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2022-06-15

【ボクシング】37歳の復活。近藤明広が速攻TKO勝利。「今がボクサーとしてMAXです!」

6年ぶり、37歳にして王座に復活した近藤は喜びの大絶叫

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 東洋太平洋スーパーライト級タイトルマッチ12回戦は、14日、東京・後楽園ホールで日本ライト級タイトルマッチとのダブルメインイベントとして行われ、挑戦者の近藤明広(37歳=一力)が、チャンピオンの麻生興一(36歳=三迫)を2回2分7秒TKOで破り、WBOアジアパシフィック同級タイトルを失ってから6年ぶり、3度目のチャンピオンベルトを手に入れた。麻生は初防衛に失敗した。

「勝負は序盤と決めていた」と近藤

「作戦どおりに戦えました。倒すなら4回までと思っていました」

 昨年12月、かつてのホープ、内藤律樹(E&Jカシアス)を破って勢いに乗る麻生の攻略ポイントは、「スロースターター」の傾向にあると読んだ近藤は最初から仕掛けた。右のショート、オーバーハンドと攻めたてた。

 決着は早かった。のっけに埋め込まれたダメージから回復しきれていないチャンピオンに対し、近藤は攻撃の手を緩めない。2回にも右クロスを直撃。横ざまに後退するところに同じパンチをテンプルに決める。足の力を失った麻生は、引き落とされる形で倒れ込む。麻生は立ち上がったものの、近藤の右を立て続けに浴びて足がもつれる。ここでレフェリーがストップをかけ、その後のダメージから麻生を救い出した。
近藤の右強打を立て続けに浴びた麻生は足がもつれたままダウンする
近藤の右強打を立て続けに浴びた麻生は足がもつれたままダウンする

「今が一番うれしい。ボクサーとしてMAXです」

 近藤の言葉は弾む。

「これでベルトは3本目、先月、3人目の子供が生まれて、1本ずつあげられますから、ケンカにならなくてすみます」

 明るく、とんちの利いた語り口も魅力の近藤だが、楽なボクサー人生ではなかった。最初のタイトル、日本ライト級王座にたどり着いたのは13年前。ベルトを失ってからも安定感のある技巧派として上位ランクを維持し続けた。それも2017年、ニューヨークの大舞台での世界挑戦に敗れてからは厳しいものになる。5年間で4勝3敗1分。日本タイトル挑戦も最後の1ポイントが奪えず、負傷引き分けに終わった。三十路のボクサーに吹きつけるうすら寒い風にもめげず、頑張り続けた理由は「意地です。まだ世界を目指せる」と。

 ただし、今後の方針は今のところなにも立っていない。この試合に勝つことがすべてだったから、それも当然か。

「目標はこれから考えます。ありがたいことにスポンサー企業
がついてくれて働かせてもらっていますから、とりあえず3日後には出社します」

 好漢・近藤は「麻生選手がチャンピオンになったことで」戦う気力が高まったとも付け加えた。戦績は46戦34勝(19KO)10敗2分。長い下積みの末に手に入れた2度目のタイトルを手放した麻生は36戦25勝(16KO)10敗1分。
保坂(左)は鋭いパンチで三瓶を圧倒し続けた
保坂(左)は鋭いパンチで三瓶を圧倒し続けた

再起戦の保坂がランキングを獲得

 スーパーフェザー級8回戦では、前戦で初黒星を喫していた保坂剛(25歳=三迫)が、日本同級6位の三瓶数馬(27歳=角海老宝石)に4回2分11秒でTKO勝ちし、ランキング入りを確実にした。

 サウスポー同士の対戦はスピードで上回る保坂が、最初から三瓶を圧倒する。2回にはアッパーカットでぐらついた三瓶は持ち前の巧みな試合運びを発揮する余裕もなく、ずっと後手に回ったまま。4回、保坂の左ストレートに三瓶が大きくのけぞったところでレフェリーからストップがコールされた。

 保坂は7戦6勝(4KO)1敗。三瓶は28戦20勝(9KO)8敗。
強打の苗村(右)は一瞬のチャンスを活かし、アマ出身の馬場をTKO
強打の苗村(右)は一瞬のチャンスを活かし、アマ出身の馬場をTKO

 東洋大時代に国体、全日本選手権優勝のキャリアを持つ馬場
龍成(26歳=三迫)がプロ2戦目(フライ級6回戦)で3回TKO負け(1分49秒)。強打の苗村修悟(なむら・しゅうご、27歳=SRS)を、左パンチを主体にコントロールし始めていたが、苗村の思いきりのよいステップインからの右フックを立て続けに食ってバランスを崩し、さらに追撃を受けたところでレフェリーストップされてしまった。

 苗村は7戦6勝(6KO)1敗。馬場は2戦1勝1敗。

文◎宮崎正博、本間 暁(馬場対苗村戦) 写真◎橋田ダワー

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