13日、東京・後楽園ホールで行われた日本フェザー級タイトルマッチ10回戦は、チャンピオン佐川遼(三迫)が同級9位の挑戦者・竹本雄利(クラトキ)に6回3分9秒KO勝ちで2度目の防衛に成功した。
写真上=6回、佐川のボディ攻撃で竹本は崩れ落ちた
聖地・後楽園ホールで5ヵ月半ぶりに観客を入れた興行で、佐川が痛烈なKO劇を披露した。チャンピオン、挑戦者ともこの日がプロ11戦目。竹本は一昨年の全日本新人王でMVPに輝いた逸材だが、2度の日本タイトルマッチを勝ち抜いてきた佐川とはキャリアの中身が違う。その差がはっきり示される結果となった。
サウスポー竹本は、いいスタートを切った。慎重に出方を探る佐川を前後左右のステップで揺さぶり、誘い出しては強い左を合わせる堂々の戦いぶり。これで警戒心を強めた佐川はなかなか的を絞れずにいたが、せめぎ合いの中から徐々に自分のペースをつかんでいくのがこのチャンピオンの強さだ。3回からジャブで距離をつかむと、長い右ストレートも当たりだす。それでも5回終了時点で公開された採点は、ジャッジ3者とも佐川リードとはいえ、1点差が2人と油断はできない展開だった。
6回、一転して攻撃のテンポを上げてきた竹本に対し、すでに相手の攻撃を読み切った佐川も引かずに応戦。激しい打ち合いになりかけたところで炸裂した佐川の右に、竹本が大きく前にのめる。ここでセコンドから飛んできた「下!」の指示どおり右ボディを繰り出せば、まともに腹をえぐられた竹本の上体が丸くなる。続く連打からの右ボディで竹本はヒザから崩れ落ち、カウントアウトされた。
「けっこう危ない展開だった。加藤(健太)さん(トレーナー)には、きょうは駆け引きが足りなかったと言われた」と反省も口にした佐川だが、久々に観客を入れたホールでのKO勝ちには「結果としては一番うれしい」と笑顔を見せ、「WBC8位なので、いつチャンスがきてもいいように」と世界への意欲も示した。
セミファイナル8回戦では、日本スーパーフェザー級16位の長谷川慎之介(ワールドスポーツ)が、同級5位の三瓶数馬(協栄新宿)に6回1分5秒負傷判定勝ちで、トップテン入りを決めた。
長谷川の先制攻撃が奏功した。ラフに見えながらも右フックを次々にヒットして三瓶に立ち直る隙を与えない。三瓶は5回にバッティングでカットした眉間の傷が深くなりストップ。採点は2点差が2人、3点差が1人で長谷川を支持した。
文◎藤木邦昭
写真◎馬場高志
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