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2022-05-27

新日本プロレスが飯伏幸太のSNS上での騒動を謝罪【週刊プロレス】

騒動を謝罪した大張社長(左)と木谷オーナー

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5月27日、新日本プロレスが記者会見をおこない、飯伏幸太が5月上旬からSNS上でおこなってきた発言等に関する経緯説明、見解を発表した。騒動を謝罪した大張社長(左)と木谷オーナー木谷オーナーは、飯伏への思いを語った

 昨秋のG1決勝で右肩を負傷して現在も欠場中の飯伏は、5月10日を皮切りに団体スタッフとのLINEのやり取りをツイッターに公開。その後も内情を暴露するような内容も含む団体、スタッフに対しての発言をおこなってきた。

 新日本側は会見で、JUST TAP OUT3・4後楽園ホール大会に飯伏が会社に無断で来場し、セコンドに付いたことを「専属契約違反」と説明。一方でその際、飯伏とやり取りした団体スタッフが「配慮のない文書にて連絡したこと」も認め、飯伏と当該スタッフに後日、処分を下すとした。

 会見には新日本の大張高己社長、木谷高明オーナーが出席。2人は飯伏本人と顔を合わせて話し合いをしたことを明かし、今回の会見の内容も事前に本人と確認作業をおこなった上での発表であるとした。以下が会見でのコメント。

大張「本日は飯伏選手の主張に対する新日本プロレスの考え方をお知らせしたいと思います。5月10日以降、飯伏選手からツイッター上で当社や一部の関係者に対する批判が発信されました。本件につきまして、ファンの皆様、そして関係者の皆様にご心配をおかけして、誠に申し訳ございませんでした(と言って、木谷オーナーとともに立ち上がり、頭を下げる)。

 そのなかで当社の担当者から契約を解除するというようなメッセージを受信した旨が、画像と共に示されております。これは担当者にも確認したところ、事実であるということが判明しています。現在、皆さまをご心配させてしまっている本件について、その経緯を含めて、現在認識している範囲でお伝えしたいと思います。

 まず、経緯についてご説明します。飯伏選手は新日本プロレスの専属契約選手です。その契約の根幹は新日本プロレスの試合に専念をしてもらうことです。ですので、他団体への出場に際しては事前に会社への連絡や承諾を得ることが義務づけられています。飯伏選手は3月4日にJUST TAP OUTという他団体へセコンドという形ではありますが、無断出場を致しました。つまりその専属契約に反する行為をしたことになります。

 当該担当者は選手との各種連絡を担当していますが、新日本プロレスの専属契約選手となる以前から飯伏選手と交流のある者です。この飯伏選手の他団体への無断出場を、当社による契約解除をみずから促す行為としてとらえ、かつ長年、この2人の間で醸成された信頼を反故にされたといった喪失感とともに、前述のメッセージを飯伏選手に送ったとのことでした。

 また、他団体出場した際、私からも会社に対する事前の連絡があったのかといった点を含めた、状況報告をその担当者に求めましたので、それもあってその担当者は飯伏選手に連絡したのだと思います。そしてその状況報告のなかでは、飯伏選手から退団やむなしという意向があったということも報告を受けております。

 このままでは不本意な形で飯伏選手を失ってしまうという懸念から、形式ばらない場で、心を開いて真意を聞きたいという思いで、私の方から直接、飯伏選手に連絡を取り、3月31日ですが、飯伏選手の練習場所に出向き、私と飯伏選手は1対1で会っています。短時間ではありましたが、雑談をしながら簡単なマット運動ですとか、ジャンプトレーニングといったものをいっしょにおこなわせていただきました。飯伏選手の超人的な体力に驚かされましたが、やはり昨年ケガを負った肩の治りがあまりよくない、可動域が狭いということも、飯伏選手はおっしゃっていました。

 そのあと飯伏選手の車に同乗させていただきまして、場所を移して会食の場を設けました。いっしょに食事をしながら他愛もない話もいたしましたが、無断出場について飯伏選手より、JUST TAP OUTを運営するTAKAみちのく選手の招きによって会場の控室に行ったという点、そしてそこからはみずからの意思で試合中に控室から出ていって、リングサイドにセコンドという形で出場したという経緯も細かく聞いております。

 私からは他団体へ無断出場することは会社と選手間の契約違反、ならびに新日本プロレスから他社様へのライセンス契約違反に相当することを伝えまして、その点については厳重注意をおこないました。飯伏選手からはその違反行為について、その場で誠実な謝罪を受けております。なお、厳重注意にとどめた理由はヒアリングした経緯や前述の謝罪と合わせて、契約違反に該当するという認識が飯伏選手にはなく、故意の違反ではないと十分、推察できたこと。ならびに実際にそのリングで試合をおこなったわけではないということなどが挙げられます。

 この3月末の会食の時点では、後日、飯伏選手のツイートで明かされた担当者から飯伏選手へ宛てた前述の契約解除を匂わせるLINEの具体的な文章を私自身が把握しておりませんでしたので、その点についてはこの時点でしっかりとした謝罪ができなかったと記憶しています。

 そしてしばらく経った5月10日以降、冒頭の担当者とのLINE画像を含んだツイートが飯伏選手のアカウントに出てまいりました。なお、このツイートのきっかけとなったのは、5月8日に飯伏選手を心配したお母様からの連絡を受け、飯伏選手がお母様に経緯をお伝えしたところ、お母様が5月9日に自殺未遂をされ、腰の骨を折るなどされたことである、と飯伏選手より聞いております。

 飯伏選手の一連のツイートを受け、当社としては5月10日より法務担当者を含めた対策会議をもちました。そして、それまでの経緯を踏まえまして、飯伏選手と当社にとって最善の策はなんなのか、という点を検討いたしました。その結果、飯伏選手と直接会って、謝罪とお互いの意見交換をしてから必要に応じて公な発表をおこなうという方針を固めました。よって、本日まで皆さまには公式な発表を控えておりましたが、昨日、私と新日本プロレスのオーナーである木谷、そして飯伏選手が直接、対話の場所をもちまして、本日の会見内容を含めまして、お互いの意見を交換することができましたので、この発表に至っております。これまでの間、ファンの皆さまには大変ご心配をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げたいと思います(再び木谷オーナーとともに頭を下げる)。

 次に当社の考えをお伝えしたいと思います。無断での他団体出場は、これは前述の通り、専属契約に反する行為でありますし、その後おこなわれた内部のやり取りの公開、これも当該契約に反する行為であります。ですので、前述の経緯も踏まえた上で、飯伏選手の処分については後日、決定してまいります。

 一方で選手契約の有無というのは、プロレスを生業とするレスラーにとっては死活問題であります。担当者の発言についても容易に許されるべきものではないと思います。そしてそのことが飯伏選手からの一連の批判的なツイートへとつながってしまったと思います。飯伏選手へは配慮のない文書にて連絡したことを、昨日心よりお詫び申し上げました。この担当者については、これまでの長年の関係性や、理由はあれどレスラーに対する配慮を欠く発言であったことから、当該担当者に対しても処分をおこなう予定であります」

木谷「新日本プロレスとしてはですね、いままで多大なる貢献、本当に私個人も飯伏選手の激闘の数々、本当に感動した試合いくつもあります。所属選手として飯伏選手には引き続き在籍していただきたいと考えております。ただ、いまはですね、ご自身のケガやまたお母様の治療のサポートに専念してほしいとは思っていますし、契約は継続させていただきます。また、多くのファンの皆さまのご支援をいただいている選手ですし、まだ試合はできないかもしれません、リングの中はなかなか難しいかもしれませんが、リングの外でたとえばサイン会であるとか、トークショーであるとか、個人的にはちょっとスターダムも手伝ってほしいなと。リングの中に復帰できるまでは、活躍していただきたいなと考えております。

 今後もし飯伏選手が契約を満了になり、新日本を離れたいという時期が来れば、その際はあらためて話し合いを持ちたいと思っておりますし、私個人としては彼の意思を尊重したいと考えております。私個人としても、いままでの飯伏さんが活躍してくれた、飯伏さん貯金がこんなに(手を広げる)貯まってますので、容易には減らない残高でございます。ぜひともまた輝いている飯伏さんを見たいなと思います。この気持ちは本当にファンの皆さまも同じだと思っていますので、リングの外のゴタゴタは、もちろんきっかけは私どもにあると思いますけども、これにて終わりにしたいと思っております」

大張「いまも飯伏選手は新日本プロレスの大事なレスラーですし、これからも同様です。今回のケースのように会社と選手間、双方の気持ちが行き違うようなことは、あってはならないことだと思います。こちらは再発防止に努めてまいります。また、飯伏選手とはしっかり向き合って、今後について話していきたいと思っています。ですので飯伏選手本人、それから関係者に対する誹謗中傷にあたるようなコメントはぜひ、お控えください。お願いいたします。このたびはファンの皆さまにご心配をおかけし、本当に申し訳ございませんでした(みたび木谷オーナーとともに頭を下げる)。また、現在ベスト・オブ・ザ・スーパージュニアシリーズ中でございます。この混乱については選手に向けても、この場をお借りしてお詫びしたいと思います。申し訳ございませんでした」

木谷「申し訳ありませんでした」

――確認ですが、飯伏選手の契約を解除した事実はなく、いまでも契約を持続していることは本人も認識している?

大張 はい、もちろんです。

――話し合われたときの飯伏選手の様子は?

木谷 私は実は2回、お会いしてまして、両方とも食事を伴って会っています。昨日は大張と3人で食事をしながら話し合いをしましたし、その前は共通の知人に同席してもらいつつ話し合いをしましたが、昨日も3時間ぐらい、その前も2時間半ぐらい、いろいろな各方面の話になりましたね。プロレスのことを中心に格闘技の話、やっぱり本当にプロレスが好きなんだなと。レスラーでは外国人だと、トム・ローラーにすごい関心を持ってましたね。興味ありますねぇって、そのうち来るんじゃないですかっていう話もしながら。昨日は大張もいっしょで、最初はちょっと硬かったのかな、緊張してるのかなと思いましたけど、プロレスの話が進んできたりすると、だんだん目が輝いてきて、ボクもすごく楽しかったですね。必ず、元気に、いつになるかはわからないですが、復帰してくれるものと信じています」

――団体と飯伏選手の間のわだかまりは解けている?

木谷「そうですね。100%かどうかはわからないです。それは徐々にのところも部分的には残っているかもしれないですが、少なくとも私は(わだかまりは)ないです。元からないですし、いまもないということを、2回お会いしたことでボクは確認しました。これから徐々に組織全体として100%の信頼関係に戻していきたいなと思っています」

――飯伏選手、担当者への処分はどのようなものに?

大張「飯伏選手については、今回の経緯、事情を汲めば、今回の件をもって契約解除ということは考えておりません。それにしても無断の出場であったり、その後の内容の秘密の暴露にあたるような部分であったり、そういった部分は考慮して、恐らく減俸等の対応になるかと思います」

――SNS上では飯伏選手は引退、退団も匂わせていたが?

大張「私が実際に、私は真似事程度しかできなかったですけど、飯伏選手が実際に練習されている間にもお話をしましたが、引退、退団ということではなくて、いつ新日本プロレスに戻れるのか、早く戻れるのか、という気持ちで練習に打ち込まれておりました。その後の会食で落ち着いて話した際にも、やはり今後ベストな形で新日本のリングに戻りたいと確認できています。昨日までの会食などの接点でも、新日本プロレスでまた活躍したいという意向も聞いております」

――担当者への処分は?

大張「いまの時点では決まっておりません」

木谷「ただ、少なくともいまの立場からの異動を考えております」

――飯伏選手の声を届けるような機会は今後ある?

木谷「この内容も昨日、飯伏選手とも共有しつつ、記述等あっていますか? 違和感あるところはないですか?ということをお聞きして、そこから少し修正したものを会見で発表させていただいています。彼と共有できたものを発表しておりますので、今後また会見を開く必要があれば、もしくは飯伏さんがみずからファンにメッセージを伝えたいということがあれば、それは十分に検討すべきことかなと考えております。とにかく今回に関しては会社からオフィシャルにファンの皆さん、もしくはメディアの皆さんに現状のメッセージを伝えるべきかなという思いから、今日がたまたまベスト・オブ・ザ・スーパージュニアの試合がない日なので、選ばせていただきました」

――飯伏選手の復帰の見込みは?

大張「肩の状況はいまだに良くないと聞いております。復帰時期についてはあくまで未定ということでお伝えさせていただきます」

木谷「そこはあまり焦らない方がいいかなと思いますし、飯伏選手もそこを引け目に感じる必要はないかなと思っています。新日本には本当に飯伏さん貯金が残高が膨大に貯まってますから、リングの中のことは心配せずに、外側の方でしてもらえたらいいかなと思っています。なにができるかは、また本人と相談しつつ、今後やっていただきたいなと思っています。まずは完治させてほしいなと思います。本日はこのような会見を開かせていただいて、本当にご心配をおかけして、本当に申し訳なかったと思っております。必要があれば追加の会見を開きたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。これを機にというわけではないですが、新日本プロレス、ようやく少し上り調子の兆しも見えてきました。いまのベスト・オブ・ザ・スーパージュニアも非常に盛り上がってますし、来月26日にはAEWとの合同興行もございます。その結果を受けて、それ以外の未来のことも含めて、7月の上旬ぐらいになるかもしれませんが、未来に向けた新日本プロレスの戦略発表会を開催したいと思っております。いよいよ新日本プロレスが攻めに転じるときが来たと思っています。いままで本当に大張社長を含め現場に任せてしまったのはちょっと申し訳ないなと思っております。未来への新日本プロレスの逆襲に関しては、私ももう少し現場に入ってアイデアも出し、いろいろ動き、盛り上げていきたいと考えています。なにとぞ引き続きご支援、ご指導のほど、よろしくお願いいたします」

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