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2022-06-08

【ボクシング】さいたまにあったのは破壊というドラマ 井上尚弥、ドネアを凄絶返り討ち

素晴らしいコンビネーションを連発して、井上はドネアを豪快に沈めた

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 7日、さいたまスーパーアリーナで行われたWBAスーパー、IBF世界バンタム級チャンピオン、井上尚弥(29歳=大橋)対WBCチャンピオン、ノニト・ドネア(39歳=フィリピン)の王座統一戦12回戦は、井上が初回からダウンを奪う猛攻の末、2回1分24秒、再びダウンをさせたところでTKO勝ちを収めた。井上の実力はまさしくモンスター級であることを、あらためて証明してみせた。

 2年前の両者の激闘の余韻はどこにもなかった。そこにあったのは、ただ1人の超人の姿だった。「今回のさいたまにドラマはない。一方的に打ちのめすだけ」と予告していた井上は、その言葉以上のインパクトで予言を現実にした。

 立ち上がりに左フックを軽くヒットしたドネアは、着実に地歩を固めるようにプレスをかけてくる。これをバックステップでかわしながら様子を見ていた井上が、終了間際に右を狙ってくるドネアに右をカウンターしてダウンを奪った。これで流れは完全に定まった。
右ストレート、左フックを始め、井上のパンチは破壊力満点だった
右ストレート、左フックを始め、井上のパンチは破壊力満点だった

 2回には強烈な左フックを連発。そのうち、額に浴びた一発でフィリピン人の足もとが大きく揺れる。間髪を置かずに、左フックのダブルで追い立てるなど、井上のすさまじい攻撃が続いた。よく耐えたドネアだが、井上の狙いすました左フックで、再び足が大きく踊った。今度はさらにダメージが深いと見て取った井上は、厚みのある攻めで追撃に入る。左右のコンビで追い、ジャブ、ワンツー、再度のワンツーでアゴが上がったところに左フック。全身の力を失って仰向けに倒れ込んだドネアを見て、レフェリーのマーク・グリフィンはそのままストップをコールした。

「やりましたー!」と絶叫した井上。仕草はどことなくお茶目に見えても、ボクサーとしては地獄の業火を火矢にして立ち回るあまりに凄愴な姿に見える。井上に敗れた後、印象的なKO勝利を重ねて再戦にこぎつけた5階級制覇王者のレジェンドを、徹底的に打ちのめしたことで、世界中のボクシングファンが大騒ぎになるのは間違いない。

「目標は4団体統一。年内にそのチャンスがないのなら、スーパーバンタム級で新しい世界を見てみたい」と語った井上は23戦全勝(20KO)。「イノウエには勝利する力があった。おめでとう」との伝言を周囲に託して会場を後にしたドネアは49戦42勝(28KO)7敗。

文◎宮崎正博 写真◎菊田義久

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