東洋太平洋・WBOアジアパシフィック・日本のライト級3冠を保持するチャンピオン吉野修一郎(三迫)は3日、日本同級2位の細川バレンタイン(角海老宝石)とタイトルマッチ12回戦を行い、大差の3ー0判定勝ちで3本のベルトを守った。細川は日本スーパーライト級に続く2階級制覇に失敗した。
写真上=左フックで攻める吉野(左)。細川は最後まで耐え抜いた
ジャッジ3者の採点は、119対109が2人に120対108が1人。角度、強弱に変化をつけて繰り出す左から、機を見て右のビッグパンチも織り交ぜる吉野が着実にポイントを重ねたが、ベテラン細川も点差以上のボクシングを見せた。
細川は1階級上のスーパーライト級の元王者だったが、体格、パワーでまさったのは吉野。初回、外側から打ち込んだ左フックで早くも細川をぐらつかせたが、細川はどの局面でも吉野の打ち終わりにショートのカウンターで反撃。特に右ボディブローの鋭さは侮れなかった。6回にはセコンドのゴーサインを受けて吉野が右からラッシュを仕掛けたが、ここでも細川は耐え抜く。終盤も吉野が一方的に点差を広げながら、歴戦の巧者・細川のタフネスとディフェンスに決定打を阻まれた。
過去最強の相手とも言える細川への圧勝に加え、世界戦と同じ12ラウンドを初めて戦ったことも「経験値になりました」という吉野だが、連続KOが8で止まったことについては「倒せるようになることが課題」と、悔しさもにじませた。
日本王座はこれでV6。「卒業」の思いも募らせるが、ライト級はワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)を頂点に、世界的な活況を呈するクラス。11月5日には元世界王者の伊藤雅雪(横浜光)と、無敗の東洋太平洋スーパーフェザー級王者・三代大訓(ワタナベ)の注目カードが決まったことを踏まえ、三迫貴志会長は世界進出を見据えた、さらなる国内のライバル対決も示唆した。
文◎藤木邦昭
写真◎菊田義久
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