アメリカンフットボール関東学生1部TOP8第2節で激突した、早稲田大学対明治大学。両チーム合わせて74得点のハイスコアゲームは、若い2人のQBによる緊迫感のあるパスの投げ合いがもたらした。

明治のQB#4西本はパスで366ヤードを獲得した(撮影:北川直樹)

早稲田OLの完璧なプロテクションの中でロングパスを投じる#1柴崎。鋭い球筋が特徴だ(撮影:北川直樹)
早稲田を率いたQB#1柴崎哲平(3年)は前節、雨天の日体戦で、3インターセプトの乱調だった。過去苦戦した日体大に潜在的な苦手意識があったのかもしれない。日体戦後、柴崎は「決めようとして(ボールを)持ちすぎた。(雨は)普段の練習でもやってるし、関係ない」と言葉少なく語っていた。
柴崎は2週間できっちりと立て直し、この試合で18回投げて14回成功264ヤード、成功率78%で3タッチダウン、インターセプトは無し。大学日本代表にも選ばれた関東屈指のパサーが本来のパフォーマンスを見せた。左腕で投じるリリースポイントがやや低めの球筋は鋭く、最短距離でワンテンポ早くWRに届く。ディフェンスにとってはやっかいなパスだ。

明治#4西本は、動きながらの判断力にも長けている(撮影:北川直樹)
対する明治のQB#4西本晟(2年)は、臆することなくディープゾーンにパスを投げ込んだ。柴崎と違って上背はないが、DLのラッシュをかわす能力に長けており、パスプロテクションが崩れてもそう簡単には捕まらない。チャンスと見ると、自らキープで走るので、こちらもなかなか守りづらい。
西本がこの試合で投じたパスは実に38回。一時は25点をリードされたため、キャッチアップオフェンスだったとはいえ、26回成功で366ヤードを獲得、成功率が68%と、これまでの明治のQBとは一味違うパフォーマンスだった。途中、負傷退場がありリズムが崩れた場面もあったが、3本のTDパスで追い上げた。インターセプト1本を喫したが、負傷から戻った直後のプレーだった。

早稲田#30片岡は、タックルに強いフィジカル派のRBだ(撮影:北川直樹)

明治には#9福田というパワーバックも健在。独特のアップライトスタイルで独走能力が高い(撮影:北川直樹)
これまでの早稲田と明治の対戦はどちらかというと「力の対決」で、無骨で泥臭いイメージだった。2000年代以降でも、早稲田はRB末吉智一(12年卒)、明治はRB喜代吉壮太(10年卒)に代表されるパワーラッシャーによるランニングフットボールの印象が強い。しかし今回は一味違ったフットボールが垣間見えた。もちろん2人のQBだけでなく、レシーバーやRB、OLに人材がそろっていることも大きい。
すこし大げさだが、両校のフットボールに新しい息吹を感じたゲームだった。
【写真・文/北川直樹】
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