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2022-06-24

【ボクシング】堤聖也が悲願の日本タイトル奪取 リングの上から「お母さん、ありがとう!」

堤が左フックで奪った先制のダウン。この後、戦いは一方的なものになる

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 日本バンタム級タイトルマッチ10回戦、チャンピオンの澤田京介(34歳=JBスポーツ)対1位の挑戦者、堤聖也(26歳=角海老宝石)の一戦は、23日、東京・後楽園ホールで行われ、2回にダウンを奪うなど一方的に試合を進めた堤が、8回47秒でTKO勝ちを収め、プロ初のタイトルを手に入れた。澤田は初防衛に失敗した。

初ベルトも堤はまだ試されなければならない

「ロードワークしながら考えて、ほんとうはもっとスマートに言えると思ったんですが」

 勝利の直後に堤が述べた感謝の辞。宛先はリングサイドの座る母・邦代さんへ。

「いつも自分の傍らにいてくれて、だから今のぼくがあります」

 本人の弁明のとおり、いくら実の母に対してだって、面と向かってはなかなか言いにくい。感きわまって、思いがあふれ出たと理解したい。

 長いアマチュア生活を経てプロ入りして5連勝したが、その後の2戦連続で引き分け。相手は後の東洋太平洋王者、中嶋一輝(大橋)、元世界王者の比嘉大吾(志成)と大物ばかりでも勝てなかった事実に変わりなし。比嘉戦後はパンデミックの影響による1年8ヵ月もの長期ブランクも作った。やっとの復帰戦が念願のタイトル戦。そのあたりの事情が、堤の心理を揺さぶったのだろう。TKO勝利までの道筋は、一方的であっても、攻防の粗さも並走して見えたもの。

 2回だった。堤の左フックで澤田の右目のあたりが割れて出血する(公式見解は偶然のバッティングによる傷)。その直後、再び左フックを決めて鮮やかにダウンを奪う。

 ただし、その後がピリッとしない。力みや焦りが先立ったのか、左のリードブローがほとんど見えなかった。きちんと相手をセットアップできてないから、いきなりの左フックのカウンターや、右ストレート狙いもきっかり正確に急所を捉えたとは言えなかった。
一方的な戦いは、8回、ようやくストップがかかった
一方的な戦いは、8回、ようやくストップがかかった

 それでも澤田の攻めも変化に乏しく、堤は毎ラウンドのようにポイントを奪取していく。6回に左フックのボディブローから顔面へとパンチを切り返し、7回にも右パンチを決めて左右を追撃した。だが、仕留めきれない。ようやく8回、右クロスでバランスを崩した澤田をロープに追い詰めたところでレフェリーストップがかかった。

 トレーナーの石原雄太トレーナーの証言によると「普段の2割くらいしか力が出ていない」。いずれ世界で勝負したいという堤の願いが叶うのは、そんな潜在能力が全開になるまで待たなければいけない。8戦6勝(5KO)2分。澤田は20戦15勝(6KO)3敗2分。

ベテランの和氣がTKO勝ちで再起戦を飾る

 セミファイナルのスーパーバンタム級8回戦では、元東洋太平洋同級チャンピオンの和氣慎吾(34歳=FLARE山上)が水谷直人(33歳=KG大和)に7回2分56秒TKO勝ちを収めている。

 昨年11月に井上拓真(大橋)とのWBOアジアパシフィック王座決定戦に完敗した和氣は、力の差がある水谷とのサウスポー対決をコントロールしながらも、その戦いぶりはどこか頼りない。ジャブ、ワンツー、あるいはアッパーカット、ボディ攻撃でアウトボクシングしていくが、水谷の粘り強いアタックに押される場面もあった。ただ、奮戦とともにダメージをため込んでいた水谷は7回、自ら振ったパンチで大きくバランスを崩し、和氣が右ストレートをヒットしたところで、レフェリーがこの勝負に決着をつけた。
格の違いを見せつけた和氣(右)だが、その戦いには心もとなさが残った
格の違いを見せつけた和氣(右)だが、その戦いには心もとなさが残った

「(井上戦後)進退を考えました。今日はベストの体調でリングに上がれませんでした。年齢的なこともあるし、次回は必ずベストを作ります」

 世界挑戦に敗れたのは6年前。その後、6連続KOをマークしたこともあるが、全盛の鋭さは取り戻せないまま。本来の切れ味が甦らない限り、「もう一度、必ず世界にいきます」という約束を果たすのも難しくなる。次戦こそ、和氣の本領を見たいもの。37戦28勝(20KO)7敗2分。水谷は19戦9勝(3KO)8敗2分。

文◎宮崎正博 写真◎橋田ダワー

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