の前進を阻む

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15日、東京・墨田区総合体育館で行われた東洋太平洋スーパーフェザー級王座決定戦12回戦は、同級6位の力石政法(27歳=緑)が3位の渡邉卓也(33歳=DANGAN AOKI)に3-0の判定勝ちで初タイトルを獲得した。

 アウェーのリングで初のベルトを獲得した名古屋のホープ、力石。だが、それを巻こうとはしなかった。「腰に巻くのは世界のベルトだけと決めている」。返り咲きを誓って再起した前世界王者の兄・矢吹正道とともに「目指しているのは兄弟同時世界王者です」と言い切った。

 ジャッジ3者が120対108と採点した完封劇。50戦目で王座奪取を狙う大ベテランの渡邉を、サウスポーから狙い撃つ長い左ストレートで突き放し続けた。守っては優れた距離感とポジショニングで、付け入る隙を与えない。渡邉のタフさにKOを諦めた中盤からは、足を使って大きくリングを回り、右ジャブでさばききった。初の12ラウンドを無傷で乗り切った力石に対し、渡邉の左目周辺は別人のように腫れ上がっていた。

 12戦目で王座についた力石だが、ここまで決して順風満帆だったわけではない。プロ3戦目で痛烈なKO負け。左拳、右肩の手術も経験した。今回は久々のスーパーフェザー級で減量に苦しみ、パニック障害になりかけたとも明かす。

 たどり着いた世界への入口。「次、指名戦に勝って、初めてチャンピオンの価値がある」という力石の視線の先には、3戦目で苦杯を喫した現日本王者の坂晃典(仲里)、さらにその坂を倒した木村吉光(志成)らが立ちはだかる。スーパーフェザー級が、熱くなってきた。

千本は判定で初防衛

 東洋太平洋女子ミニマム級チャンピオンの千本瑞規(28歳=ワタナベ)は、元日本女子アトム級チャンピオンの長井香織(32歳=真正)に3-0の判定勝ちで初防衛に成功した。

千本(右)の右アッパーが決まる
千本(右)の右アッパーが決まる

 左右フックで精力的なアタックを仕掛けてくる長井に対し、千本はジャブから右ストレート、さらにアッパーを的確にヒット。ポイントでは確実にリードしたが、もみ合う場面も多く、試合後は「ウーン……課題だらけですね」と反省の言葉が口をついた。プロ転向後、4連勝。前戦では元世界王者の黒木優子を破り、世界挑戦は目前。「まだまだ実力つけないと」と精進を誓った。

文/藤木邦昭 写真/馬場高志

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